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羽田新ルート|品川区議会「24年第2回定例会」質疑応答

品川区議会の「24年第2回定例会」本会議一般質問(6月27日~28日)で、羽田新ルートに関して3名の質疑応答があった。

議会中継(録画)もとに、全文テキスト化(約4千文字)しておいた。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

※部長答弁は都市環境部長。


野館稔史 議員(共産)6月27日

野館稔史 議員(共産)
野館稔史 議員(共産、区議3期、元建築設計事務所所員、東洋大学工学部卒、39歳)

野館:実態調査を行う責任が区にはあると

最後に、「安全より効率最優先の羽田新ルートは中止を 区はアンケートに寄せられた被害の実態調査を」です。


昨年夏に実施された羽田新ルートに関する全区民アンケートの自由意見が全て公開されました。被害は騒音や落下物に加えて、大気汚染126件、電波障害126件、資産価値の下落251件もの声が寄せられています。アンケートで明らかになった大気汚染、電波障害、資産価値の下落等の被害について聞きっぱなしではなく、実態調査を行う責任が区にはあると思いますが、いかがでしょうか。


国交省は5月27日、日本航空JALに対し、指示を得ず滑走路に侵入や機体接触など5件の運航に関する安全上のトラブルが相次いでいるとして厳重注意しました。この問題について、航空評論家の杉江弘氏に話を伺いました。


「今の航空業界は安全第一になっていない。運航ポリシーの優先順位は安全、定時、快適。しかし、実態は安全よりもコスト削減と効率が優先されている。相次ぐトラブルもハリーアップ症候群などによる問題」と指摘します。JAL自身も報告書でタイムプレッシャーを感じていた可能性を認めています。


また、杉江氏は「羽田新ルートは滑走路全体の使い方を変更するため、管制官はものすごい負担になる。さらに、海上ルートより遠回りになるため、時間も燃料も使い、パイロットにプレッシャーがかかる」と話します。


さらに、落下物も羽田空港で報告された部品欠落が直近の4年間で1798件にもなっています。安全よりコスト削減、効率優先で相次ぐ事故やトラブル、大量の部品脱落。これで都心の上を飛ばす新ルートが安全と言えるのか、認識を伺います。

以上で私の質問を終わります。

部長:区民負担軽減につながる方策の実施を強く求めてまいります

都市環境部長
(鈴木和彦 都市環境部長(元 都市環境部都市計画課長))

次に、羽田新飛行ルートについてです。令和5年8月に実施した区民アンケートでは、羽田新飛行ルートに関する自由記述において27,922件の様々なご意見をいただいており、とりわけ騒音に関するご意見が顕著に見受けられました。

区はアンケート結果を踏まえ、令和6年3月に2回目となる国土交通省への訪問を行い、全ての自由記述意見を含むアンケート結果を国に届けるとともに、国土交通大臣宛て要望書を提出いたしました。

要望書では、国に対し区民の声をしっかりと受け止め、固定化回避検討会を含む区民負担軽減につながる取り組みを提示し、実施するよう求めたところです。区としましては、引き続き国に対し、区民負担軽減につながる方策の実施を強く求めてまいります


次に、航空安全についてですが、区としましても航空機の運航は安全性を最優先に実施されるべきものと認識しているところです。

令和6年5月27日付国土交通省による日本航空株式会社への厳重注意を受け、区は直ちに国に対し再発防止の取り組みを進めるとともに、航空安全の向上に引き続き取り組むよう求めたところです。区としましては今後も再発防止や落下物対策を含めた安全対策の徹底について国へ強く求めてまいります。

野館:最後に羽田です。
議長:野館議員、質問をまとめてください。

渡辺ゆういち議長
(渡辺ゆういち議長)

野館:態調査を行う責任が区にはあるんじゃないですか

はい。固定化回避では解決になりません。私が伺ったのは、実態調査を行う責任が区にはあるんじゃないですか、ということです。これ改めて伺いたいと思います。以上です。

部長:区民負担軽減につながる取り組みを国に対し強く求めてまいります

次に、羽田新飛行ルートについてでございます。区民アンケートでございますが、羽田新飛行ルートに関する自由記述27,922件、様々な意見をいただいたところでございます。区の方では2回にわたり国土交通省を訪問しまして、国に結果と区民の声を直接届けてございます。

