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羽田新ルート|渋谷区議会「19年第2回定例会」質疑応答

渋谷区議会の「19年第2回定例会」本会議一般質問(6月6日、7日)で、羽田新ルートに関して、牛尾真己議員(共産党)と金子快之議員(れいわ渋谷)の質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約6千文字)しておいた。

※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

牛尾真己議員(共産党)

牛尾真己議員(共産党)
牛尾真己議員(共産、区議4期、中央大学 II部理工学部卒、61歳)

牛尾:羽田空港都心低空飛行計画の撤回を求めるべき

羽田空港都心低空飛行計画についてです。
国土交通省は羽田空港の国際便増便のため、新飛行経路案を示し、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催までに実施する計画を進めています。

区民から出された羽田空港都心低空飛行経路案の撤回を求める請願は、海から入り海に出るというこれまでの原則を反故にして、都心の住宅地や商業地の上空を低空で飛ばす計画で、想定外の事故は絶無とはいえず、落下物、騒音、大気汚染による被害が予想され、安全・安心が脅かされるとして計画の撤回を求めています。

この請願を受けて、区議会第1回定例会では羽田空港増便による都心低空飛行の計画を見直し等を国に求める意見書を全会一致で採択しました。

区内上空を低空で飛行すること自体が区民に危害、危険をもたらす根本原因であることは明らかです。

これまで区長は「羽田空港の機能強化は必要」と言ってきましたが、機能強化を認めることが区内上空の飛行を容認することになるという認識はあるのか伺います。

また、区長は区議会が議決した国に対する意見書をどう受け止めているのか

そして、区長として区民の安全と住環境を守るために、国に対し羽田空港都心低空飛行計画の撤回を求めるべきと考えますが、区長の見解を伺います。

区長:計画の撤回を求める考えはありません

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長(無所属、2期、元渋谷区議会議員3期、専修大学商卒、47歳)

羽田空港都心低空飛行計画の撤回についてのお尋ねです。

「機能強化を求めることが、区内上空の飛行を容認するという認識があるのか」ということですが、今回の機能強化が渋谷区上空を飛行することになるということについては、もちろん認識しています

だからこそ、これまで区長として、国が責任を持って区民への丁寧な説明と環境の影響や安全対策等について取り組むよう要望してきたところであり、意見書にもある通り、区民の理解がいっそう進むように、今後も要望していきたいと考えています。

一方で、羽田空港の機能強化を図ることについて、東京の国際化をより強化していくために重要な課題であると認識しています。よって、ご質問のような計画の撤回を求める考えはありません

牛尾:実際飛行させるということに対して区長はどのようにお考えなのか

羽田の問題ですけれども、羽田については、区長は「渋谷上空を飛行するということは認識している」とおっしゃいました。

そして、同時に国に対しても「責任を持ってやるように。説明しろと。あるいは安全対策をやるように要望をしていると」言いました。現状のままで、この計画を進める、実際飛行させるということに対して区長はどのようにお考えなのか答弁をお願いいたします。

区長:できる限りのことは、もう、しております

羽田についてももう、再三お答えしてきておりますが、機能拡充についてはもちろん反対するものではありませんし、ただ、区がこれは決めてやっているものではありません。

私にできることというのは区長会で発言をし、国がしっかりと説明すべきだということをやってきております。

私もひとつお伺いしたいんですが、(日本共産党渋谷区議会議員団は)選挙を通してこれを断固阻止するということをおっしゃってましたが、どうやってやるのかなというふうに思ってました。

私はずっと「それについては意見を表明できない」というふうに答えていますし、まさか区長にそれをいうことが皆さんの公約だと思えないので、皆様方は国政政党であり、国交省とも話し合いができる立場にあると思いますから、できる限りのことはすると思いますが、私に対しての要望としては、今までお答えしてきた通り、できる限りのことは、もう、しております

牛尾:区長先頭に国に(計画撤回を)求めるということが必要

区長から再答弁いただきましたけれども、納得できるものではありませんでした。
羽田問題で言っときますけれども、区長も聞きたいとおっしゃっていました。もちろん私たちは、この計画は住民との、海から入って海に出ていくという、こういったものを根本から覆すもので、とんでもないというふうに思っています。

