羽田新ルートの運用が始まったのは20年3月29日。
国交省が定期的に公表している「新飛行経路 定期運用報告」のなかに、「羽田空港新飛行経路に係る航空機騒音の測定結果」として20か所の騒音データが掲載されている。このうち小中学校(10か所)の騒音データを可視化した。
※投稿21年9月24日(更新24年3月13日:23年12月分までのデータを反映)
騒音測定局の位置
国交省が騒音データを公表している測定局は20か所。うち小中学校に設置された測定局は10か所(次図、次々図)。
「騒音測定局の位置が分かるグーグルマップ」より作成
「羽田新ルート|川崎市上空(B滑走路出発ルート)」より作成
※23年4月1日から殿町小学校において騒音測定を開始。
小中学校と羽田新ルートとの位置関係を以下に示す。
※国交省が公表している「羽田空港新飛行経路に係る航空機騒音の測定結果」を元に作成。
都心低空飛行ルート(南風時・A/C滑走路到着ルート)
- 袋小学校(北区)
・C滑走路好天着陸経路のほぼ直下
・高度約4,000~4,500ft(約1,200~1,350m) - 赤塚第二中学校(板橋区)
・A滑走路好天着陸経路とC滑走路悪天着陸経路のほぼ直下
・高度約4,000~4,500ft (約1,200~1,350m) - 千早小学校(豊島区)
・C滑走路好天時着陸経路のほぼ直下
・高度約3,500~4,000ft(約1,050~1,200m) - 落合第二小学校(新宿区)
・C滑走路好天時着陸経路のほぼ直下
・C滑走路悪天時着陸経路からは側方500m程度に位置する
・高度約3,500ft(約1,050m) - 広尾中学校(渋谷区)
・A滑走路着陸経路とC滑走路着陸経路のほぼ中間、どちらからも側方800m程度
・高度約2,000ft(約600m) - 田道小学校(目黒区)
・A滑走路着陸経路の側方400m程度
・高度約2,000ft(約600m) - 高輪台小学校(港区)
・C滑走路着陸経路のほぼ直下
・高度約1,500~2,000ft(約450~600m)
荒川沿い北上ルート(北風時・C滑走路出発ルート)
- 第五葛西小学校(江戸川区)
・C滑走路北向き出発経路の側方200m程度に位置する
・高度約3,000~6,000ft(約900~1,800m)
川崎ルート(南風時・B滑走路出発ルート)
- 羽田小学校(大田区)
・B滑走路西側出発経路の側方1km程度、羽田空港からは800m程度に位置する
・高度約500ft(約150m) - 殿町小学校(川崎市)※23年4月1日から測定開始
・B滑走路西向き出発経路の側方200m~1km程度に位置する。
・高度約1,000ft(約300m)
都心低空飛行ルート(南風時)
都心低空飛行ルート(南風時・A/C滑走路到着ルート)の騒音レベルの最大値平均の月次変化を次図に示す。
騒音レベルの大きさは概ね次の順となっている。
- 高輪台小>田道小>広尾中>落合第二小>千早小>袋小>赤塚第二中
高輪台小(Cルート直下)と田道小(Aルート側方約400m)の大型機通過時の騒音レベルは、70dBを超えている。
メモ
- 上図の騒音レベルは、各大型機が通過したときに発生した騒音の最大値の平均値であることに留意する必要がある(東京都の公表データと違って、各機最大値の最大値は公表されていない)。
- 上図の騒音発生回数は次のように計算した。
測定結果に掲載されている騒音発生回数は月当たりの騒音発生回数。そこで、「新飛行経路の運用実績・運航便数」に掲載されている日報から、南風・北風運用日数をそれぞれ拾い上げて、羽田新ルート運用日数当たりの騒音発生回数を算出した。
荒川沿い北上ルート(北風時)
荒川沿い北上ルート(北風時・C滑走路出発ルート)の騒音レベルの最大値平均の月次変化を次図に示す。
大型機通過時の騒音レベルは、概ね65~70dBの範囲で推移している。ただし、東京都の公表データと違って、各機最大値の最大値ではなく、各機最大値の平均値であることに要留意。
メモ
※同上
川崎ルート(南風時)
川崎ルート(南風時・B滑走路出発ルート)の騒音レベルの最大値平均の月次変化を次図に示す。
騒音レベルが23年1月を境に低下した。
22年11月1日以降実施された騒音対策(大型機を対象に離陸滑走ポイントを滑走路末端に指定することによって陸域の通過高度の引き上げと早期の旋回が可能となる)が功を奏しているのかもしれない(川崎ルートにおける騒音影響の軽減方策(11月1日から実施)の効果を試算してみた )。
メモ
※同上
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