不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


羽田新ルート|品川区議会「19年第2回定例会」質疑応答

品川区議会の「19年第2回定例会」本会議一般質問(6月27日、28日)で、羽田新ルートに関して、鈴木ひろ子議員(共産)吉田ゆみこ議員(生活者ネット)の質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約7千文字)しておいた。

※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

※答弁は都市環境部長


鈴木ひろ子議員(共産)

鈴木ひろ子議員(共産)
鈴木ひろ子議員(共産、区議6期、元看護師、長野県公衆衛生専門学校卒、65歳)

鈴木:品川区上空を飛行しないルートへの再考を強く求めるべき

まずはじめに、「羽田新ルートは、教室型説明会でも区議会決議でも『容認できない』が区民の総意。区長は今こそ反対表明を」です。

安倍政権が進める羽田新ルート計画は、1分20秒に1機が品川を超低空で飛ぶ計画。騒音、落下物、墜落事故など、区民の命と安全を脅かす無謀な計画です。

オリンピック開催を突破口に、品川上空が危険な空になります。区内13か所で行われた教室型説明会はどこでも「説明を聞けば聞くほど納得いかない」「30年前、海上ルートに変更させたのに、なぜまた上空を飛ばすのか」「容認できないとの区議会決議は全会一致。品川区民の総意だ。それでも強行するのか」など厳しい意見が相次ぎました。

 

国は危険性を指摘する区民の質問に、その場しのぎの説明に終始し、何を聞いても、「1人でも多くの区民の理解を得て実施したい」と同じセリフを繰り返すだけ。

実施ありきの姿勢が露骨に示されました。13回の教室型説明会を通して、区民は新ルートを容認できない、このことは明らかです。区はこのことを認めますか。伺います。

教室型説明会について、2点質問します。
1点目は、説明の中身がデータの隠蔽やごまかしで、区民の疑問に答えていない問題です。

新ルートによる騒音の実測値を国は把握していたのに、それを区民に隠していました。現在、江戸川区では上空900メートルを飛行。国の説明では推計値で70dB。しかし、我が党の白石都議が国交省に実測値の提出を求めたところ、最大騒音78.1dBの資料が出てきた。国は、この実測値を隠していたのです。

推計値は晴れの日、気温25度、無風、大気圧1という現実にはありえない気象条件での計算でした。
都の環境局によると、8dBの差は音の強さで6.1倍になるとのこと。大井町上空300メートルでは、80dBとの説明ですが、実際はこれよりずっと大きな騒音に襲われることになります。

国が推計騒音値よりも大きい実測値を把握しながら、隠していたことについて問題があるとは考えないのか。実測値の気象条件に基づいた推定を行い、説明すべきです。それぞれ伺います。

落下物は命にも関わる問題です。国は世界に類のない対策として機体チェック強化などといいますが、検査体制は事務職と検査官のわずか2名が、他の仕事をしながら飛行機をチェックするもので、1機当たり年間1、2回に過ぎません。区はこの落下物対策で十分だと考えるのか伺います。

2点目は、教室型説明会が密室で行われている問題です。

説明会ではマスコミの取材を排除し、参加者による撮影・録音も禁止。説明会で議事録公開を求めると、国は「非公開」と拒否。参加できなかった人が内容を知りたいと思っても、知る術がありません。区は抗議し、議事録公開を実施させるべきではないのか、伺います。

秋田県などイージスアショア配備の説明会は、テレビでも報道されました。国はなぜマスコミ取材を拒否するのか。新ルートの危険な実態と区民の間に撤回を求める声が広がるのが怖いからではないのか。

説明会の参加者は900人。開催時間は夜だけ。会場も狭く、周知も不徹底。「これで丁寧な説明と言えるのか」「これで説明は終了として、強行するつもりか」の声が上がっていました。教室型説明会は、これで終りにせず、引き続きの開催を求めます

また、その内容は住民生活への被害を明らかにすること。マスコミや参加者の撮影、録音の許可や議事録の公開など、透明性を確保したものにするよう求めます。いかがでしょうか。

いよいよ、品川区の態度表明が、決定的です。

国は「地元の理解を得て進める」と繰り返し表明。3月の品川区議会では、「品川区上空を飛行することは多くの区民に理解しがたい現状がある。新飛行ルート案を容認することはできない。国交省に対して、品川区上空を飛行しないルートへの再考を強く求める」と全会一致で決議を上げました。

