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羽田新ルート|都議会「24年第1回定例会」質疑応答

都議会の「24年第1回定例会」本会議の代表・一般質問(2月27日~29日)で、羽田新ルートに関して2名の質疑応答があった。

録画映像をもとに、全文テキスト化(約2,400文字)しておいた。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

里吉ゆみ 議員(共産党)2月28日【一般質問】

里吉ゆみ 議員(共産党)
里吉ゆみ 議員(共産、都議3期、帝京大卒、元世田谷区議、56歳)

里吉:過密に拍車をかけた羽田新ルートは、直ちに止めるべき

羽田空港で新年早々発生した日航機と海保機の衝突事故に知事は、市政方針で一言も触れませんでした。政治姿勢が問われます。

羽田空港は、世界で3番目、アジアでは最も混雑する世界有数の過密空港です。羽田新ルートの運用により1分に1機以上が離発着する過密ダイヤとなり、空の安全を守る職員の緊張感と心理的ストレスは限界に達しています。

昨年6月に、航空機同士の接触事故が起こり、過去10年間で滑走路の誤進入などの重大インシデントは12回起きています。知事は、羽田空港がこのような過密な実態をご存じですか


知事は、国際競争力の名のもと、羽田空港の機能強化を推し進め、羽田新ルートを強行して空の安全を後景に追いやり、過密化に拍車をかけてきました。その責任をどう考えていますか


国交省への聞き取りで羽田空港の過密化が今回の事故の要因の一つではないかとの指摘に対し、国交省は否定できませんでした。ところが、1週間も経たないうちに、羽田空港を通常運航に戻しています。羽田空港の過密化が今回の事故の要因の一つとして、否定しきれない以上、経財界ファーストで過密に拍車をかけた羽田新ルートは、直ちに止めるべきです。知事の答弁を求めます。

局長:国に対し安全対策の着実な実施を求めてまいります

谷崎馨一 都市整備局長
谷崎馨一 都市整備局長(91年入都、58歳 )

次に、羽田空港の状況についてでございます。
羽田空港については国際基準に則り、現在、年間48.6万回の発着枠の中で運用されていると承知しております。


次に、羽田空港の機能強化についてでございます。
羽田新飛行経路は我が国の国際競争力の強化等の観点から、羽田空港の更なる発着容量の拡大のため、国の責任と判断により導入を決定したものでございます。都は新飛行経路の導入に際して、国に対し安全対策の着実な実施を求めており、機会をとらえて安全な運用を要請してきております。


最後に、羽田新飛行経路についてでございます。
事故の原因は、現在国の運用安全委員会において調査中でございます。羽田新飛行経路は国が自らの責任と判断で導入を決定したものでございます。都としては引き続き、国に対し安全対策の着実な実施を求めてまいります

阿部祐美子 議員(立憲民主党)2月29日【一般質問】

阿部祐美子 議員(立憲民主党)
阿部祐美子 議員(立憲民主党、都議1期、岡山大学卒、元山陽新聞社記者、59歳)

阿部:「さらなる機能強化」とは何を指す?

次に、空港の安全について伺います。
1月2日、羽田空港の滑走路上で航空機同士が衝突する事故が起きました。滑走路上での航空機同士の衝突、炎上は世界でも極めて異例の重大事故です。


羽田空港の滑走路は井桁状で、高速道路上に交差点があるようなもの。一般の滑走路よりはるかに慎重な運用が必要です。にもかかわらず、都心ルートなど数々の禁じ手で一部の隙きもなく、便数を詰め込んでいます。

一方で地上要員の一人不足は深刻です。国全体で見ても、発着便数はこの10年間で2割増加。この間、航空管制官を含む定員は2割も削減されています。
アメリカでは昨年、管制官不足を受けて、安全確保のため、航空機の発着回数を10%削減する措置をとりましたが、日本にこの発想はあるでしょうか。


炎上事故からわずか4週間後に東京都が発表した「未来の東京」戦略では、羽田空港の需要予測をもとに「さらなる機能強化」が掲げられています。「さらなる機能強化」とは何を指すのでしょうか。さらなる増便でしょうか。そこに安全の視点はあるのでしょうか。


