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羽田新ルート|北区議会「20年第1回定例会」質疑応答

北区議会「20年第1回定例会」本会議の個人質問(2月26日)で、羽田新ルートに関して、さがらとしこ議員(共産)と福田光一議員(無会派)の質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、テキスト化(約4千文字)しておいた。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

※答弁は、生活環境部長


さがら議員(共産)

さがらとしこ議員
さがらとしこ議員(共産党、区議7期、大東文化大卒、69歳)

はじめに、世界一危険な飛行ルートと言われる羽田新ルートについての質問です。

港区白金台にある保育園の上を大型旅客機が轟音を響かせて通過した時、「1歳9か月の園児が『鬼の音がする』と言って泣き出し、大人の私たちも恐怖を覚えた」と保育園の先生は証言しています。


突然の轟音が鬼の音に聞こえた幼い子供たち、先生にしがみつき悲鳴を上げ、その恐怖に怯えていたその情景が胸に迫ってきます。


都心上空を旅客機が低空飛行する羽田新ルートは、3月29日の本格運用前に、民間旅客機を使った実機飛行確認が1月30日から2月12日までで実施され、合わせて1267便が飛行。

北区の上空を含む南風C滑走路着陸は2月2日から12日のうちの7日間、合わせて520便が飛行したと国交省は報告しています。


実機飛行確認とは乗客を乗せての試験飛行です。

2分に1機どころか、すぐ後から次の飛行機が待っていた。飛行機の腹がはっきり見える低空飛行だった。

これから毎日のように飛ぶのですか。落下物を目撃した人がいるって言ってましたね。学校や保育園が心配と空を見上げながら住民の不安が広がっています。

問1:どのような施設がその影響下にありますか?

そこで、1点目の質問です。

羽田新ルートの下またその周辺を合わせると小中学校や保育園、病院など2000を超える施設が存在すると言われますが、騒音測定局が設置された袋小学校はじめ、区内ではどのような施設がその影響下にありますか。具体的にお答えください。

問2:強引に運航開始する国の姿勢を北区は黙って許す?

2点目の質問は、羽田新ルートの騒音、落下物などの危険が指摘され、住民や自治体の意見にもパイロットや管制官の意見にも耳を貸さずに作られた飛行ルートを3月末から運航するという国のやり方に対する北区の認識・姿勢についてです。


2月10日、新ルートの撤回を要求する住民の会が呼びかけた緊急学習会には、試験飛行の危険性を身近に体験した住民が会場一杯に駆けつけました。

学習会で講演された杉江弘さんは、日本航空の機長として40年の実績を持ち、航空機の安全で安定的な進入の指針、スタビライズド・アプローチを考案した方です。


飛行機事故は決して起こしてはならないという決意が込められたこの指針は、日本のエア・パイロットにとって憲法のようなものだとお話しされました。
杉江さんは、羽田新ルートについて、大きく3つの問題点と事故につながりかねない危険性を具体的に指摘しました。


大きな問題の1つは、世界の大空港では例を見ないジェットコースターのような角度、3.5度の角度で滑走路に進入しなければならないこと


2つには、羽田空港への着陸ルートの西側にある米軍横田空域への進入を避けるため、東側から2か所の時点で急旋回しなければならないという、世界でも例のない飛行方式を採用しなければならないこと。


3つに、香港の啓徳空港のように、長距離国際線の空港は都心から郊外に移すというのが世界の常識となっているも関わらず、逆に密集する都心へ移転させる世界一危険なルートになること。


そして、そのことによって人口密集地で落下物による人的・物的被害が発生する危険。低空飛行による騒音被害、急角度の滑走路への進入によって機体の尻餅事故などの着陸事故が多発する危険。


ルート図を見ると、2機が並行して飛んでいて、どちらも急旋回して着陸態勢に入るという、世界でも初めての進入方式のため、高度差があるとはいえ1000フィート、300メートル程度ではニアミスが起こる危険性


品川区のように住民や議会が反対しているにも係わらず、その意思を無視した行政手法の悪しき例になること。さらに、実際に操縦するパイロットや管制官の意見を聞かず、飛行方法がトップダウンで決められたこと、などの問題を指摘。


杉江さんは「航空専門家として、命を軽視したこの羽田新ルートは撤回させるしかありません」と力を込めて参加者に訴えました。

問3:羽田新ルートは撤回するよう国に求めてください

質問します。
専門家が撤回しかないと指摘し、住民が反対している新ルートにも係わらず、3月29日から強引に運航開始する国の姿勢を北区は黙って許すのですか
区長の明快な答弁を求めます。


3点目の質問は、都心低空飛行の羽田新ルートは撤回するよう国に求めてください
区長、区民の命を守る決意をお示しください。答弁を求めます

生活環境部長
生活環境部長

答1:ルート付近には、袋小学校のほか、・・・

私からは羽田新ルートに関するご質問に順次お答えいたします。
まず、羽田新ルート下において区内ではどのような施設があるか、とのご質問です。


羽田新ルートのうち南風時において着陸機が北区上空を飛行する経路は、概ね浮間一丁目から赤羽北2丁目、赤羽北3丁目を経て桐ケ丘1丁目付近を通過するルートとなっています。


ルート付近には、袋小学校のほか、浮間さくら草保育園、東京北医療センター、北赤羽せせらぎ保育園、ふくろ幼稚園、赤羽北のぞみ保育園、袋保育園、桐ケ丘中学校、都立桐ケ丘高等学校などがあります。

