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羽田新ルート|品川区議会「23年第1回定例会」全く新鮮味がない区長答弁

品川区議会の「23年第1回定例会」本会議代表・一般質問(2月22日)で、羽田新ルートに関して3人の質疑応答があった。

フォロアーさんが記録した議会中継録画もとに、全文テキスト化(約5千500文字)しておいた。

※品川区議会の動画が公開されるのは「会議終了後概ね1週間」と遅いうえに、YouTubeと違って倍速機能がないなど使い勝手がすこぶる悪いので助かる。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

大倉たかひろ議員(イノベ)

大倉たかひろ議員(イノベ)

大倉たかひろ区議(イノベーションしながわ、区議3期、元松原仁衆議院議員秘書、関東学院大卒、39歳)

大倉:区政と羽田新ルート、同時に区民の意見の詳細把握できる?

羽田新飛行ルートについて、アンケートの実施がされ、区民の意見表明の機会が提供される案が出されたことを歓迎しております。

そこで、今後のアンケートの実施における内容は誰がどのように決めて行くのか、また、「賛否だけではない、地域性を含めた個別事情の内容」とは何か、このアンケート対象年齢についての考えや実施までのスケジュールがどのようになっているのか伺います。


アンケートの質問数に関しても「10問程度」とされておりますが、質問数はどのように決めるのでしょうか。伺います。

また、品川区政と羽田新飛行ルートについて、同時に区民の意見の詳細把握できるのか、伺います。

アンケートの実施を早期実現も求めるところではありますが、多様な区民意見が聴取できるように丁寧に進めていただきたいと思います。

区政方針の中で「羽田新飛行ルートの具体的な解決策を国に求めていく」とありますが、どのようなものか伺います。

また、「アンケートの後の都や関係自治体との連携」ということがありますが、どのように連携をされていくのかお知らせください。

区長:区政を身近に感じていただく好機である

森澤品川区長
森澤恭子品川区長(無所属、1期、元日テレ報道記者、慶應政治学科卒、44歳)

私からは区民アンケートについてお答えをいたします。

この度の区民アンケートは、私が目指す「新時代のしながわ」実現に向け、多様化する区民の価値観やニーズを的確に把握し区政に反映させるために実施するものであり、区政を身近に感じていただく好機であるとも考えています。

アンケートの内容については、区政に関することと羽田新飛行ルートに関することを考えています。羽田新飛行ルートについては、区民アンケートにより、一人ひとりのご意見をきめ細かくお聞きすることで、地域性などの個別事情を踏まえた区民の意見を把握したいと考えております。

また、質問数については、回答者の負担とならないよう配慮し、具体的な質問内容等については区民一人ひとりの声を効果的に集めることができるよう工夫を講じてまいります。


次に、対象についてですが、区民アンケートは高校生以上の区民約36万人を対象に実施いたします。小中義務教育学校の児童生徒には、質問内容を分かりやすくするなどの工夫を加え、別途アンケートを行い意見を聞いてまいります。

スケジュールについては、できるだけ速やかに実施し、公表をしていきたいと考えています。


次に、解決策についてですが、アンケートによる意見を詳細に把握・分析し、羽田新飛行ルートについて具体的な解決策を検討するよう国に働きかけてまいります。

また、関係自治体とはアンケートの結果も踏まえ、効果的に国への働きかけを行うべく、適宜適切に連携をしてまいります。

田中さやか議員(ネット)

田中さやか(ネット)
田中さやか議員(品川・生活者ネットワーク、区議2期、都立南高卒、40歳)

田中:なぜ羽田新飛行ルートに特化したアンケートにしなかった?

