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羽田新ルート|品川区議会「21年第2回定例会」質疑応答

品川区議会の「21年第2回定例会」本会議一般質問(6月23日)で、羽田新ルートに関して、2名の質疑応答があった。

ブログ読者がツイッターで公開していた区議会ライブ中継の録画を もとに、質疑応答をテキスト化(約6千500文字)しておいた。

※区議会中継録画は、区議会HPで会議終了後概ね1週間後公開される。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

※答弁は都市環境部長


安藤泰作 議員(共産)

安藤泰作議員
安藤泰作議員(共産、区議4期、漫画家、宮城教育大学卒、47歳)

安藤:固定化回避検討会が示す案、全て品川区の上を飛ぶ?

固定化回避検討会は区民をあざむくもの 事故が起こる前に羽田新ルートは中止を」です。

 

新ルート運用強行から1年余。区民からは「断続的に繰り返す騒音、不快さを通り越し、怒りと悲しみがこみ上げてくる」「慣れるどころかストレスが増すばかりで、家庭内で笑いが消えた」「飛行機が飛び始める午後3時になると、精神的に不安定になる」「強風時は羽を揺らし、軌道をズレながら降りてくるのが見える。恐怖でしかない」などの声。連日の騒音に住民はうんざりしており、不安と不満の声は絶えません。


パイロットも新ルートの危険性を指摘。ヒヤリハット事例の報告制度VOICESには「とても不安定で経験したことない日で、周辺建築物の影響を受け、乱気流はさらに増し、不安定な着陸になる」「あえて遠回りし、横風で不利になるA・C滑走路で進入を行う必要があるのか」など、都心を南下し、南西の横風を受ける新ルートの安全性を懸念する声が15件寄せられました。


同一ルートで年間10件以上の報告があるのは初めてのことです。VOICESでの指摘のように、強い横風を受ける羽田新ルートの危険性は明らかだと思いますが、いかがでしょうか。


各地で落下物も相次いでいます。今年2月には米コロラド州で離陸機のエンジンが火を噴き、巨大なエンジンカバーが住宅の軒先に落下。

昨年12月には那覇空港発の離陸機から10キロ以上の部品が海に落下。羽田行き便でしたので、着陸前の品川に落ちても何ら不思議ではなかった。

落下物事故は具体的で現実的な危険です。国の報告制度による主要7空港の部品欠落は2019年度で928個でした。国交省発表の主要7空港の部品欠落のうち、羽田空港ぶんは何個か伺います。


国は固定化を回避すると検討会を設置。しかしこれはA・C滑走路への着陸を前提としており、これでは、着陸寸前の品川区の上を飛ぶことは避けられません。

元機長で航空評論家の杉江弘氏は、検討会について「大型機は小回りが利かず、安全に着陸するためには最後の直線距離は必要で、品川の上を通らないことはあり得ない」と明確に述べました。


固定化回避、と区民を欺き、結論をずるずると先延ばしして区民に被害を押し付け続けることは許されません。

固定化回避検討会が示す案は、全て品川区の上を飛ぶことになると思いますが、いかがでしょうか


事故が起こってからでは遅いのです。今必要なのは区民を欺く、固定化回避の要求ではなく、新ルートへの反対表明、中止を求め、元の海上ルートに戻させることです。区は羽田新ルートの中止をなぜ求めないのか、伺います。

都市環境部長
都市環境部長

部長:具体的なルートを予測することは困難

次に、羽田空港の機能強化についてお答えいたします。
はじめに、国の報告制度に寄せられたパイロットの意見についてですが、国からは「気象状況やパイロットからの要求に応じて従来経路へ切り替えるなど、柔軟な運用を行っている。また、新ルート運用開始以降、パイロットと管制官の意見交換も実施しており、引き続き安全な運用に努めていく」としております。

区としましても、引き続き安全な運用を着実に実施するよう国に求めてまいります


次に、羽田空港における部品欠落の報告個数についてですが、空港別での公表は行われておりません。国は報告制度による情報の収集は未然防止に活かすことが目的であり、公表は今後も重量別、部品別により行い、部品欠落の点検強化や原因究明、対策強化につなげていくとしております。区としましては、今後も落下物対策を万全な態勢で実施するよう国に求めてまいります