区民アンケートでは非常に、ルート直下も含めて騒音に関する影響が大きかったという結果が出てございます。区としましては固定化回避を含む区民負担の軽減について国に求めたところでございますが、引き続き固定化回避を含む区民負担軽減につながる取り組みを国に対し強く求めてまいります

野館:なぜ実態調査をやらないのか

最後に羽田です。区長自らが行ったアンケートで実際が出されていますので、なぜ実態調査をやらないのか理由を伺います。

部長:区民負担軽減につながる方策の実施を強く求めてまいります

続きまして、羽田新ルートについてでございますが、アンケート結果、自由記述も含む様々な意見をいただいてございます。こうした声、区の方ではしっかり今回国に届けてございます。

区の方では実態調査につきましては、これまでも国によって大気環境に関する影響調査、あるいは運航開始前になりますが、不動産価値に関する調査が国により行われ、これは公表されているというところでございます。

今回、区民アンケートではやはり騒音に関する影響が非常に大きい、区民負担としての影響が大きいという結果でございました。区としましてはこうした声をしっかり国に届け、騒音環境の軽減に向けた取り組みを国に対して強く求めたところでございます。区としましては引き続き国に対し必要な取り組みとともに、区民負担軽減につながる方策の実施を強く求めてまいります

西本たか子 議員(無所属)6月27日

西本たか子 議員
西本たか子議員(無所属、区議6期、東京農工大卒、63歳)

西本:元のルートに戻すことを明確に国へ要求すべき

次に、区民アンケートの生かし方について伺います。

昨年、区民アンケートが実施されました。アンケート項目は、幸福実感度、地域愛着度、羽田空港の新ルートに関してでした。

羽田空港新ルートの結果は、議会にも区民にも報告なく国土交通省に報告に行かれ、問題だと他の議員からも区民の皆様からも指摘されました。

今後区長としてどのような行動をされるか。区民の皆様の不安な気持ちを理解すれば、見直し、元のルートに戻すことを明確に国へ要求すべきではないでしょうか、お答えください。

室長:区民負担軽減につながる方策の実施を強く求めてまいります

柏原区長室長
(柏原区長室長)

初めに、区民アンケートの生かし方についてです。区は、令和5年12月と令和6年3月の2回にわたり国土交通省を訪問し、国土交通大臣宛て要望書を提出し、また議会へも報告するとともに、区ホームページで公表をしたところです。

要望書では、国に対し、ルート下近傍地域での騒音による影響が大きいとするアンケートの結果など、区民の声をしっかりと受け止め、固定化回避検討会を含む区民負担軽減につながる取組を提示し、実施するよう求めたところです。

区といたしましては、引き続き国に対し、区民負担軽減につながる方策の実施を強く求めてまいります

吉田ゆみこ議員(未来)6月28日

吉田ゆみこ議員(未来)
吉田ゆみこ議員(しながわ未来(生活者ネットワーク)、区議3期、元生活クラブ東京理事長、学習院大学法学部卒、70歳)

吉田:新ルート撤回の意見を主張すべき時

次は羽田新ルートについてです。
新ルートは2020年3月末から開始されましたが、当時すでにコロナ禍の影響で減便が始まっており、本格的に便数が戻ってきたのは昨年秋以降です。品川区が特に強く影響を受ける南風運用に限れば、この春からが新ルート計画数が100%実施される初めての年度と言ってよいと思います。


その意味では、区はこれまでにも増して区としての騒音の測定をしっかり実施し、その数値を公表すべきです。区民の苦情など、ご意見を聞き取る窓口についての広報を改めて行い、その声を積極的に国へ届け、その対策を強く求めるべきと考えますが、見解を伺います。


