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羽田新ルート|品川区議会「23年第3回定例会」決算特別委員会(質疑応答)

品川区議会の「23年第3回定例会」決算特別委員会の総括質疑(10月19日)で、羽田新ルートに関して、野館議員(共産)の質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約2千800文字)しておいた。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

※「部長」答弁は、都市環境部長


野館 稔史議員(共産)

野館稔史 議員
野館稔史 議員(共産、区議3期、元建築設計事務所所員、東洋大学工学部卒、38歳)

野館:区民アンケート、回答数・回答割合?

はじめに、羽田新ルートです。運用開始されてから3年半。住民への被害は深刻さを増すばかりです。このままだったら引っ越すと言う人も。羽田新ルートは住民の生活を壊し、住み続けられない品川区にしています。


まずはじめに、9月に実施した区民アンケートについてお聞きします。15歳以上の区民と小中学生へのアンケートの回答数、そして回答割合をお聞きします。アンケートにどのような声が寄せられたのか、伺います。オープンデータなども活用して自由記述欄は全文を公開するよう求めます。いかがでしょうか。

部長:全区民対象86,537人24.2%、児童生徒対象12,649人55.2%

都市環境部長
(都市環境部長)

羽田新ルートに関係するアンケートということで、まず、区民アンケートの回答数についてですけれども、中学生を除きます15歳以上の全区民対象のアンケートについて速報値でございますが、86,537人、割合として24.2%でございます。

また、区立小中義務教育学校の児童生徒の対象のアンケートでございますけれども、こちらは12,649人、55.2%となってございます。

自由意見につきましては現在集計中でございます。また、公開についてですけれども、個人情報に配慮しつつ、どのような方法で公開できるかについては、これから検討をしてまいります。以上でございます。

野館:なぜ品川区の上を飛ばないことを求めないのか?

自由記述欄を、寄せられた区民の声がしっかりと分かるように全文公開をすることを求めておきたいと思います。

また、アンケートの結果は、今後まとめが出てくると思いますので注目をしていきたいと思います。


共産党は区民生活を壊している羽田新ルートの中止を求めてきました。その中で区の求める固定化回避では、品川区の上を飛ぶことになることも指摘をしてきました。勘別審査でも固定化回避に期待する声がありましたが、期待できるものではありません。


国の固定化回避検討会は都心低空飛行を運用している滑走路の使い方を変えずに検討しているため、空港手前の品川区の上を飛ぶことは避けられません。

しかも、前回の検討会は昨年の8月に行われ、既に1年以上が過ぎています。国の検討会は住民をごまかし、検討を先延ばしにしているに過ぎません。


先日、9月25日の建設委員会の陳情審査において、区は「固定化回避については、品川区上空を飛ばなくなることを国に求めてきたわけではありません」と答弁しました。区は「固定化回避を国に求める」と説明してきましたが、具体的には、「品川の上を飛ばないように」とは求めていないということがはっきりと示されました。


私たちが指摘してきた通り、区民をごまかしてきたということです。区民の願いは、品川の上を飛ばないことです。なぜ品川区の上を飛ばないことを求めないのか、伺います。

区が国に要望していた固定化回避とは、何を求めていたのか伺います。

部長:区民への丁寧な周知と説明を求めてきた

羽田新飛行ルートについて、固定化回避検討会ですが、区はこれまで一貫して、区民の不安払拭のために国の落下物対策、それから騒音軽減への取り組み、またさらに区民への丁寧な周知と説明を、継続してもっと行うようにこれまで求めてきたところです。

固定化回避検討会につきましては、区は区民の影響の軽減に向けまして、現在の新ルートを将来にわたり固定化せずというところで、可能な限り環境影響の軽減につながる方策の検討、実施を国に求めているものでございます。以上でございます。

野館:私が求めたのは、「なぜ品川の上を飛ばないのか」ということ

私が求めたのは、「なぜ品川の上を飛ばないのか」ということも求めましたので、答弁していただければと思います。


実際、いま答弁されたなかでも、結局は「品川を飛ばないことは求めていない」ということだと思います。それでは、区民への影響をなくすことはできません。


最近、住民から「飛行機の数が増えている」という声も聞きます。便数が増えればその分、住民への被害も増えることになります。1年前と比べて羽田空港の国際便の数は増えているのか、伺います。


固定化回避で区民をごまかすのはやめ、区民の願いである新ルートの中止こそ必要です。品川区の上空を飛ばないことを国に求めるべきです。区長、いかがでしょうか

部長:「品川区上空を飛ばないことを求めてきた」というようなことは正解ではない

まず、固定化回避検討会で、区が求めてきたところというところでは、ルートに関するものにつきましては、まず大前提としては、国がこのルートについて具体的なものをまだ示していないというところがございます。

そういった中で区としましては、ルートとか、あるいは飛行ルートそのものの是非とか、そういったものについてではなくて、まずは「固定化回避検討会の中で結論を早期に示してください」ということを申し上げたところでございます。

従いまして、上空を飛ばないとか、あるいは飛ぶとか、そういった概念で求めてきたというところではありませんので、「品川区上空を飛ばないことを求めてきた」というようなことは正解ではない。正解には近いけれども、正解ではない、といったところだと思います。
というのは、ルートが示されない中ですので、そういったことになります。具体的に反対とかっていうところは、明言したというところではございません。


それからあと、便数でございますけれども、国により認可された事業計画がございます。その中では2020年度の夏の時期と、それから今年2023年度の同時期の国際線の便数というところで、これは5倍に増加しております。これはコロナ禍の減便からの回復、といった状況でございます。


それから、まず品川区上空を飛ぶことについてですけれども、繰り返しになりますけれども、固定化回避検討会については、区民への影響の軽減に向けて、現在の新ルートを将来にわたり固定化しない、固定化せずに可能な限りの環境影響の軽減につながる方策の検討、そしてその検討結果の実施を国に求めているものでございます。


新飛行ルート、国策として国の責任において実施をされているというところでございますけれども、区としましては現在、集計中の区民アンケートございますので、その結果を踏まえながら、区民負担の軽減につながる具体的な解決策、こういったものを検討するよう国に働きかけてまいります。以上でございます。

野館:区長からご答弁がなかったのは大変残念

区長からご答弁がなかったのは大変残念だと思います。

その中で、(固定化回避検討会の中で結論を)早期に具体化してほしいということを求めているということですけども、すでに検討して3年が過ぎているという状況で、もはや早くないという状況です。


また、便数も5倍に増えているということで、それだけ区民の被害が増えているということになります。国の検討会では、区民の被害をなくすことはできません。引越しする人まで出ている羽田新ルートは、固定化回避ではなく中止にする。今この立場に立つことこそ品川区に求められています。


日本共産党は区民の皆さん、羽田議連の皆さんと力を合わせ、羽田新ルートをやめさせ、品川区の上を飛ばないルートを実現するために力を尽くしていきたいと思います。

雑感

本会議一般質問での質疑応答と決算特別委員会での質疑応答との大きな違いは、後者が一問一答形式であること。一問一答形式であるがゆえに、議員の質問力が問われる。

毎回安全運転を心がける部長にしては今回、珍回答……。

上空を飛ばないとか、あるいは飛ぶとか、そういった概念で求めてきたというところではありませんので、「品川区上空を飛ばないことを求めてきた」というようなことは正解ではない。正解には近いけれども、正解ではないといったところだと思います。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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