なぜ一個人のブログが、21年という歳月を超えて続くのか。
情報の鮮度が命とされるインターネットの世界において、「継続性」そのものが価値になる場面がある。
このブログは、2004年にマンションチラシの分析からスタートし、都市政策、民泊問題、羽田新ルートなど、テーマを社会課題へと拡張してきた。
なぜ今も書き続けるのか。その理由と、このブログが果たしてきた役割を、21年目の節目にあらためて整理しておきたい。
※初出:2018年6月1日(最終更新:2025年6月1日)
折り込みチラシから始まり、今や住環境全般へ
2004年6月1日、このブログは産声を上げた。
当時の主なテーマは、マンションの折り込みチラシの読み解き。間取りや価格の行間に込められた販売戦略を分析する記事が中心だった。
だが、折り込みチラシ自体が激減した(次図)。情報の流通経路が大きく変化し、紙からネットへ、物理からデジタルへと移り変わった。
それにともない、ブログの主軸も自然と拡がっていった。今では「住環境全般」を扱う媒体へと進化している。

「マンションチラシ消滅… 」のグラフを更新
趣味から社会的関与へ
「これは趣味です」と言っていた時期もある。だが、今は違う。
国や自治体に対する情報開示請求、議会動画の文字起こし、行政資料の精査と可視化。やっていることの多くは、すでに市民による情報ボランティアに近い。
目的は明確だ。
必要な情報が、適切に届いていないからである。
「知られていないこと」を知り、「見過ごされていること」に目を向ける。その作業を、言葉とデータを使って続けている。
継続して扱ってきた主なテーマ
長年、不動産全般にテーマを広げながら駄文を重ねるなか、「民泊」記事が増えた時期もあったが、いまでは「羽田新ルート問題」記事にシフトしている(次図)。

マンション市場分析
マンション市場を取り巻く環境もまた、年ごとに変化している。短期的な価格動向だけでなく、供給構造、購入層、制度改正など、多角的な視点からの分析を続けている。
各記事は、整理されたまとめページにも収録している。
民泊問題(15年6月~)
民泊という言葉が社会に定着する以前から、その動向を追ってきた。制度の穴を突いた違法営業、外国資本の流入、地域コミュニティの影響など、論点は多岐にわたる。
- 合法民泊の届出件数に係る定量分析記事
住宅宿泊事業の届出状況を可視化 ※適宜更新 - 中国系民泊仲介サイトの登録件数に係る定量記事
アクセスしようとしたら個人情報の登録を求めてきたので20年9月をもって終了した。中国政府の影!中国系民泊仲介サイトの定点観測終了【保存版】
羽田新ルート問題(16年8月~)
国際線強化の名の下に設定された羽田空港の新飛行ルート。その直下には、100万人規模の住民が暮らしている。
彼らの多くが、騒音、落下物、墜落リスクという現実的な不安にさらされているにもかかわらず、問題の共有は十分とは言えない。国の説明は常に「安全です」「丁寧な説明に努める」に終始する。
筆者がこの問題を継続的に扱ってきたのは、そこに情報の空白があるからだ。
空白を埋めるのは、政策批判ではなく、事実の積み重ねである。
読者層は誰か
Google Analyticsを用い、直近1年間(2022年6月1日〜2023年5月31日)にアクセスしたユーザーの属性を分析した。
その結果、25歳〜44歳の男性読者が全体の約4割を占めていることが分かった(次図)。

住宅購入や子育て、資産形成など、人生の意思決定を担う層が、確実にこのブログにアクセスしている。だからこそ、情報の質と厚みを担保する必要がある。
そして、これから
では、このブログはいつまで続くのか。正直、それは分からない。
だが、ひとつだけ明確に言えるのは、「生活者のための情報を届ける」という姿勢は今後も変わらないということだ。
首都圏を中心とした住環境をめぐる情報を、一次資料に基づき、生活者の視点から読み解き、構造化し、わかりやすく伝える。これまでもそうしてきたし、これからもそうするつもりである。
読者からの支援と共感を糧に、体力と知力の続くかぎり、筆を止めることはない。
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