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羽田新ルート|港区議会「19年第1回定例会」質疑応答

港区議会の「19年第1回定例会」本会議一般質問(2月14日)で、羽田新ルートに関して、清家あい議員(みなと政策会議)、風見利男議員(共産党)の質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約3千100文字)しておいた。

※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

清家あい議員(みなと政策会議)

清家あい議員(みなと政策会議)
清家あい議員(みなと政策会議、区議2期、青学国際政治経済学部卒、元産経新聞社会部記者、44歳)

清家:(羽田空港機能強化が)拙速に実行されることには反対

次に、羽田空港機能強化における必要な対策を国に要請することについて、です。
これまでも、羽田空港機能強化に伴う港区上空を低空で飛ぶ新ルート案について、議会でも学習会を重ねてきました。

先月六本木ヒルズで開催された国土交通省による説明会にも参加してきました。
そこで「これほど人口密度の高い都市部の上空を、こんなに低空で飛行機を飛ばすルートは、世界中見ても類がないではないか。昔の香港の空港ぐらいではないのか」という区民の質問に対し、「大阪の伊丹空港が1番近いケースです」と国土交通省の職員が答えていました。

そして先日、当派の阿部議員と一緒に、伊丹空港の視察にも行ってきました。
伊丹空港がある豊中市の空港課からヒアリングもし、実際に港区上空を飛ぶ場合と同じ高さで飛行機が飛んでいる場所で、騒音や機影なども視察をしてきました。
伊丹空港では騒音に対する反対運動があり、国内線に限っていることから、落下物はこの20年発見されていないけれど、国際線が飛んだらやはり不安があること、氷などの落下を避けるため、淀川上空で必ず車輪を出すように義務づけていること、4発のエンジンが搭載された大型機などはかなりうるさいので低騒音機に限った方がよいことなど、様々な学びがありました。
伊丹空港周辺では土地を国が買い上げていますが、やはり一部で資産価値の低下は見られたということでした。

やはり区としても伊丹空港に視察に行くなどして、独自調査をし、必要な対策を国に要請してほしいと思います。

現状の計画のままでは騒音や落下物、資産価値の低下など、様々な区民の不安も払拭されません。必要性の観点からも納得できない部分が残り、東京一極集中も加速するばかりです。
こうした不安が解消されることがないまま東京2020大会に向けて拙速に実行されることには反対の立場です。区長の見解をお伺いします。

区長:区民へ丁寧に周知・・・引き続き国へ要請

武井雅昭 港区長
武井雅昭 港区長(無所属、4期、元港区民生活部長、早大政経学部卒、66歳)

羽田空港機能における必要な対策を国に要請することについてのお尋ねです。
区はこれまでも区民の安全と生活を守る立場から、国に対し住民説明会の開催、安全対策、騒音対策、不動産価値の変動調査、試験飛行の早期実施等について要請し、教室型説明会を開催することになりました。

今後とも積極的に羽田空港機能強化に関わる情報収集に努め、区民へ丁寧に周知するとともに区民の安全安心や生活環境を守る対策などについて、引き続き国へ要請してまいります。よろしくご理解のほどお願をいたします。

風見利男議員(共産党)

風見利男議員(共産党議員団)
風見利男議員(共産、区議8期、都立墨田工業高卒、74歳)

風見:計画の徹底を申し入れること

まず最初は、羽田空港への新飛行経路案についてです。
共産党区議団は昨年12月11日、12日、伊丹空港の低空飛行の実態を現地調査し、豊中市と伊丹市の職員から聞き取りを行いました。

住宅密集地上空を低空で離着陸している旅客機の騒音と機影の大きさは、オープンハウス型説明会で映像と音を聞かせるサウンドシミュレーターとは比べ物にならないほどで、驚きました。

騒音としては、JR宝塚線北伊丹駅の通路とホームに、「この駅では大阪国際空港を離着陸する航空機の騒音のため列車の到着がわかりにくいのでホームでは黄線の内側を通行願います」という注意看板がありました。それほど騒音がひどいのです。
豊中市は現在も騒音区域の固定資産税、都市計画税を軽減しています。