このことは大変重いものです。区長は区議会議決と同じ立場に立つのか、伺います。

政府の新ルートの最終決定は、関係自治体などと相談して判断するとしています。これから「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」が開かれます。この連絡会の場で、区は議会決議の立場で、計画を容認できないことを表明し、品川区上空を飛行しないルートへの再考を強く求めるべきです。いかがでしょうか。

教室型説明会でも区議会決議でも「容認できない」が区民の総意です。区長は今こそ新ルートへの反対表明を行うよう求めます。いかがでしょうか。

都市環境部長
都市環境部長

部長:現飛行ルート案を固定化することがないよう早急な検討を強く求める

私からは、羽田空港の機能強化についてお答えいたします。

はじめに、説明会での区民意見についてですが、参加された方からは騒音や落下物に対する不安の声が多くあったと認識しております。

次に、騒音値についてですが、国の説明では過去の航空機騒音調査のデータから地上観測点での最大騒音値を推計した値とのことです。区はこれまで国に対し騒音等について体感できるよう試験飛行の実施を求めてまいりましたが、実現に至っておりません。今後も一刻も早い試験飛行の実現を求めてまいります

次に、落下物対策についてですが、昨年9月に新たな基準が国により法制度化され、国内外の航空会社への適用が開始されております。区としましては、これらの取り組みを一定評価するものの、区民の不安の払しょくにはまだまだ十分ではないと捉えております。

引き続き、さらなる取り組みとともに、対策基準の実効性の担保や検査体制の充実について国に求めてまいります

次に、説明会議事録の公開についてですが、国は他区で実施の説明会を含め、公開方法を検討するとしております。区としましては、国の責任においてその内容を区民の皆さんにお知らせすることは重要なことであると考えており、早期の公開を国に求めてまいります

次に、説明会の継続実施とマスコミ取材等についてですが、国は今後も双方向の対話、丁寧な情報提供を行うとしており、区としましても引き続き様々な手法を活用した区民周知、説明について国に求めてまいります。

また、説明会でもマスコミ取材等につきましても、区の立場といたしまして、取材を断る理由がないことを国に伝えております

次に、区議会の決議につきましては、区としても重く受け止めております。現時点で連絡会の開催通知は届いておりませんが、今後開催された場合は、区議会での決議や区に届けられた様々な声などを踏まえ、国に対する意見として、落下物対策や騒音軽減に向けたさらなる取り組みと区民への丁寧な説明、周知の継続実施を求めてまいります。

また、都心上空を飛行する現飛行ルート案を固定化することがないよう早急な検討を強く求める考えでございます。

鈴木:「固定化しないよう求める」ということは、どういう意味なのか?

自席から再質問を行います。まず、羽田新ルートです。

いま、羽田新ルート問題は品川区の態度がいよいよ求められるという重大局面です。私が区長に求めたのは、教室型説明会と品川区議会で示された「容認できない」と、この区民の総意に基づいて反対表明こそすべきだということを求めました。

ところが今の答弁なんですが、「新ルート案を固定化しないよう求める」ということで言われたのでしょうか。ちょっとこの固定化しないよう求める」ということは、どういう意味なのかお聞きしたいと思います。

「まずは、飛ぶということを容認する」ということなのか。この点、明確に答えていただきたいと思います。これが1点です。

部長:固定化するようなことがないような案について求めるもの

「現飛行ルート案の固定化することがないよう」との考えについてですけれども、これまで区は国に対しまして、落下物ですとか騒音、こういったものの軽減に向けた取り組みを求めてまいりました。

また、それとは別に、現飛行ルート案につきまして、たとえば将来に向けた技術の進展ですとか、あるいは他の空港との調整ですとか、様々まだ新たな方法があるというふうに考えております。こういったことにつきまして、国に対して検討を求めるものでございます。

それでいま品川区をはじめといたしまして、都心のルート案でございますけれども、こちらのほうはいま国としましても、様々な環境影響に対する軽減というのを考えておりますし、また、落下物に対しても法制度の改正ですとか、こういったものを行ってきているところですけども、こういったものについては評価するべきものについては区として一定の評価はいたしますけれども、さらに先ほど申し上げました固定化するようなことがないような案について求めるものでございます。以上でございます。

鈴木:「まずは、飛ばすことを認める」ということなのか?