次に、固定化回避検討会での検討内容についてですが、着陸時に精度の高い曲線飛行が可能であることや、直線区間を短くすることが可能であることなどの見解が示されております。区としましては、現時点での検討内容により具体的なルートを予測することは困難であると考えております。

現在、固定化回避検討会は、検討の途中ということであります。まずは今後の検討経過を注視し、固定化回避に向けた具体的な方策が示されるよう国に求めてまいります

安藤:品川を飛ばないくらい最後の直線って短くできるのか?

最後、羽田です。検討会。具体的なルートの予測は、まあ困難だと。ようするに区は「品川を飛ばないルートを検討している」ともまともに言えないということなんです。


いろいろ直線区間を短くするって仰ったんですけど、ではそれで品川を飛ばないくらい最後の直線って短くできるのか、そういう検討がされているんですか。それを、けっきょく飛ぶんじゃないですか。というのを伺いたいと思います。

部長:区として推測をするということは非常に困難

私からは、羽田空港の新ルートと品川区上空の飛行ルートについてお答えいたします

まずはじめに、固定化回避の検討会ですけれども、こちらの方では非常に精度の高い飛行機のコントロールの技術が現在までに開発されてきてるというところは、区としても認識をしているところでございますけれども、ただその技術を新ルートに採用したときに、果たしてどのルートを飛ぶのか、どういった具体的な位置を飛ぶのかというところは国からも公表されておりませんし、また、それについて区として推測をするということは非常に困難でございます。

また、推測の域を出ないものでございますので、現在におきましては、国に対しては、まず早急な固定回避検討会の結果を示していただく、それが重要だということで国に求めているというところでございます。

安藤:区が国に求めるべきは固定化回避の検討ではなく、中止です

最後に羽田です。結局、区も「固定化回避は、品川の上を飛ばない検討だ」と最後まで言えません。なぜなら、結局、これは品川の上を飛ぶ検討だからです。


区は「国の固定化回避検討会に期待する」とも言ってきましたけども、その期待には何の根拠もないんですね。

いくら着陸前の直線区間を短くするというようなことも言ってましたけど、そんな検討しても、着陸寸前の、この品川の上を飛ばないことにはなりません

固定化回避検討会は区民を欺くものです。

 

伺います。区が国に求めるべきは固定化回避の検討ではなく、中止です。なぜ区は口が裂けても、国に中止を求めないのでしょうか。伺いたいと思います。

部長:中止する・しない、国が責任をもって判断

私からは、羽田空港の機能強化についてお答えいたします。まず初めに、国がこの新ルートを公表をして以降、国としては、日本の経済の発展のためというところで、区としてもそれに対して一定の理解を示してきたものでございます。

ましてや、この新飛行ルート自体が国の施策ということでありまして、国が責任をもって、この飛行を決定をしたというところでございます。従いまして、この飛行について中止する・しないにつきましても、国が責任をもって判断するというところでございます

区といたしましては、区民の安全、安心を第一に考えまして、飛行するならば、区としては、やはり安全対策、そして騒音等の環境影響に配慮した対応を可能な限り行って頂くことを求めていくという考えでございます。 

吉田ゆみこ 議員(ネット)

吉田ゆみこ議員
吉田ゆみこ議員(生活者ネットワーク、区議2期、元生活クラブ東京理事長、学習院大学法学部卒、67歳)

吉田:現時点でのルート検討案を反映させた資料を要求すべき

最後に、羽田新飛行経路についての質問です。昨年3月に強行運用されて以来、騒音の被害、落下物への不安の声は高まるばかりです。

最初に羽田新飛行経路の固定化回避に係る技術的方策検討会、以下「固定化回避検討会」への区の姿勢を伺います。区は固定化回避検討会で検討を行っていることを評価する姿勢です。しかし、この会議は経路の固定化回避を訴えながら、利用する滑走路AとCについては固定化を明言しています。