伊丹空港では5分から7分に1機の着陸です。
羽田空港への新ルート案では1分半に1機低空で飛行する予定ですし、タワーマンションの多い港区での影響は計り知れません。

国交省が1月に六本木ヒルズと白金台いきいきプラザで行ったオープン型説明会には、開場早々から人が詰めかけ、サウンドシミュレーターには長蛇の列ができ、待ちきれずに帰る人も出るありさまで、「騒音が心配」、「都心上空の飛行は危険なのでやめて」、「住宅地での事故が起きたら大変」などの意見が出され、ほとんどの人が不安や怒りをぶつけていました。

国交省は要請されてきた教室型説明会の開催を始めていますが、他区での説明会では、「質問者は1人3分以内、1回」という制限を設け、疑問にまともに答えようとしていませんでした。アリバイ作りとしか思えません。

住民の納得が得られないまま、実施することなどあってはなりません。
そして3つの点を提案します。

  • 1、今月、区内で開かれる住民説明会については、参加者や質問に一切制限をしないよう事前に文書で申し入れ、民主的運営を行わせること

  • 2、羽田空港の国際線の発着枠を増やす新ルートは、東京一極集中をさらに悪化させるものになります。地方創生をいうなら、発着枠に余裕のある地方空港を活用するよう国に申し入れること

  • 3、国交省がどんなに説明しても、住民の納得が得られる状況にはありません。区民の安全と生活環境を守るため、計画の徹底を申し入れること

答弁を求めます。

区長:計画の撤回を国に申し入れることは考えておりません

武井雅昭 港区長
武井雅昭 港区長

羽田空港への新飛行経路案についてのお尋ねです。
まず、住民説明会において、参加者や質問の制限をしないよう国に申し入れることについてです。
説明会においては区民の意見や質問等に対し、丁寧で具体的な説明を行うことについて、区から本年1月に文書で国土交通省へ要請をしております。
2月19日から順次開催される区内5地区での説明会において、多くの区民等が質問できる機会を確保できるよう、改めて国土交通省へ事前に申し入れてまいります。

次に、地方空港の活用を国に申し入れることについてのお尋ねです。
国は地方空港への国際線の就航については、収益性の点など課題があるとする一方で、地方の主要空港でも訪日外国人の空港利用者数が伸びており、今後もこれらを活用しながら、航空ネットワーク全体で効率よく訪日外国人増加に対応していくとしております。
地方空港のさらなる活用については、地方の発展にも寄与する点から、今後機会をとらえて国へ要望してまいります。

次に、計画の撤回を国に申し入れることについてのお尋ねです。
羽田空港の機能強化に関する計画については、国の責任において区民等へ丁寧な説明を行い、十分な理解を得て検討を進めるべきものと考えております。
区は計画の撤回を国に申し入れることは考えておりませんが、今後とも区民の安全と生活環境守る立場から、区民へのきめ細かな情報提供行うことなど、引き続き国に要請をしてまいります。

雑感

前回11月に開催された18年第4回定例会でも、みなと政策会議(兵藤ゆうこ議員)と共産党(大滝実議員)から、羽田新ルートに係る質疑応答があった(羽田新ルート|港区議会「18年第4回定例会」質疑応答)。

清家議員、議員活動をアピールするものの…

前回の定例会で、兵藤ゆうこ議員(みなと政策会議)からは、「羽田空港機能強化に伴う不動産価値調査に関する国への申し入れ」という具体的な提案がなされ、区長から「不動産価値との因果関係を調査することについて国へ要請してまいります」という答弁を引き出している。

今回の清家あい議員(みなと政策会議)は、「学習会」「国土交通省による説明会にも参加」「伊丹空港の視察」といった議員活動をアピールしたうえで、「区としても伊丹空港に視察に行くなどして、独自調査をし、必要な対策を国に要請してほしい」としたが、区長からは「区民へ丁寧に周知するとともに区民の安全安心や生活環境を守る対策などについて、引き続き国へ要請してまいります」というお馴染みのフレーズしか返ってこない
共産党議員団、次の一手は…

前回の定例会で大滝実議員(共産)は「予定航路下の住民に対しては小学校区ごとに説明会を開くこと」を提案し、2月の港区内5か所での教室型説明会の実現につながった(羽田新ルート|港区でも教室型説明会が始まる)。
今回、風見利男議員(共産)は、3つ提案し(説明会の民主的運用、地方航空の活用、新ルート撤回)、区長からは新ルート撤回以外は対応する旨の答弁を引き出している。次の一手が期待される。 

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2024年6月1日、このブログ開設から20周年を迎えました (^_^)/
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