再々質問です。

まず、羽田なんですが、いまほんとに重要な局面だと思うんですね。品川区の態度が問われるわけなんです。この態度というのは品川区民の命運がかかったっていう、そういうものなんですね。

私、問われるのは区長自身の態度っていうことになるわけですから、私、区長にぜひともお答えだけいただいきたいと思います。

今の私の再質問に答えられていないところが、「固定化しないよう求める」ということなんですね。この言葉初めて出てきました。このことがどういうことなのか、ということを聞きたいんです。「まずは、飛ばすことを認める」ということなんでしょうか、ということなんです。これ、はっきりとお答えいただきたいと思います。そうであれば大問題です。

もしそういうことであれば、区長と区議会の総意、これに背く重大な裏切りっていうようなことになると思います。「まずは、飛ばす」ということなのか、と。「固定化しないよう求める」ということは、「まずは、飛ばすことを認める」ということなのか。端的に、区長自身、ぜひともはっきりと答えていただきたいと思います。

部長:現新ルートを別の方法で実現する方法がないか・・・検討を求める

「固定化」というものの意味でございますけれども、まず議員からご質問ございました「飛ぶことについて」ということでございますけれども、先ほど申しました通りでございます。

固定化することがないよう検討を求める。この「固定化」の意味といたしましては、これは経路ですとか、あるいは便数、また、技術的には高度、こういったものも広い意味で含まれるというところでございます

現新ルートを別の方法で実現する方法がないかどうかこういったところについて、国に対して検討を求めるというものでございます

吉田ゆみこ議員(生活者ネット)

吉田ゆみこ(生活者ネット)
吉田ゆみこ議員(生活者ネットワーク、区議2期、元生活クラブ東京理事長、学習院大学法学部卒、65歳)

吉田:(都連絡会では)区議会の決議を踏まえたスタンスを表明すべき

最後に、羽田新飛行ルート計画に対する「品川区としての地元の意見」のまとめ方について伺います

生活者ネットワークは、羽田新飛行ルートに反対する立場に立ち、品川区が国や都から「地元の理解」について問われたとき、品川区がどんな発言をするかについて追求してきました。「地元の理解」を前提とするこの計画において、国や都に対する地元自治体の発言が重要であると考えるからです。

これまで、国や都で今後予定されている会議の場での「地元の理解」についての発言には、「品川区民のなかには根強い反対意見があるということを入れるべきではないか」という問いに対して、1度も明確な答弁をいただいていません

「区民には様々なご意見があり」というのがその根拠であると理解しています。しかし、このたび今年の第1回定例議会では全会一致で「この飛行ルートは容認できない、見直しを求める」という内容の決議が出されました。

「区民の様々な意見」はあるとしても、この決議については無視することは許されません。

この質問に先立ち、東京都の航空政策担当職員に確認をしたところ、「いずれ開かれる東京都主催の連絡会では、各自治体のスタンスを確認する予定」とのことでした。

都が確認しようとしているのが地元区民の意見の確認ではなく、各自治体のスタンスの確認というところに危惧を覚えております。穿った見方をすれば、区民の意見とは別のところに自体のスタンスがあることを認めているかのような発言です。

また、先日の荏原第二地域センターで開催された教室型説明会では、国交省の担当者が「何を持って地元の同意とするかは、今後都や区と協議したい」と言っており、あたかも区民の意見や議会の決議とは別の地元の同意もあり得るように聞こえました

国から独立した自治体である品川区が、区民や議会の意思とは別のところで品川区のスタンスや地元の同意を表明することは許されません。

質問します。

東京都の連絡会で品川区のスタンスを確認される際には、羽田新ルート計画に対する区民の根強い反対の声や「このルートは容認できない。見直しを求める」という趣旨の区議会の決議を踏まえたスタンスを副区長は表明すべきです。どのような発言をするのか明確にお答えください。

また、東京都の連絡会や、その後開かれるであろう国の協議会において、品川区が行った発言については、議事録の公開だけでなく品川区として公式に公表すべきと考えますが、見解を伺います。