国は2020年6月以降、騒音負担軽減のため固定化回避検討会を立ち上げて検討を重ねていると主張していますが、一昨年2022年8月の第5回検討会を最後に、昨年秋までに開催されるはずであった次の検討会が開かれぬまま、すでに1年10か月が経過しています。この間、区では区民アンケートを実施、昨年12月初めにその結果を持って森澤区長自らが国交大臣を訪ね、固定化回避検討会の中での品川区への負担軽減策を求め、大臣も「重く受け止める」と回答されました。


品川生活者ネットワークとしては、固定化回避検討会で出されたルート案は実現不可能なものであり、もし無理にこのルートの案のとおり航路を設定したとしても、着陸直前に当たる品川区の上空は通らざるを得ず、品川区としてはむしろ航路の固定化につながるものと判断しています。つまり、固定回避検討会での検討については全く評価をしておりません。


しかし、区としては「羽田新ルート問題の解決については、固定化回避検討会での議論に期待する」と言い続けてきました。

区民の中にも区長の国交省訪問とそれに対する国交大臣の重く受け止めるという回答に対し、新たな展開として大いに期待された方もおられるのではないかと思います。しかし、すでにそれから6か月が経過した今、何ら国の動きが見えません。

この状況に対して品川区として国に対するさらなる強い要請が必要と考えますが、見解を伺います。


国が羽田新ルート問題の解決策として打ち出した固定化回避検討会での検討も行われないという現状を鑑みれば、品川区としても新ルート撤回の意見を主張すべき時と考えますが、見解を伺います。

部長:区民負担軽減につながる取り組みを提示、実施するよう引き続き国に強く求めてまいります

都市環境部長
(都市環境部長)

私からは羽田新飛行ルートについてお答えいたします。

初めに、騒音測定と区民意見についてです。区は国による3か所の測定地点のほか、独自に設置した2か所の測定地点において騒音測定を実施し、速やかに公表してまいりました。

また、区民意見につきましては、新ルート運用開始当初から、区民の声をお聞きする専門部署を設置し、これまで騒音や落下物の不安などに関する674件の声が寄せられております。


区はこうした声を国に直接届け、落下物対策や騒音軽減策の実施を求めてまいりました。区としましては今後も騒音測定を継続し、その結果を公表するとともに寄せられた地域の皆さんの声をしっかりと国に届けてまいります。


次に、固定化回避検討会についてです。
区はこれまでも固定化回避検討会において早急に具体的な方策が示されるよう国に求めてまいりました。国は「次回開催に向け現在、より丁寧かつ慎重に安全性確保の検討を行っている」としています。

区としましては国に対し、次回検討会の早期開催と区民負担軽減につながる取り組みを提示し、実施するよう引き続き国に強く求めてまいります

雑感(2代目の都市環境部長、〇〇の一つ覚え)

森澤区長から丸投げされて、毎回矢面に立たされていた都市環境部長。中村敏明氏から2代目の鈴木和彦氏(元 都市環境部 都市計画課長)にバトンが渡って、ますます答弁がおかしくなってきた

中村敏明氏の答弁は、句点なしに耳タコ内容をしゃべり続ける「暖簾に腕押し」「煙に巻く」作戦が取られていた。

鈴木和彦氏の答弁は、耳タコ内容である点は前任者と変わらないが、そもそも質疑が噛み合っていないのが最大の違和感。何を聞かれても、最後は「区民負担軽減につながる方策の実施を強く求めてまいります」(計4回)で締めくくってしまう。これではまるで〇〇の一つ覚えではないか…。

【参考】品川区議会の定例会本会議での代表・一般質疑応答(まとめ)

19年以降の各党派の登壇状況を可視化したのが次表。共産は毎回、羽田新ルート問題を取り上げている

羽田新ルートに係る定例会本会議代表・一般質問人数 (品川区議会の党派別内訳)

19年以降の羽田新ルートに係る登壇者数・文字数(≒質疑応答時間)を次図に示す。

羽田新ルートに係る本会議定例会の 代表・一般質問の登壇者数・質疑応答文字数推移(品川区議会)

各定例会の質疑応答詳細については、以下参照。

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