港区議会「23年第2回定例会」本会議の一般質問(6月22日)で、羽田新ルートに関して、福島宏子 議員(共産)の質疑応答があった。
議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約1千文字)しておいた。
福島宏子議員(共産)
福島宏子議員(共産党、区議1期、聖徳学園保育士専門学校卒、保育士、56歳)
福島:現在の飛行ルートの運用を中止して海上ルートにするよう求めること
「STOP!羽田低空飛行について」です。
超党派国会議員による「羽田空港見直しのための議員連盟」は5月24日、国土交通省に納得のいく説明を求めました。
住民の関心事は現在飛行中の着陸ルートをどう変えるのかですが、固定化回避のための検討会では、現在の滑走路を固定化することが大前提で、“名ばかり検討会”です。
住民の願いは、落下物などの危険があるから都心上空は飛ばないでほしいということです。
6月1日から8月31日まで、港区独自の騒音測定が始まっています。
たった4時間のうちに、騒音発生回数は100回を超えることもあり、ひっきりなしの騒音に区民が苦しんでいることが分かります。命に関わる問題です。港区長として、国に住民説明会の開催と現在の飛行ルートの運用を中止して海上ルートにするよう求めること、答弁を求めます。
区長:これまでも国に対し海上ルートの活用や(略)などを求めてまいりました
武井雅昭 港区長(5期、元港区民生活部長、早大政経学部卒、70歳)
次に、羽田低空飛行についてのお尋ねです。住民説明会の実施については、本年6月にも国土交通省を訪問するなど、複数回にわたり要請しておりますが、実現には至っておりません。
また、区は羽田新飛行ルートの固定化を回避し、区民の不安を解消するため、これまでも国に対し海上ルートの活用や、今後の航空技術の進展に伴う新たな取り組み、地方空港の活用による飛行ルートの分散化などを求めてまいりました。引き続き、国に対し、住民説明会の実施や固定化回避の検討を加速するよう強く要請してまいります。
福島:(21年75kgタイヤ落下)それでも運用を中止ということを国に求めない?
すいません、時間がないので自席から再質問させていただきます。「STOP!羽田低空飛行について」です。
区長は固定化回避の検討ということを口にいたしましたが、運用を中止を国に求めるということはおっしゃいませんでした。それでは、区民の安心安全と命は守れません。
国交省は全国の7空港で部品欠落報告をとっています。2020年度は1005個、2021年度は1064個もの部品が欠落しています。2020年には97キロ、83キロの部品、2021年には75キロのタイヤも落ちている。だから、都心上空の飛行はやめなければならない。
それでも運用を中止ということを国に求めないというのでしょうか。再度、答弁をお願いします。以上で再質問終わります。
区長:引き続き、国に対し強く求めてまいります
ただいまの共産党区議員団の福島宏子議員の再質問にお答えをいたします。羽田低空飛行についてのお尋ねです。
従前より区としては、住民の生活安全を守るために国に対しまして、固定化回避、そして海上ルートの活用、航空技術の進展に伴う新たな取り組み、地方空港の活用による飛行ルートの分散化などを求めてまいりました。
引き続き、国に対し強く求めてまいります。よろしくご理解のほどお願いをいたします。
雑感(もはやプロレスだが)
港区議会では、定例会本会議で羽田新ルート問題に係る代表・一般質問を取り上げるのは共産党と「みなと政策会議」(⇒改選後:みなと未来会議7人、みなと政策会議4人)だけでなく、自民・公明党議員も少なからず取り上げるのが他の区議会では見られない特徴である(次表)。
とはいえ、毎回取り上げているのは共産だけ。
羽田新ルートの本格運用開始後に開催された20年第2回定例会では、羽田新ルートに係る登壇者数・文字数(≒質疑応答時間)とも最も多かったのだが、その後減少(次図)。
今回の質疑応答では、実質的な進展はゼロ。
原稿棒読み大会は、役人が作成した耳タコ表現「引き続き、国に対し強く求めてまいります」で締めくくられており、もはやプロレスと化してしまっている。
救いなのは、福島議員が質問9項目の4番目に掲げていた「STOP!羽田低空飛行について」だけを再質問で取り上げたこと。プロレスとは言え、愚直に取り上げる姿勢は高く評価したい。
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