利用する滑走路を固定化する以上、技術的方策は、いくら検討しても品川区上空は通ることになると生活者ネットワークは考えます。区としてはA・C滑走路を使いながら、品川区上空を通らない経路は可能とお考えか、見解を示しください。


国交省は、品川区民向けに、今検討中とする航路案を記載したチラシを配りました。生活者ネットワークとしては、このチラシの図では品川区上空を通るか否かは判断できないと考え、今年3月の予算特別委員会で、正確な地図上にルート案を明示した資料を国交省に要望するよう求めました

答弁では、正確な地図に今後検討される検討経過を落としていただきたいと国に対して求めていくということでした。

質問します。正確な地図上に今後検討される検討経過ではなく、現時点でのルート検討案を反映させた資料を要求すべきと考えますが、見解を伺います。


また、固定化回避検討会の結論を出す時期について、予算特別委員会では専門家が検討していく中で注視はできても期限を切ることは困難という答弁でした。国の会議の結論を出す時期を区が勝手に決められないのは当然です。しかし、期限を切ることは困難でも現に被害を受けている自治体として、例えば「今年の9月までを目処に」など、期限を要望することはできるはずです。

区としての期限の要望を具体的な時期を示して出すべきと考えますが、見解を伺います。


現時点では羽田新ルートの必要性の根拠となった航空需要はなくなりました。国交省は現在の便数であれば、従来のルートで十分であることを認めながら、いずれ国際線需要が回復した時のために新ルートを運用するといいます。区は国交省の言い分を妥当と考えているのか、見解を伺います。


現時点で必要がないと国交省も認める航路を品川区民への様々なデメリットを前提にしながら運用を続けることについてはっきり反対を唱えるべきと考えますが、見解を伺います。


我が国には、パイロットが自分のヒヤリハットなどを航空会社や国交省に報告して情報を全てのパイロットと共有したり、改善提案ができる制度があります。パイロットが危険な体験や自分のミスを正直に報告しても、会社や政府は、個人を特定して行政処分等の不利益処分の根拠として使用しないことが定められています。


今、そこには新ルートによる着陸を経験したパイロットの生々しい悲鳴ともとれるヒヤリハットや改善提案が書かれており、重大な危険事故につながる懸念が示されています。


航路を飛ぶパイロットも危険な思いをしているこの新飛行経路は、航路下に暮らす私たちだけでなく飛行機を利用する人も危険にさらしています。この現実を踏まえ、品川区としても区民の立場に立ち、改めて反対を表明すべきと考えます。見解をお示しください。

都市環境部長
都市環境部長

部長:早急な提示を引き続き国に求めてまいります

次に、羽田空港の機能強化についてお答えいたします。
はじめに固定化回避検討会の内容に対する評価についてですが、検討会では着陸時に精度の高い曲線飛行が可能であることや、直線区間を短くすることが可能であるなどの見解が示されています。

区といたしましては、現時点の検討内容により具体的なルートを予測することは困難であると考えております。

今後、検討が進む中で、現在の飛行ルートから固定化回避に向けた方策が示されるよう、今後も国の検討状況を注視してまいります。


次に、検討会を反映した資料の要求についてですが、国による検討は現在、様々な飛行方式の整理が行われていると公表されているところでございます。具体的なルート検討案への地図への反映は、今後さらに検討が進む中で示されると考えますが、区としましても、早急な提示を引き続き国に求めてまいります


次に、検討期限を国に示すことにつきましては、検討主体が国であり、技術的な検討に区が期限を示すことは困難と考えます。引き続き早急に具体的な方策を示すよう国に働きかけてまいります


次に、新ルート運用を継続することの判断につきましては、国からは速やかな復便のために継続するという説明もある通り、国策として国が行うべきものと考えます。


次に、減便の状況の中での新ルートの運用に対する区の考え方についてですが、コロナ禍での減便の状況を踏まえ、すでに令和2年5月20日、区長が大臣に宛て、当面の就航需要の減少を踏まえた一層の騒音軽減策の推進などについて要望をしているところです。

