国交省が「丁寧で分かりやすい情報提供を行っています」として羽田新ルートが通過する自治体の住民を対象にポスティングしたチラシ(次図)には、国交省に都合のいい情報ばかりが目立つ。
このブログで書いてきた羽田新ルート関連記事のうち、特に港区民に係る情報をまとめておいた。
※投稿21年10月4日(更新24年3月12日)
基本情報
到着ルート(都心低空飛行)概念図
- 南風時(年間の約4割)の午後3時から7時のうち3時間、新宿⇒渋谷⇒港⇒目黒と降下。品川上空では、東京タワーよりも低い高度300mで飛ぶ。
- 「A滑走路到着ルート」は1時間当たり14回(4分17秒ごと)、「C滑走路到着ルート」は1時間当たり30回(2分ごと)の頻度で、上空から騒音が降り注ぐ。
羽田新ルートが通過する地域(15地域)
羽田新ルートは港区内の15地域の上空を通過する(次図)。
- C滑走路到着ルート
南麻布3丁目、南麻布4丁目、南麻布5丁目、西麻布2丁目、西麻布4丁目、南青山3丁目、南青山4丁目、南青山6丁目、北青山3丁目、高輪1丁目、高輪2丁目、高輪3丁目、白金台2丁目、白金台3丁目、港南2丁目
港区民の3割(7万人)が騒音の影響を受ける
A滑走路到着ルート約3百人、C滑走路到着ルート約7万人。
港区民24万人のうち、3割(7万人)が羽田新ルートの騒音の影響を受ける(次表)。
在住・在勤・在学者を対象とした実態調査
羽田新ルート|在住・在勤・在学者を対象とした実態調査始まる(港区)
自治体独自で住民等を対象に羽田新ルート問題の実態調査をするのは港区が初めて。実施期間は21年11月21日から22年1月31日。
航空機騒音の測定結果
港区(測定場所・時期バラバラ)
港区は羽田新ルート周辺で不定期に、短期間、騒音測定したデータを随時公表している。
その公表データを可視化したのが次図。各測定場所とも騒音発生回数の幅が大きい。その原因は、日によって時間あたりの飛行機数にバラツキがあることに加え、南風時の運用時間の長短に影響されているためである。
※詳細および最新情報は「羽田新ルート|港区の騒音測定結果を可視化※随時更新」
東京都(中央卸売市場食肉市場)
東京都が羽田新ルート周辺で騒音をモニタリングしている測定局は5か所。港区内の測定局は中央卸売市場食肉市場に設置されている。
※詳細および最新情報は「羽田新ルート|東京都の騒音測定結果を可視化※随時更新」
国交省(高輪台小)
国交省が騒音データを公表している測定局は19か所。うち港区内では高輪台小学校に設置されている(C滑走路着陸経路のほぼ直下。高度約450~600m)。
※詳細および最新情報は「羽田新ルート|国交省の騒音測定データを可視化※随時更新」
資産価値への影響
羽田新ルートは不動産価値にどの程度の影響を及ぼしているのか?
同ルート近くに位置する中古タワーマンション相場への影響を調べることにした。特に中古タワーマンションを調査対象にしたのは、取引が盛んで相場が把握しやすいからである。
第1フェーズ説明会が始まったのは15年7月。そのころから物件B(ルート直下)は下落あるいは頭打ちだったが、新型コロナの感染拡大が始まった20年3月から上昇。
※詳細および最新情報は「羽田新ルート|中古タワマン相場への影響 ※適宜更新」
港区が実施した実態調査
反対運動
署名ハガキに見る航路下住民の嘆きと怒り
「みなとの空を守る会」が20年9月頃、都心低空飛行の中止を求める署名リーフを配布。同リーフに添付されたハガキの意見記入欄に記入された国への意見262件(約1万700文字)を対象にテキストマイニング。
みなとの空を守る会
党派を超えた東京都港区住民・在勤者の会。「羽田増便による都心低空飛行計画に反対する港の会 」の名称で16年5月有志により発足。世話人は増間碌郎氏。
港区議会
港区議会の定例会本会議での代表・一般質疑応答(まとめ)
- 24年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)予算特別委員会
- 23年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)所信表明
- 22年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
- 21年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
- 20年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
- 19年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
港区議会では、定例会本会議で羽田新ルート問題に係る代表・一般質問を取り上げるのは共産党と「みなと政策会議」(無所属の議員10人で構成)だけでなく、自民・公明党議員も少なからず取り上げるのが他の区議会では見られない特徴である(次表)。
羽田新ルートに係る請願・陳情の採決状況
港区議会のパワーバランス
19年4月21日の統一地方選挙後、港区議会では、羽田新ルート推進派が56%から53%に減少。(次図)。
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