羽田新ルートの運用が始まったのは20年3月29日。
国交省は羽田新ルート周辺で毎日測定されている騒音値について、速報値を毎月、確定値を2か月ごとに公表している。このブログでは、公表された確定値を可視化し、随時投稿している。
これとは別に、国交省は年2回、「短期騒音測定」を実施し、公表している(次表)。
「短期騒音測定」は、「航空機騒音の発生状況のよりきめ細かな把握のため、固定騒音測定局に加えて、追加で」短期間(3~7日間)実施されている。
短期騒音測定はこれまで4か年で6回実施(23年度は予定)されているが、実施された地点も期間もバラバラ(次表)。
そこで、21年度以降、安定的に実施されている地点の測定結果を中心に、以下可視化した。
※投稿23年6月5日(更新23年7月25日:23年度8月計画を追記)
短期騒音測定の位置(21年度以降)
国交省が23年度に短期騒音測定を実施する地点は17か所(次図)。
23年度の短期騒音測定の実施地点|国交省
※22年度からの変更:1地点変更(戸田市立笹目小学校⇒吉川市中央公民館)、1地点削除(川崎市立殿町小学校※23年度から通年測定開始)
短期騒音測定の実施地点と羽田新ルートとの位置関係を以下に示す。
※国交省が公表している「航空機騒音の短期測定結果」を元に作成。
A滑走路到着ルート(南風時)
- 吉川市中央公民館(埼玉県)
- A滑走路着陸経路の側方約4kmに位置する
- 笹目小学校(戸田市)
-
A滑走路着陸経路の側方300m程度に位置する
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高度約4,000~5,000ft(約1,200~1,500m)
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- 光が丘夏の雲小学校(練馬)
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A滑走路好天時着陸経路のほぼ直下
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高度約4,500ft(約1,350m)
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- 平和の森小学校(中野)
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A滑走路着陸経路のほぼ直下
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高度約3,000~4,000ft(約900~1,200m)
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- 渋谷本町学園(渋谷)
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A滑走路着陸経路のほぼ直下
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高度約2,500~3,500ft(約750~1,050m)
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- 大鳥中学校(目黒)
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A滑走路着陸経路の側方900m程度に位置する
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高度約2,000ft(約600m)
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- 五反田文化センター(品川)
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A滑走路着陸経路の側方600m程度に位置する
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高度約1,500ft(約450m)
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C滑走路到着ルート(南風時)
- 梅木小学校(北)
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C滑走路好天着陸経路の側方1.4km程度に位置する
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高度約4,000~4,500ft(約1,200~1,350m)
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- 常盤台小学校(板橋)
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C滑走路好天時着陸経路のほぼ直下
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高度約4,000~4,500ft(約1,200~1,350m)
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- 椎名町小学校(豊島)
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C滑走路好天時着陸経路のほぼ直下
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高度約3,500~4,000ft(約1,050~1,200m)
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- 白金いきいきプラザ(港)
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C滑走路着陸経路のほぼ直下
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高度約1,500~2,000ft(約450~600m)
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- 内藤町自転車保管場所(新宿)
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C滑走路着陸経路の側方500m程度に位置する
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高度約2,500~3,500ft(約750~1,050m)
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荒川沿い北上ルート(北風時・C滑走路出発ルート)
- 第二砂町中学校(江東)
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C滑走路北向き出発経路の側方1km程度に位置
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高度約3,000~6,000ft(約900~1,800m)
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- 船堀小学校(江戸川)
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C滑走路北向き出発経路の側方700m程度に位置
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高度約4,000ft(約1,200m)以上
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- 松江第二中学校(江戸川)
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C滑走路北向き出発経路の側方700m程度に位置する
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高度約4,000ft(約1,200m)以上
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- 上平井中学校(葛飾)
- C滑走路北向き離陸機の音を測定
- 千寿桜堤中学校(足立)
- C滑走路北向き離陸機の音を測定
川崎ルート(南風時・B滑走路出発ルート)
- 東京都下水道局東糀谷ポンプ所(大田)
- B滑走路西向き離陸機の音を測定
- 殿町小学校(川崎)※23年度から通年測定開始
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B滑走路西向き出発経路の側方200m~1km程度に位置する
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高度約1,000ft(約300m)
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- 川崎生活環境事業所(川崎)
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B滑走路西向き出発経路の直下に位置する
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高度約1,000~1,500ft(約300~450m)
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短期騒音測定結果を可視化
A滑走路到着ルート(南風時)
A滑走路到着ルート(南風時)の最大騒音レベルの推移(大型機の実測値の平均)を次図に示す。
いずれの地点も、ほぼ70dBを下回っている。
C滑走路到着ルート(南風時)
C滑走路到着ルート(南風時)の最大騒音レベルの推移(大型機の実測値の平均)を次図に示す。
白金いきいきプラザ(港)の最大騒音レベルは、70dBを超えている。
荒川沿い北上ルート(北風時)
荒川沿い北上ルート(北風時・C滑走路出発ルート)の最大騒音レベルの(大型機の実測値の平均)を次図に示す。
21年12月に測定された松江第二中学校(江戸川)を除き、最大騒音レベルは70dBを下回っている。
川崎ルート(南風時)
川崎ルート(南風時・B滑走路出発ルート)の最大騒音レベルの推移(大型機の実測値の平均)を次図に示す。
殿町小学校と川崎生活環境事業所の22年12月の最大騒音レベルは80dBを超えている。
雑感
国は、短期騒音測定の目的を「航空機騒音の発生状況のよりきめ細かな把握のため」としている。でも、実際には羽田新ルート周辺住民の声を受けた区議会からの要請に押されて、形式的に対応している感が否めない。計測期間が3~7日間というのはあまりにも短くないだろうか。
上記に可視化した4つのグラフでは、雑なコメントしかしようがない……。
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