都市環境部長
都市環境部長

部長:区議会での決議や区に届けられた様々な声などを踏まえ・・・

私からは羽田空港の機能強化についてお答えいたします。

はじめに、連絡会での発言内容についてですが、現時点において連絡会の開催通知は届いておりません。

今後、連絡会が開催された場合は、区議会での決議や区に届けられた様々な声などを踏まえ、国に対する意見として落下物対策や騒音環境低減に向けたさらなる取り組みと区民への丁寧な説明、周知の継続実施を求めてまいります。

また、都心上空を飛行する現飛行ルート案を固定化することがないよう、早急な検討を強く求める考えでございます。

次に、発言の内容についてですが、まず協議会につきましては、品川区が直接発言する予定はございません。また、連絡会につきましては、必要に応じて適宜、適切な方法にて公開してまいります。

吉田:(都連絡会では)区議会の決議を踏まえたスタンスで発言すべき

最後の羽田の問題です。

私は伺っているのは、今後行われるであろう連絡会での発言に区民の根強い反対の声と、それから区議会の決議を踏まえたスタンスで発言すべきということなんですが、いま考えられていることからそれが読め取れないので、その点についてお答えください。

部長:説明会でも様々な意見が出ている・・・

羽田の再質問についてお答えいたします。
今後開かれる予定である連絡会の意見について、ということでございますけれども、現時点でまだ通知が届いておりませんので、あくまで検討の段階でございます。

そのなかでは区としましても、区議会の決議、落下物、騒音への不安、国の説明・周知不足などを理由とする決議につきましては重く受け止めるところでございます。

また、説明会でも様々な意見が出ているというところで、そういったところを踏まえて、まずは騒音、それから落下物、こういったものに向けたさらなる取り組み、こういったところについて意見を申し上げると。

また、それに加えまして、現在のルート案を固定化することがない検討についても強く求めるということで区議会の意見を重くとけ止め、地域の説明会のなかでの意見を踏まえたものであるというふうに認識をしています。

以上でございます。

吉田:(都連絡会では)品川区民の反対の声と決議の内容は入れない?

それから、羽田新ルート計画に対する発言の問題です。
いまのご答弁だと、ようするに、発言のなかに、品川区民の反対の声と決議の内容は入れない」というように聞こえるんですけど、それは許されることではないと思っております。そのへん、もうちょっと明確にお答えください

部長:区民への丁寧な説明を行って頂く・・・

これから開催されるであろう連絡会についての意見についてでございますけれども、まず、区議会におきまして、落下物、騒音への不安、国の説明・周知不足等、こういった理由がございました。

また、説明会においても不安の声がたくさん聞かれました。そういったところを踏まえまして、まずはその不安を払拭するにはどうしたらいいかというところにつきまして、説明を十分していただくということが国に対して区が行うべきものだというふうに考えております。

従いまして、落下物、騒音環境低減に向けたさらなる取り組み、そして区民への丁寧な説明を行って頂くということ、またそれに加えまして、他にもさらに方法ないのかというところで、現在の飛行ルート案を固定化することがないような案についても検討を求めていくということでございます。

雑感(現飛行ルート案を固定化することがないよう…)

鈴木議員(共産)

吉田議員の質疑応答では、部長から「現飛行ルート案を固定化」という文言が飛び出す。

そのうち開催されると言われている都開催の「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」において、「品川区上空を飛行しないルートへの再考を強く求めるべき」と鈴木議員が迫る。これに対して部長は、「現飛行ルート案を固定化することがないよう早急な検討を強く求める考え」と回答したのである。

同議員から「固定化しないよう求める」ということは、「まずは、飛ばすことを認める」ということなのかと再三問われても、部長はのらりくらりとやり過ごす

吉田議員(生活者ネット)

都連絡会では区議会の決議(品川区上空を飛行しないルートへの再考を強く求める)を踏まえたスタンスを表明すべきと吉田議員が迫る。これに対して部長は、「説明会でも様々な意見が出ている」として、決議内容を入れることを最後まで明言しなかった(逃げ切った)

代わりに、部長は前日の鈴木議員(共産)との質疑応答と同様、「現在の飛行ルート案を固定化することがないよう・・・」と再び発言したが、吉田議員がこの「固定化議論」を追求することはなかった。 

あわせて読みたい

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.