豊島区議会の「20年第1回定例会」本会議一般質問(2月19日)で、羽田新ルートに関して、塚田ひさこ議員(豊島ネット)の質疑応答があった。
議会放映(録画)が公開されたので、テキスト化(約1千400文字)しておいた。
※時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。
塚田ひさこ議員(豊島ネット)
塚田ひさこ議員(豊島・生活者ネットワーク、区議1期、元サントリー社員、成城大卒、57歳)
問1:豊島区独自で騒音測定をすべき
「区民の生活を脅かす豊島区上空低空飛行ルート」について質問します。
3月29日から実行される羽田空港増便計画による豊島区上空低空飛行ルートの実機飛行確認が定期便を使って2月2日日曜日夕方から実行されました。区役所10階の豊島の森からも、想像以上の大きな機体が、飛行機が次から次へと南に飛んでいく姿を間近で確認しました。
事前の国土交通省の説明では、「飛行ルートは示されているルートからズレれても200メートルくらい」と言っていましたが、飛行機によっては1キロ近くズレているものもありました。
また、千早小学校屋上では、騒音は72デシベルと、予想されていた上限68デシベルを上回るものでした。
ルートから離れているはずの雑司ヶ谷や高田地区で、いつもとは違う大きな機影、大きな騒音が聞こえていました。豊島区上空低空飛行ルートは、区長が招集挨拶で「実現を目指す、安全・安心で快適な区民生活」を脅かすものです。
国土交通省は、千早小学校屋上に騒音測定器を設置しましたが、豊島区独自で騒音測定をすべきと考えます。区長のお考えをお聞きします。
問2:再度の教室型説明会が必要
2016年から、低空飛行ルートの問題について、度々指摘してきました豊島・生活者ネットワークは、多くの区民からの問い合わせがありました。
「こんなに飛行機が大きく見え、騒音が絶え間ないものなのか。これではストレスから病気になる人もいるのではないか」。なかには、「一時的な試験飛行だろう」と誤解されている方もおり、「3月29日からは午後3時から7時までの南風晴天時は、これが毎日続くんですよ」とお答えしたところ、「それはトンデモナイ」という答えでした。
まだ、区民には十分に情報が行き届いておらず、いざ飛んでみて危険性を感じた区民の方が多くいる状況です。豊島区役所にも、問い合わせが来ていると聞いております。
再度の教室型説明会が必要です。今後の教室型説明会の開催の予定についてお聞きいたします。
呉祐一郎 副区長
呉祐一郎 副区長(元国交省住宅局市街地建築課 市街地住宅整備室長、都立大学大学院卒、55歳)
答1:南長崎第二保育園の屋上で計測をすることを計画
「区民の皆様の生活を脅かす豊島区上空低空飛行ルート」についてのご質問のうち、まず豊島区独自の騒音測定の実施についてのご質問にお答えいたします。
本区においては、国のような常時監視できる設備は持っておりませんが、区も独自にできる範囲で騒音測定を行う必要があると考えております。具体的には、区内で最も低く飛行する経路の下にある南長崎第二保育園の屋上で計測をすることを計画しております。
今後、測定時期や公表の方法など、詳細についてさらに検討してまいります。
答2:国に対して引き続き開催を強く要望
次に、再度の教室型説明会の必要性および今後の教室型説明会の開催予定についてのご質問にお答えいたします。
区はこれまでも国に対して、教室型を含めた説明会の開催など、丁寧な説明を強く要望してまいりました。オープンハウス型説明会については、先月、3回開催されたところでございますが、再度の教室型説明会については、現時点で国から予定の情報は伝えられておりません。
また、2月2日から実機飛行による確認が実施され、本区にも不安の声が寄せられるなど、様々なご意見を持たれている区民の方がいらっしゃると認識をしております。
区としましても、再度の教室型説明会の開催は必要であると考えており、国に対して引き続き開催を強く要望してまいります。
雑感
前回の定例会(19年第4回)一般質問では、12名の区議のうち羽田新ルート問題を取り上げたのは1名だった(共産党の清水議員)。
今回は16名のうち共産党からは2名登壇しているのだが、羽田新ルートを質問したのは、共産党議員ではなく、豊島・生活者ネットワークの議員だった。
豊島区民の15%、4万人も航空騒音の影響を受ける可能性があるのに(筆者調べ)、区議の関心はすこぶる低い。
※仮に、塚田議員以外の議員が羽田新ルート問題を取り上げていたとしても、質問項目に「羽田」とか「低空飛行」といった文言がなければ外部からは認識されない。
今回、せっかく塚田議員が取り上げた羽田新ルート問題だが、質問内容が「区独自の騒音測定」と「教室型説明会の再度開催要望」といった、羽田新ルートの3月29日の運用を前提としたものであった。
「いちおう、羽田新ルート問題を取り上げておきましたよ」感が否めない……。
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