「みなとの空を守る会」は、都心低空飛行の中止を求める署名リーフに添付されたハガキに記された国への意見を公開している。
港区以外のハガキを除いた262件(約1万700文字)を対象にテキストマイニングしてみた。
「署名ハガキに寄せられた国への意見」271件
「みなとの空を守る会」は9月頃から都心低空飛行の中止を求める署名リーフを配布している。同リーフに添付されたハガキは裏面が署名、表面が意見記入欄となっている(次図)。
記載された意見は「みなとの空を守る会」のホームページで随時公開されている。
その6(12月20日公開)までに公開されたのは全部で271件。町名別内訳をみると、高輪がダントツで、次いで白金台が多い(次図)。
※赤色は、羽田新ルートが通過する町名であることを示す。
「みなとの空を守る会」による手書き文字をテキストに起こすという労力には頭が下がる(約2万600字)。ただ、文字がてんこ盛りなので、全体を俯瞰しにくい(次図)。
そこで、フリーソフト「KH Coder」を使って、港区以外のハガキを除いた262件(約1万700文字)を対象にテキストマイニングをやってみることにした。「KH Coder」を使うことで、意見として記された文章を単語や文節で区切り、それらの出現回数や出現傾向などを解析することができる。
共起ネットワーク分析:航路下住民の嘆きと怒り
まず、共起ネットワーク分析。同分析によって、どんな言葉が多く出現し、どの言葉とどの言葉が一緒に使われていたのかを探ることができる。
特徴的な言葉(特徴語)上位60語を対象に、共起ネットワーク分析した結果を次図に示す。
円の大きさは特徴語の出現回数の多さを表すことから、「署名ハガキに寄せられた国への意見」としては、都心低空飛行による飛行騒音に係る声が多いと言える。
色で分けられた特徴語を見て、筆者がエイヤっと付けた小見出しは、次の4つ。
- 騒音・落下・ストレス・不安の声
- 反対の声、変更を求める声
- コロナ禍で窓が開けられない
- 国の責任を問う声
航路下住民の嘆きと怒りが伝わってくる。
対応分析:反対・見直しに多様な意見
次に、対応分析(コレスポンデンス分析)の結果を次図に示す。特徴語(上位60語)を可視化することで、「署名ハガキに寄せられた国への意見」の理解がさらに進む。
対応分析の結果の解釈の仕方は様々ある。筆者は次のように解釈した。
- 横軸:
原点を境に、左側は羽田新ルートに「絶対反対」、右側はコロナ減便による「中止」を示している傾向が見られることから、「コロナ軸」を表している。 - 縦軸:
原点を境に、上側は羽田新ルートに係る「物理的な影響」、下側は「精神的な影響」を示していると考え、「影響軸」を表している。
羽田新ルートに反対するにしても、見直しを求めるにしても多様な意見があるということが分かる。
羽田新ルート|テキストマイニング分析