一般財団法人 土地総合研究所は、不動産市場の需給動向を把握し国土交通行政に資することを目的として、四半期ごと(1月、4月、7月、10月)に三大都市圏および地方主要都市の不動産業者を対象としたアンケート調査(不動産業業況等調査)を実施している。
本稿では、そのうち住宅分譲業に関する指標を可視化し、住宅市場の構造変化を定点観測する。
※初投稿2021年6月3日(更新2026年2月19日:2026年1月データ反映)
長期トレンド:価格は強く、需要指標は弱い構造

販売価格、成約件数、モデルルーム来場者数、在庫戸数の各指数を長期でみると、次の構造が確認できる。
- 販売価格指数は2012年以降おおむねプラス圏で推移
- 来場者数・成約件数は長期的に弱含み
- 在庫指数は高水準が続き、供給制約の存在を示唆する
住宅市場は需要が強いから価格が上がる局面ではない。
供給が絞られる中で価格が維持される局面にある。
価格上昇は活況を意味しない。むしろ需給の歪みを示すサインである。
直近半年:需要は戻らず、価格だけが維持される

近似曲線を重ねると、足元の局面がより明確になる。
- 来場者数・成約件数は回復していない
購入検討層の動きは鈍いままである。 - 在庫は逼迫状態が続く
供給余力は限定的で、供給量が抑制されている構図が透ける。 - それでも価格は高水準を維持
販売側は値下げで需要喚起する選択をしていない。
この3点を合わせると、市場は明確に「売れないが高い」局面にある。
これは需要の強さではなく、供給制約とコスト上昇が価格を支えている状態である。
今の住宅市場はどの局面にあるのか
住宅市場は通常、
- 需要増 → 成約増 → 価格上昇
- 価格上昇 → 需要減退 → 在庫増
- 在庫増 → 値下げ → 市場調整
という循環を辿る。
しかし現在はこの循環が崩れている。
- 需要は弱い
- 在庫は増えない
- 価格は下がらない
これは典型的な不況型でもバブル型でもない。
供給制約型の停滞局面である。
この構造では、急騰も急落も起きにくい。
ただし購入難易度は上がり続ける。
【参考】各指数の定義
- 販売価格の動向、成約件数、モデルルーム来場者:
{増加(上昇)回答数-減少(下落)回答数}÷全回答数×100- 在庫戸数:
{減少回答数-増加回答数}÷全回答数×100- 横ばい回答は0として算定(指数は-100~+100、0が分岐点)