すでに区民生活に大きな被害を与えている羽田新飛行ルート問題について伺います。

固定化回避検討会で検討されているルートは、品川区の上空を回避することはできません。既に多くの実害がある羽田新飛行ルートについて、区は市民の命と生活を守る立場に立ち、国に対して白紙撤回・中止を求めるべきと強く求めますが、見解を伺います。

特に、視覚障がい児者や音に過敏な発達障がい児者・子供達などに既に悪影響が出ています。実害に対する改善を市民は求めています。区としての改善策をどのようにお考えでしょうか。また、国に対応を求めているのか、伺います。


予算計上された区民アンケートについて伺います。なぜ羽田新飛行ルートに特化したアンケートにしなかったのでしょうか。実施時期や対象を具体的にお知らせください。

生活者ネットワークは、声をあげられない乳幼児や障がい児者の状態の変化は保育園や福祉施設などで当事者と接する保育者や介護者への聞き取りが重要だとこれまでも求めてきました。乳幼児等も含めたすべての区民への影響を聞き取る手法について伺います。

また、子供には別途アンケートを用意するとのことですが、具体的な対象や方法、時期をお知らせください。


羽田新飛行ルートやリニア中央新幹線は事業主体は区ではありませんが、当該自治体として市民の側に立ち、リスクマネジメントの観点から積極的に区としての姿勢を示すべきと強く求め、生活者ネットワークの代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

都市環境部長:多様化する区民の価値観やニーズを的確に把握し区政に反映させるため

都市環境部長
都市環境部長

次に、羽田新飛行ルートについてですが、障がい者や子供への影響につきましては、区としましても、全ての区民の皆さんが健康で安全な生活を送ることは大切なことと考えます。

これまで地域の声として障がい者などへの配慮に関するご意見もあり、国に伝えてまいりました。今後も区に寄せられた区民の声をしっかりと届けるとともに、必要な対応を国に求めてまいります


次に、区民アンケートについてお答えします。
この度の区民アンケートは、「新時代のしながわ」の実現に向けて多様化する区民の価値観やニーズを的確に把握し区政に反映させるために実施するものであり、区政に関する意見などもお聞きしたいと考えております。

実施時期はできるだけ速やかに実施し、公表していきたいと考えており、対象者は高校生以上、区民約36万人を予定しております。なお、保育者や介護者への聞き取り調査につきましては、区民の皆様の率直なご意見をお聞きしたいと考えており、今回実施する予定はございません

また、小中義務教育学校の児童生徒様のアンケートについては、質問の表現や文章等を工夫しまして実施したいと考えております。

具体的な方法や時期等は、引き続き検討してまいります。


羽田新飛行ルートは国策として国の責任において実施されているものですが、区としましても、区民の不安の払拭に向け、落下物対策や騒音環境軽減に向けたさらなる取り組みを求めるとともに、新飛行ルートを固定化することがないよう取り組むことを国に強く求めてまいりました。

区としましては、今後実施予定の区民アンケートの結果を踏まえながら、固定化回避の早期実現を含む具体的な解決策を検討するよう国に働きかけてまいります。

田中:乳幼児や障がい児者への状態の変化、ぜひ聞き取りを

羽田です。もう、ちょっと私、とってもショックなんですけど、声をあげられない乳幼児や障がい児者への状態の変化について、ぜひ聞き取りをしてください

声をあげられない子達、そして障がい児者は「全ての区民」に含まれないんですか。そんなことないですよね。

きちんとその子達の声も届くような、羽田新飛行ルートの影響かどうやって出てるのかということをきちんと調査していただきたいと思います。以上です。

企画部長:今回は実施する予定はありません

企画部長
企画部長

私からは区民アンケートの再質問についてお答えします。

今回の区民アンケートは高校生以上の区民約36万人を対象に実施するものであります。実施にあたりましては、区政に関する区民の意見もお聞きしたいと考えているところであります。


保育者や介護者への聞き取り調査につきましては、今回は実施する予定はありません。以上です。

安藤たい作議員(共産)

安藤たい作議員(共産)
安藤たい作議員(共産、区議4期、漫画家、宮城教育大学卒、49歳)

安藤:森澤区長も(前区長と)同じ立場(国策なので甘受)?