東京都は羽田で直接、間接に稼げるだけ稼いで、安全対策は国の仕事。事故が起きれば現場のせいとお考えでしょうか。

一極集中が加速し、事故後の数日間、滑走路を1本閉鎖するだけで1200便以上も欠航せざるを得なかった羽田のレジリエンスの低さを東京都は直視すべきです。羽田空港のセーフティマネジメントに対する東京都の役割と責任をどう考えておられるのか、知事の見解を伺います。


航空機事故調査について伺います。
複雑な要因が絡み合う航空機事故においては、捜査による責任追及ではなく再発防止のための調査を行うことが、日本も批准する国際民間航空条約で明言されております。

しかるに、日本では捜査が調査に優先する状態が長年続いています。これは、条約違反であり、再発防止からも遠のいてしまうとの指摘が専門家からなされてきました。都としても、国にぜひ見直しを求めていただきたい。空の安全について都が主体的に知見を重ね、国に具体的な提言ができる力をつけることを強く求めます


質問です。今回のような事故が再び起きないようにするために、あらゆる人たちが一丸となって再発防止の取り組みを行うことが何よりも重要と考えますが、見解を伺います。


東京都は調布飛行場、並びに、伊豆大島、八丈島、新島、神津島、三宅島の空港を管理しています。羽田と同様、海に隣接する東京都の離島空港では、航空機が海上に着水、墜落した時に迅速な救難・救急を行える体制を整える必要があります。

海上航空事故に備えて、空港近隣の船舶関係者と密な連絡体制を構築するとともに、海上航空事故を想定した訓練を定期的に実施する必要があると考えますが、都の見解を伺います。

局長 :国際競争力を向上させていくため空港の容量拡大等

谷崎馨一 都市整備局長
(谷崎馨一 都市整備局長)

まず、羽田空港の機能強化についてでございます。
世界の旺盛な航空需要に的確に応え、東京、ひいては日本の国際競争力を向上させていくため空港の容量拡大による、羽田空港のさらなる機能強化が必要不可欠でございます。


次に、羽田空港の安全管理についてでございます。
羽田空港の運用は、国の責任と判断で行われており、都はこれまでも国に対して着実な安全対策を求めてまいりました。今回の事故については、現在国の運輸安全委員会において事故原因の調査が行われております。都といたしましては、事故発生後、国に対して直ちに原因究明と再発防止等について要請をしております。


次に、羽田空港の事故についてでございます。
事故原因については国の運用安全委員会において調査中でございます。都といたしましては国に対して直ちに原因究明と再発防止等について要請しております。国からは1月中旬に、省内で羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会を立ち上げ、さらなる安全安心対策について検討を進めていると聞いております。

雑感

「さらなる機能強化」への徹底追及を期待

品川区選出の阿部議員(立憲)は、弊サイトをご覧いただいたのだろうか。

筆者からの「都議の皆さん、定例会で #小池都知事 に「更なる機能強化の検討」の意味を質問してください」の呼びかけ(2月20日ポスト)に応じていただいたかのような、タイムリーな質問であった。

ただ、残念ながら、市整備局長には、次のように「等」でかわされてしまった。

世界の旺盛な航空需要に的確に応え、東京、ひいては日本の国際競争力を向上させていくため空港の容量拡大による、羽田空港のさらなる機能強化が必要不可欠でございます。

都議各位においては、3月12日から14日にかけて開催される「予算特別委員会審査(総括質疑)」や3月25日に開催される「予算特別委員会審査(しめくくり総括質疑)」において、「等」の徹底追及を期待したい。

都民ファーストは、自分ファーストな都議集団

今回の質問に立った都議28名(代表質問5名、一般質問23名)のうち、羽田新ルートに係る質問をしたのは里吉議員(共産、世田谷)と阿部議員(立憲、品川区)の2名。

都民ファーストは、自民と同等の質問時間(122分)を確保していながら(次図)、誰も羽田新ルートを取り上げていない。完全に自分ファーストな都議集団となっている。

代表・一般質問に係る持ち時間比較 (都議会24年第1回定例会)

 

19年以降の定例会本会議の代表・一般質問人数の内訳を見ると、羽田新ルートを推進している自公でさえ、少ないながらも羽田新ルートの質問をしているのに、都民ファーストはゼロ(次表)。

あと、立憲民主党は今回を含め4回しか羽田新ルートを取り上げていないことにつき、要留意。

羽田新ルートに係る定例会本会議代表・一般質問人数 (都議会の党派別内訳)

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2024年6月1日、このブログ開設から20周年を迎えました (^_^)/
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