答2:各対策の更なる充実と強化に積極的に取り組むよう要請

次に、強引に羽田新ルートの運用を開始する国の姿勢を北区は黙って許すのか、とのご質問です。


国は、首都圏の国際競争力強化や訪日外国人旅行者の受け入れなどのため、学識経験者や航空専門家なども交えた国政の場での議論、国会での審議をはじめ、関係自治体や区民の皆様からのご意見なども踏まえつつ、国の航空政策として、国の判断と責任において新飛行経路の運用開始を決定したと認識をしています。


区は、運用開始を決定するにあたっては、国に対し区民の皆様の安全が確保されていることを最低条件とし、区民の皆様の不安や疑問に答える丁寧かつきめ細かな説明、十分な情報提供、そして安全対策や環境対策の充実と強化を求めてきました


今後も国に対しては、運用開始決定後においても、様々なご意見があることを踏まえ、安全対策や環境対策等に関する調査や検証を行うとともに、各対策の更なる充実と強化に積極的に取り組むよう要請してまいります。

答3:撤回を国に求めることは考えておりません

次に、羽田新ルートの撤回を国に求めることについてです。
羽田新飛行経路の運用につきましては、国の航空政策として国の判断と責任において進めるべきものと認識をしております。


このため区は、新飛行経路の撤回を国に求めることは考えておりませんが、引き続き区民の皆様の安全を守る立場から、今後も国に対しては区民の皆様の不安や疑問に答える丁寧かつきめ細かな説明や十分な情報提供を行うとともに、さらなる安全対策や環境対策の充実と強化に積極的に取り組むよう要請してまいります。

福田議員(無会派)

福田光一無会派(新社会党所属)

福田光一 議員(新社会党、区議3期、元プロボクサー、法政大卒、40歳)

次に、羽田新ルート問題についてです。
国土交通省は今年3月29日から、羽田空港の機能強化ということで、従来の「海から入り、海に出て行く」というルートを変更し、都心低空飛行を行う新ルートの運用を始めようとしています。


この間、乗客を乗せた実機飛行が行われましたが、騒音、落下物、事故の危険性など、解決できない問題が多く、関係住民の反対の声は大きくなり続けています。


関係自治体のなかでも、北区は他区と比べ、それほど大きな被害を被るわけではありません。しかし、それでも様々な影響があります。

空港近接区の状況はなおさらですが、特に落下物の危険は大きいと言わざるを得ません。


区民生活委員会でも指摘しましたが、国交省は「もう何年も前から落下物対策をしていて、万全の体制を敷いている」と言っているにも関わらず、落下物・部品欠落の件数は制度を拡充してからの1年間で447件あります。

そのうち1キロを超える落下物は6件。海に落ちて発見されていない氷などを含めれば落下物はもっと多いと考えられます。


パイロット経験のある専門家の話によれば、「落下物というものは避けられない」ということです。また、「落下物は直下に落ちるだけではなく、落下地点はかなり広範囲にわたる」と述べています。

さらに「この間の国交省が行ってきた説明には、多分に誤りが含まれている」と指摘しています。「国交省が言うよりも落下物の問題は大きい」と主張しています。


このような非常に危険な飛行ルートが、多くの住民の反対を押し切って行われようとしています。目先の利益のために都民の安全を損なうような飛行ルートは許されません

そこで質問です。

問1:住民の理解を得るまでの間、延期を求めてください

国に対して、区民そして関係住民の安心・安全を守るため、また、騒音被害から守るために、都心低空飛行を行う羽田新ルートに反対してください
少なくとも3月29日の運用開始に対して、住民の理解を得るまでの間、延期を求めてください

問2:教育委員会として新飛行ルートの凍結、見直しを求めてください

新飛行ルートは区内の小中学校の上を飛ぶことにもなります。
事故や落下物の危険、騒音被害から児童・生徒を守り、安心・安全の教育環境を守るためにも、教育委員会として新飛行ルートの凍結、見直しを求めてください。

生活環境部長
生活環境部長

答1:運用開始時期の延期を国に求めることは考えておりません

私からは、羽田新ルート問題のうち、羽田新ルートの運用開始に対して住民の理解を得るまでの間、延期を国に求めることについてお答えします。


国は首都圏の国際競争力強化や訪日外国人旅行者の受け入れなどのため、学識経験者や航空専門家なども交えた国政の場での議論、国会での審議を始め、関係自治体や区民の皆様からのご意見なども踏まえつつ、国の航空政策として、国の判断と責任において新飛行経路の運用開始を決定したと認識しています。


このため運用開始時期の延期を国に求めることは考えておりませんが、区としましては本区上空を飛行する以上は、区民の皆様の安全が確保されていることは最低条件であると考えています。

答2:安全対策や環境施策の充実と強化、引き続き要請

従いまして、今後も国に対しては、区民の皆様の不安や疑問に答える丁寧かつきめ細かな説明、十分な情報提供、そしてさらなる安全対策や環境施策の充実と強化に積極的に取り組むよう、引き続き要請してまいります。

雑感(お馴染みの答弁)

これまで羽田新ルート問題への関心が低かった北区議会で、前回の定例会(19年11月26日)に続き、今回の定例会でも一般質問で取り上げられた。しかも今回は2名も。

 

ただ、残念ながら、羽田新ルートの撤回・見直しを迫る議員に対して、答弁に立った生活環境部長は「国の判断と責任において進めるべき」「さらなる安全対策や環境対策の充実と強化に積極的に取り組むよう要請」という、他の区議会でもよく聞くお馴染みの文言を放つ(国に丸投げ)。

羽田新ルートの影響を受ける可能性のある住民1.2万人(次図)は、区議会での、このようなやり取りをご存じなのだろうか……。

羽田新ルートの影響を受ける町丁目マップ(北区)
拡大図(PDF:266KB)

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