23区内で羽田新ルートが上空を通過するのは13の区。19年第2回定例会では、6つの区議会で合計9名の議員から、羽田新ルートに係る質問があった。
僭越ながら、3つの観点(実効性、具体性、先見性)から、筆者が独断で三つ星評価させていただいた。
※敬称略
以下、各区議の三つ星評価と主な主張を列挙する。
渋谷区議会(6月6日、7日)
牛尾真己(共産)☆☆☆
- 羽田空港都心低空飛行計画の撤回を求めるべき
金子快之(れいわ渋谷)★★★
- 区内での教室型説明会の開催予定?
- 米側で発着枠の配分が先行していることについて
- ICAOのChapter14基準による騒音制限を国に求めるべき
- 新ルートが不動産価格に与える影響?
- 何らかの損失補填や安全対策を国に求めるべき
※詳細は、「渋谷区議会「19年第2回定例会」質疑応答 」
練馬区議会(6月19日)
やない克子(生活者ネット)★☆☆
- 今後も教室型説明会の開催を国に要望すべき
- 新たな基準が適用されて落下物や部品欠落が減少したのか、公開すべき
- 計画は見直すよう国に要望すべき
※詳細は、「練馬区議会「19年第2回定例会」質疑応答」
江戸川区議会(6月20日)
大橋美枝子(共産)★☆☆
- 新ルート案の撤回を国に求めるべき
- 環境基準の見直し、防音対策などの支援策を求めるべき
※詳細は、「江戸川区議会「19年第2回定例会」質疑応答」
港区議会(6月20日)
うかい雅彦(自民)☆☆☆
- 日本の航空政策について
福島宏子(共産)★★☆
- 区長から国土交通省に計画撤回を求めること
- 港区として試験飛行の実施を国に求めること
- 教室型説明会を再度全地区で行うこと。昼夜の時間帯で行い、多くの区民に参加を促すこと
※詳細は、「港区議会「19年第2回定例会」質疑応答」
豊島区議会(6月26日)
清水みちこ(共産)★☆☆
- 教室型説明会を今回の2回だけでなく、強く国に働きかけるべき
- 国に計画の白紙撤回を求めるべき
※詳細は、「豊島区議会「19年第2回定例会」質疑応答」
品川区議会(6月27日、28日)
鈴木ひろ子(共産)☆☆☆
- 品川区上空を飛行しないルートへの再考を強く求めるべき
- 「まずは、飛ばすことを認める」ということなのか?
吉田ゆみこ(生活者ネット)★☆☆
- (都連絡会では)区議会の決議を踏まえたスタンスを表明すべき
※詳細は、「品川区議会「19年第2回定例会」質疑応答」
雑感
上記に示した6区・9名の質問内容などを次表にまとめた。
最も多く「羽田新ルート問題」を取り上げたのは共産党(5名)。次いで生活者ネットワーク(2名)。あと、れいわ渋谷1名(れいわ新選組ではなく、N国所属)と提灯質問をした自民党1名。
「人間・人類の幸福追求を目的」とする公明党や自分ファースト、「個人の権利を尊重」する立憲民主党や「生活者の立場」に立つ国民民主党に所属する区議からの質問はなかった。
ただ、せっかく羽田新ルート問題を取り上げても、撤回を叫ぶだけでは物事は1ミリも動かない。また、教室型説明会の開催を迫る作戦は、周回遅れの感が否めない。
まあ、羽田新ルート問題を取り上げなかった7つの区(大田、目黒、新宿、江東、北、中野、板橋)の区議は問題外なのだが。
9月から始まる第3回定例会では、これまでの他区・他会派の質疑や、国会の質問主意書を踏まえ、より合目的的な、先を見据えた具体的で実効性のある質問に期待したい。
※追記(21年10月8日)
- 里吉(共産):都民や関係自治体の理解が得られていると思っているのですか
- 知事:都民の皆様や関係自治体の理解がさらに深まるように、なお一層の取り組みを求めてまいります
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