日本共産党を代表して一般質問を行います。初めは、「なぜ羽田新飛行ルートに反対を表明しないのか 森澤区長に問う」です。

今年は元日から南風運用となりました。初詣の頭上に響く飛行機の轟音。年初めに新年の幸せを静かに祈ることすらできないのか。平穏な日常を壊す羽田新飛行ルート、運用から間もなく3年。騒音や圧迫感、落下物や墜落への不安の声は絶えません。即時撤回すべきです。

 

国は(羽田新ルートの)運用にあたり、地元の理解を得て進めるとしてきました。最も低空で影響が大きい品川区が反対表明すれば、新飛行ルートを止める決定打になります。しかし、前区長は2016年には国交省に出向き「国策なので甘受する」と述べ、早々と理解を示し、決定の際にも「固定化は避けてほしい」と述べるだけで、運用開始を容認。撤回は一度も求めていません。

その前区政の継承を掲げて当選したのが森澤区長です。都議時代は中止を求める請願にも反対しました。共産党は就任直後の議会で、なぜ新ルートの撤回を求めないのかと三度質しましたが、区長は最後まで答弁に立たず、反対表明もありませんでした。

前区長は羽田新飛行ルートについて、「国策なので甘受する」と述べていたが、森澤区長も同じ立場なのか、伺います。


一方区長は、区長選で全区民アンケートを公約しました。共産党は賛否を問う項目を入れるべきと質問。区の公式のアンケートで反対が多数になれば重大な民意となり撤回へ大きな力となるからです。しかし、区は賛成か反対かという議論ではないと述べ、その考えがないことが分かりました。

区が羽田新飛行ルートのアンケートで賛否を問わないのはなぜか、理由を伺います。賛否を問うべきではないか、伺います。

アンケートは子供や障がい者、在勤者への影響も分かるようなものにするよう求めます。いかがでしょうか。

アンケートだけでなく、新飛行ルートによる身体的・精神的な影響を専門家を入れ、科学的に調査・研究するよう求めますが、いかがでしょうか。

区長:固定化回避の早期実現を含む具体的な解決策を検討するよう働きかけ

私からは、羽田空港の機能強化に関するご質問のうち、新ルートに対する区の受け止めについてお答えをいたします。

羽田新ルートは国策として国の責任において実施されているものですが、区はこれまでも区民の不安の払拭に向け、落下物対策や騒音環境軽減に向けたさらなる取り組みを求めるとともに、新ルートを固定化することがないよう取り組むことを国に強く求めてまいりました


今回、区民アンケートにより、地域性などの個別事情を踏まえた影響を把握・分析し、国に対して固定化回避の早期実現を含む具体的な解決策を検討するよう働きかけを行ってまいります

都市環境部長:在勤者対象としたアンケート、実施は考えていない

私からは、羽田空港の機能強化に関するご質問のうち、アンケートおよび科学的な調査・研究に関するご質問についてお答えをいたします。

初めに、区民アンケートについてですが、この度の区民アンケートは「新時代のしながわ」の実現に向けて多様化する区民の価値観やニーズを的確に把握し、区政に反映させるために実施するものであります。

また、羽田新飛行ルートに関しては、一人ひとりのご意見をお聞きし、地域性などの個別の事情を把握する必要があると考えております。なお、対象は高校生以上の区民約36万人とし、小中義務教育学校の児童生徒には別途アンケート実施する予定であります。

在勤者を対象としたアンケートの実施は考えておりません

また、障がいのある方への対応については丁寧な対応に努めてまいります。


次に、専門家を入れた科学的な調査・研究の実施は、羽田新飛行ルートが複数の自治体にまたがることから、国により実施されるべきものと考えます。

今後実施するアンケートの結果を踏まえ、都や関係自治体とも連携しながら適切に対応してまいります。

安藤:国に反対しないっていうのが区長の立場?

