羽田新ルート問題につき、20年第1回定例会本会議での代表質問や一般質問はどのくらい行われたのか?
これまでブログ記事に投稿してきた各区議会の質疑応答をもとに整理しておいた。
羽田新ルートに関連した質疑応答があった都議会と11の区議会の議員の発言ポイントを以下に示す。
※以下、敬称略
羽田新ルートの質疑があった都議会と11区議会
都議会(共産1、公明1、ネット1)
- 和泉(共産):撤回することを強く求めるべき
- 知事:丁寧な情報提供や・・・
- 山内(ネット):計画の見直しを
- 技監:都民の理解がさらに深まるよう、引き続き国に対し、・・・
- 伊藤(公明):人口密集地域の上空を低空で飛行しない航空システムの構築を強く求め
- 技監:(※答えず)
⇒詳しくは、都議会「20年第1回定例会」質疑応答
※【参考】都 予算特別委員会 羽田新ルートに係る質疑応答
中央区議会(共産1)
- 小栗(共産):もう一度見直し、再検討を求めたい
- 副区長:大変ラッキーなことに、私どもの上空は通らない
⇒詳しくは、中央区議会「20年第1回定例会」質疑応答
港区議会(自民2、共産1、みなと1)
- 鈴木(自民)羽田新飛行経路を恒久化しないよう
- 区長:新ルートに限らず、様々な運用を検討するよう強く求める
- 風見(共産)羽田新飛行計画の撤回
- 区長:撤回を国に要請することは考えておりません
- うかい(自民):落下物、飛行停止などのペナルティを国が課す区長:国に対して、航空会社へのさらなる指導の強化など
- 玉木(街づくりミナト):区ができる騒音対策への支援
- 区長:適切な対応を検討するよう強く求める
⇒詳しくは、港区議会「20年第1回定例会」質疑応答
品川区議会(共産1)
- 鈴木(共産):区長はなぜ中止を求めないのか
- 都市環境部長:固定化することがないよう、強く求めていく
⇒詳しくは、品川区議会「20年第1回定例会」質疑応答
目黒区議会(共産1)
- 区長:海から入ってくれば解決できる?(逆質問)
- 斉藤(共産):後で資料を提出します
⇒詳しくは、目黒区議会「20年第1回定例会」質疑応答
大田区議会(共産2)
- 菅谷(共産):国に対して中止を求めること
- 区長:国に対しさらなる対策の強化を強く求めてまいります
- 杉山(共産):国に増便中止を求めるべき
- 区長:さらなる対策の強化と徹底を国に要請
⇒詳しくは、大田区議会「20年第1回定例会」質疑応答
渋谷区議会(共産1、立民1、他2)
- 五十嵐(共産):丁寧な説明が行われてきた?
- 区長:そりゃ空飛んでほしくないです
- 治田(立民):区長が自ら率先して国に対して・・・
- 区長:常に区政の先頭に立つつもりでやっております
- 堀切(れいわ渋谷):まず方向性に関してきちんと説明いただきたい
- 区長:国の事業ですから国の責任において・・・
- 須田(無所属):事故発生時の補償について
- 区長:国が責任を持って補償するように求めていく
⇒詳しくは、渋谷区議会「20年第1回定例会」質疑応答
豊島区議会(ネット1)
- 塚田(ネット):再度の教室型説明会が必要
- 副区長:国に対して引き続き開催を強く要望
⇒詳しくは、豊島区議会「20年第1回定例会」質疑応答
北区議会(共産1、ほか1)
- さがら(共産):撤回するよう国に求めてください
- 生活環境部長:撤回を国に求めることは考えておりません
- 福田(無会派):住民の理解を得るまでの間、延期を
- 生活環境部長:運用開始時期の延期を国に求めることは考えておりません
⇒詳しくは、北区議会「20年第1回定例会」質疑応答
足立区議会(共産1)
- 浅子(共産):区として撤回を求めるべき
- 都市建設部長:撤回を求める考えはございません
⇒詳しくは、足立区議会「20年第1回定例会」質疑応答
葛飾区議会(無所属1)
- みずま(無所属):海上への離発着ルートの徹底を求めるべき
- 環境部長:徹底した安全管理に取り組むことを国に要望
⇒詳しくは、葛飾区議会「20年第1回定例会」質疑応答
江戸川区議会(共産1)
- 牧野(共産):3月29日からの新ルート実施は延期を求めるべき
- 区長:運用開始の延期を求める考えはございません
⇒詳しくは、江戸川区議会「20年第1回定例会」質疑応答
羽田新ルートが通過するのに質問が無かった5区議会
羽田新ルートが通過するのに、本会議の代表質問・一般質問で羽田新ルートの問題が取り上げられていないのは5つの区(練馬、板橋、中野、江東、新宿)。
5つの区議さん仕事してますか?
「委員会で議論しているよ」と反論が聞こえてきそうだが、委員会の議論など区民には届かない。本会議の質疑応答さえなかなか届かないのだから。
雑感
都議会と11の区議会での羽田新ルート問題をすべて視聴した筆者だからこそ言えること。
特筆すべき3つの発言
特筆すべき発言を3つ上げるとするならば、次の発言しかないだろう。
1位:そりゃ空飛んでほしくないです(渋谷区長)
今回の定例会に限らず毎回、共産党の議員から新ルートの撤回を求められて、思わず本音が飛び出した!?
2位:大変ラッキーなことに、私どもの上空は通らない(中央区副区長)
高齢1期の”頼まれ区長”の代わりに、答弁に立った7期も副区長を務めているヌシから飛び出したお気軽発言。
3位:海から入ってくれば解決できる?(目黒区長からの逆質問)
不意打ちを食らった共産議員は、時間切れを理由に「後で資料を提出します」と応じるしかなかった。
国に丸投げする耳タコ表現
都議会・11区議会の答弁で共通していたのは、撤回や見直しを求める議員の質問に対する答え方だ。
「都民(区民)の理解がさらに深まりますように、丁寧な情報提供や騒音・安全対策の着実な実施を求めてまいります」という、国に責任を丸投げするお馴染みの表現である。
「丁寧な情報提供」「着実な実施を求めてまいります」という耳タコ表現。国交省が「羽田新ルート議会対応QA」を作成し、役所に配布しているのではないかと思えるほどだ。
質問から逃げ回る首長、真摯に向き合う首長
質問から逃げ回る首長
質問から逃げ回る首長の代表格は、品川区の濱野健区長(4期、72歳)。同区長が羽田新ルート問題で最後に登壇したのは18年10月25日第3回定例会。区長の代わりに毎回答弁に立たされているのは都市環境部長。品川区長はもう、この都市環境部長と交代でいいのでは。
あと、品川区長ほど極端ではないが、もうひとり質問から逃げているのは小池都知事。最初のほうの質問に登壇したあとは、都技監に丸投げ。
質問に真摯に向き合う首長
質問に真摯に向き合う首長の代表格は、長谷部健渋谷区長と青木英二目黒区長。
両区長とも、国が責任を持って判断すべきというスタンスは1ミリも変わらないが、議員から投げられた質問のひとつひとつに丁寧に、かつ自分の言葉を交えて回答している姿勢だけは評価できる。
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