区としましては、区民の不安の払拭に向け、落下物対策や騒音環境軽減に向けた更なる取り組みの実施について、引き続き国に求めてまいります


次に、国の報告制度に寄せられたパイロットの意見についてですが、国からは「気象状況やパイロットからの要求に応じ、従来経路への切り替えなど、柔軟な運用を行っている。また、新ルート運用開始以降、パイロットと管制官の意見交換も実施しており、引き続き安全な運用に努めていく」としています。区といたしましては、引き続き安全な運用を国に求めてまいります

吉田:現時点でのルート案の検討案を地図に反映させてください

羽田新飛行経路については、現時点でのルート案の検討案を地図に反映させてくださいということを求めましたので、その辺お答えください。

それから国交省の言い分、妥当なのか、是非、お考えを伺いたいと思います。

部長:引き続き国に要望してまいりたい

羽田新ルートについてでございますけれども、現在の固定化回避検討会の内容を地図に落とすべきであるというようなご質問でございますが、現在の固定化回避の検討会の中では、様々な技術の種類を挙げまして、それについて一つ一つ検証して、どれがこの新ルートに当てはまるかどうか、それはこれから検討がなされるというふうに区としては認識をしております。

現時点においては、こうした技術の採用が可能だろう、というようなそういった選択と整理が行われているというところで、現在地図に具体的に落とすということは、これは非常に難しいのかな、というふうに考えているところでございます。


ただ、国の検討状況がどうであれ、区といたしましては、具体的に地図に落としてほしいというような要望については、引き続き国に要望してまいりたいというふうに考えております。


それから最後の質問、ちょっと聞き取れませんでしたが、区といたしましては、区民の安全、安心を第一に、様々な区民の要望に対して、国に伝えるとともに、区としてもしっかりと区の考えを伝えていって、一日も早くこの固定化回避の検討会の検討がなされますように、これも合わせて国に要望してまいる考えでございます。

吉田:正確な地図に落としてくださいっていうのを要望するのは問題ない

それから、羽田については、やっぱり国交省がもう今の案を区民に向けて配っておりますので、それを正確な地図に落としてくださいっていうのを要望するのは問題ないと思うんですが、そのそういうつもりで聞きましたので、見解を伺います。

部長:国に対して伝えていきたい

固定化回避の検討会の現在の状況を地図に落とすというところでございますけれども、これは区も、やはり早急にお示しをしていただきたいというところでございますが、ただ今現在、曲線や直線のルートについて精度の高いコントロールが可能な状況の技術があるというような、そういった検討内容については、区としても認識をしているところでございますけれども、ただ、例えばカーブの半径がそれでは何メートルなのか、あるいは直線は何メートルまで短くできるのかといったそういった具体的なことは、国から今示されていないということころでは、現在地図に落とすことは非常に難しいとは思いますけれども、ただこの地図で落とせる、そういったできる状況になったら、早急に示していただくと、いうようなことで、国に対して伝えていきたいというふうに考えております。

雑感(都市環境部長の決めゼリフ…)

2人の議員が共通して取り上げたのは、固定化回避検討会に係る事項。

安藤泰作 議員(共産)は、固定化回避は品川区上空を飛ばない検討なのかと迫るが、都市環境部長は区として推測をすることは困難と答弁。
吉田ゆみこ 議員(ネット)は、現時点のルート検討案を地図に反映させよと迫るが、都市環境部長はこれも難しいと答弁。


羽田新ルートの答弁に逃げ回る濱野区長の代わりに、毎回苦しい答弁を強いられてきた都市環境部長。最近は都市環境部長のごまかし方に更に磨きがかかってきた。今回は両議員からの質問をサラリとかわし、「国に求めてまいります」という類の決めゼリブを乱発(12回)。区が区民のために積極的に羽田新ルート問題を解決しようという姿勢が感じられない……。

 

(参考)

羽田新ルートに係る本会議定例会の 代表・一般質問の登壇者数・質疑応答文字数推移(品川区議会)

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2021年6月1日、このブログ開設から17周年を迎えました (^_^)/
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