自席より再質問いたします。羽田です。
区長の答弁とは大変重いものだと思います。それだけに森澤区長の反対表明が新飛行ルートを止める決定打になります。しかし、今も区長さん、色々言いましたけども、反対とはやはり言いませんでした。


伺います。国に反対しないっていうのが区長の立場なんでしょうか。お答えください。

区長:区民アンケート、それを踏まえて国に対して働きかけ

羽田新飛行ルートについてです。今回、区民アンケートにより、地域性などの個別事情を踏まえた影響を把握・分析し、それを踏まえて国に対して働きかけを行ってまいります

安藤:なぜ新飛行ルートに反対しないのか

自席より再々質問いたします。羽田です。
前回含めて、何度聞いても反対とは決して新区長さんも言わないんですね。


住民から厳しい声、寄せられています。「住民の生活を破壊する国政に面と向かって反対しないような首長はダメです」と。こういう厳しい声、私もそう思うんですよ。
区長、伺いますが、なぜ新飛行ルートに反対しないのか。伺いたいと思います。

都市環境部長:国に対し必要な働きかけを行っていくことが重要

私からは、羽田新飛行ルートと気候についてお答えをいたします。

初めに、羽田新飛行ルートに対する考え方でございますけれども、これから区としましては区民の皆さんにアンケートを実施をしようとしております。アンケートを通しまして、地域特性などを踏まえた個別事情を把握していくことが重要と考えております

また、国の動きとしまして、固定化回避検討会において考え得る飛行方法について、現在絞り込みが行われてると。こういった検討が進めているということが、国により公表されております。


区としましては、この固定化回避の取り組みが継続されまして、しっかりと進んでいるということについて注視していく必要がありますし、併せて今後、区民の皆さんへのアンケートの実施によって、生活実感等を把握しまして、固定化回避検討会も検討が進んでいるという、そういった状況も踏まえた中で、区として国に対し必要な働きかけを行っていくということが現在重要だというふうに考えております。

雑感

全く新鮮味がない区長答弁

濱野前区長は、答弁から逃げ回り、都市環境部長に答弁を丸投げしていたので、森澤区長が何度も答弁に立つ様子は、とっても新鮮に映る。

ただ、答弁の中身はと言えば、全く新鮮味がない。新鮮味がないばかりか、都市環境部長への答弁丸投げ時代の常套句が加わっているので、たちが悪い。

安藤議員(共産)に「森澤区長も(羽田新ルートを容認していた前区長と)同じ立場なのか」と問われて、森澤区長は次のように、まるで都市環境部長と見間違えるように答えている(少なくとも区長自身の言葉で語ってほしい)。

羽田新ルートは国策として国の責任において実施されているものですが、区はこれまでも区民の不安の払拭に向け、落下物対策や騒音環境軽減に向けたさらなる取り組みを求めるとともに、新ルートを固定化することがないよう取り組むことを国に強く求めてまいりました。


また、安藤議員(共産)に「(アンケートで)賛否を問うべきではないか」と問われると、森澤区長は次のように前回の定例会と同様の表現で答える。

区民アンケートにより、地域性などの個別事情を踏まえた影響を把握・分析し、国に対して固定化回避の早期実現を含む具体的な解決策を検討するよう働きかけを行ってまいります。

さらに安藤議員に「国に反対しないっていうのが区長の立場なんでしょうか」と迫られると、同じ言葉を繰り返すだけで、回答をはぐらかしているのである。

区民アンケートにより、地域性などの個別事情を踏まえた影響を把握・分析し、それを踏まえて国に対して働きかけを行ってまいります。

【参考】品川区議会の定例会本会議での代表・一般質疑応答(まとめ)

19年以降の各党派の登壇状況を可視化したのが次表。共産は毎回、生活者ネットワークも少なからず羽田新ルート問題を取り上げている

羽田新ルートに係る定例会本会議代表・一般質問人数 (品川区議会の党派別内訳)

 

19年以降の羽田新ルートに係る登壇者数・文字数(≒質疑応答時間)を次図に示す。

羽田新ルートに係る本会議定例会の 代表・一般質問の登壇者数・質疑応答文字数推移(品川区議会)

各定例会の質疑応答詳細については、以下参照。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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