マンションの良い点として、濃い近所づきあいを避けられることを掲げる人は多い。ただ、首都直下地震など、大規模災害が発生し自助だけではどうにもならない場合、共助により助かる命もある。マンション管理組合と町会・自治会などの地域コミュニティとの関係性はどうなっているのか。
国土交通省は6月21日、「令和5年度マンション総合調査結果」を公表。
同調査は、マンション管理の実態を把握するため、全国の管理組合や区分所有者を対象に5年ごとに実施されている。今回の調査対象者は、1,589管理組合(回収率37.2%)、3,102区分所有者(回収率36.3%)。
調査結果報告書はデータ編も含めると416ページとかなりのボリュームになるので、忙しい皆さんに代わって、地域コミュニティ活動等への参加状況を可視化してみた。
町会・自治会等の地域コミュニティへの参加状況
町会・自治会等の地域コミュニティへの参加状況について、完成年次別、総戸数規模別の順に可視化する。
完成年次別
町会・自治会等の地域コミュニティへの参加状況について、完成年次別の変化を可視化してみた(次図)。
主な特徴は次の2点。
- 新しいマンションの管理組合ほど、町会・自治会等の地域コミュニティに「参加していない」割合が増加。2015年以降(「~19年」「20年以降」)に完成したマンションでは6割を超えている。
- 逆に古いマンションの管理組合ほど、町会・自治会等の地域コミュニティに「参加していない」割合は減少。特に、1979年以前に完成したマンションの管理組合では約4割が「防災・防犯活動」に参加している。
一言で言えば、古いマンションほど人間関係が濃くなっているということなのかもしれない。
総戸数規模別
次に、町会・自治会等の地域コミュニティへの参加状況について、総戸数規模別の変化を可視化してみた(次図)。
主な特徴は次の2点。
- 大規模なマンションの管理組合ほど、「参加していない」割合は減少。300戸超のマンションの管理組合では約8割が参加している。
- 500戸超のマンションの管理組合では、約7割が「防災・防犯活動」に、約6割が「地域・管理組合行事活動」に、そして約4割が「景観形成や清掃活動」に参加している。
管理組合で実施しているイベントの頻度
管理組合で実施しているイベントの頻度について、完成年次別、総戸数規模別の順に可視化する。
完成年次別
管理組合で実施しているイベントの頻度について、完成年次別の変化を可視化してみた(次図)。
- イベントの内容(後述)にもよるのだろうが、「2~6回/年」の割合が高い。完成年次が新しくなるほどその割合は低下する傾向がみられる(「74年以前」30.8%⇒「20年以降」14.7%)。
総戸数規模別
管理組合で実施しているイベントの頻度について、総戸数規模別の変化を可視化してみた(次図)。
主な特徴は次の2点。
- イベントの内容(後述)にもよるのだろうが、「2~6回/年」の割合が高い。大規模なマンションの管理組合ほど、その割合は高くなる傾向が見られる。
- 特に、大規模なマンションの管理組合になると「13~24回/年」の割合が高くなる。500超のマンションの管理組合では、3割を超えている。
イベントの種類別の平均参加頻度
イベントの種類別の平均参加頻度について、完成年次別、総戸数規模別の順に可視化する。
完成年次別
イベントの種類別の平均参加頻度について、完成年次別の変化を可視化してみた(次図)。
完成年次によりバラツキは見られるが、「マンション内の高齢者の見守り・声掛け等の活動」の回数の多さが目立つ。
たとえば、「~14年」だと年間平均122.3回(3日に1回)実施したことになるのだが、高齢者孤独死の防止には効果があるのだろう。
※「~19年」「20年以降」は「-」となっている。完成年次によるバラツキが大きいのはサンプル数が少ないからなのかもしれない。
総戸数規模別
イベントの種類別の平均参加頻度について、総戸数規模別の変化を可視化してみた(次図)。
完成年次によりバラツキは見られるが、「マンション内の高齢者の見守り・声掛け等の活動」の回数の多さがが目立つのは、上述(完成年次別)と同じ。
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