ですから当然国会でもそういうことを求めますし、自治体としても直接区民に被害あるいは環境の悪化をもたらすわけですから、それを止めるように求めていくということは、僕は区長先頭に国に(計画撤回を)求めるということが必要だということを言っておきたいと思います。

金子快之議員(れいわ渋谷)

金子快之議員(れいわ渋谷)
金子快之議員(れいわ渋谷、区議1期、NHKから国民を守る党、元北海道テレビ社員、東大経済学部卒、48歳)

続きまして、羽田空港の新ルート問題についてお尋ねをいたします。

金子1:区内での教室型説明会の開催予定?
まず、区民への説明についてであります。

2月に恵比寿で行われた教室型説明会に、私は一区民として出席をいたしました。その場におきまして、国の国交省の説明員はあらかじめある原稿を淡々と読み上げるだけで、質問者の出席者の質問にはまともに答えようとしない様子が見受けられました。

私も当時は一区民として、その場で時間の最後に少しだけ質問したんですけども、国交省の説明員はのらりくらりとはぐらかすだけで、まともな回答は得られなかったということがあります。

そもそも夜から始まった限られた時間で、質問できない区民の方も大勢いらっしゃいまして、議論は紛糾したままお開きとなりました。そのあと、出席者は口々に皆さん不満を述べてお帰りになった様子がありまして、これは主権者たる国民への誠実な説明などとは到底言い難いものであると私は考えました。

私はもともと自民党にいたくらいでありますので、大企業寄りの考え方であります。したがっても、ともとは羽田空港の増便には賛成派でした。が、この説明会を聞いて本当にこれでいいのかと。渋谷区のために、この新ルートを受け入れていいのかということで、まさにこの説明を聞いて、私は反対派に回ったというのが現実であります。

しかもその場の説明会はまるで労働組合の団交のような、まるで糾弾大会のような、非常に雰囲気の悪いものでありました。せっかく説明会をやるんであれば、区民が納得できるような、説明ができる説明員に説明してもらうとか、場の演出も含めまして、住民の納得感が得られるような構成が必要でなかったかと思います。

ここで質問ですけれども、他区で既に本年度2回目の説明会が開始されているようですが、区内での教室型説明会の開催予定、あるいは開催に向けた準備・交渉はしておられますでしょうか
また、もし説明会の開催予定があるとすれば、前回よりも改善をして、より納得が得られるような説明方法、改善をお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。

金子2:米側で発着枠の配分が先行していることについて

次に、アメリカ側の発着枠の配分についてお尋ねをいたします。

来年2020年の羽田空港増枠50便は、陸からの新ルートが前提となっています。増枠50便中、米国路線のほうが半分にわたる昼間時間帯の24枠が配分されることになっておりまして、内訳としては日本側に12枠、アメリカ側が12枠ということで、実際に5月、アメリカの合衆国の運輸省であるDOT(United States Department of Transportation)がアメリカ側4社に発着の仮割り当てを既に発表しています、公式に。

つまり、まだ地元渋谷区も含めて受け入れが行われていないのに、新ルートが既に規定路線として進んでいる現状があります

しかしながら、渋谷区では皆様ご承知の通り、3月にこの新ルートの見直し等を国に求める意見書が出たばかりでありますし、4月の選挙でも私を含め新ルートに反対の議員が当選をしております。

つまり、地元の幅広い理解が得られているとは到底言えないという現状であると思いますけれども、こうして国が説明会で時間を稼ぎつつ、米側で発着枠の配分が先行していることを区はどう受け止めるかお尋ねをいたします。

 

金子3:ICAOのChapter14基準による騒音制限を国に求めるべき

次に、騒音対策としての低騒音機縛り、あるいはChapter14についてお尋ねいたします。

先に述べた国の説明会で、私が聞いた内容としては、「近年、航空機の小型化、低騒音化が進んでいて、実際に飛ぶ飛行機の音が小さいんだ」と、こういう説明があったと思うんですけれども、しかし、先程申し上げたアメリカ側のエアラインの増便申請によりますと、たとえばボーイング777-200 ERという中型の騒音値が比較的高い機種での増便申請が出されています

ここで航空機の騒音値といえば、国際的な騒音規制がありまして、ICAO国際民間航空機関の航空機騒音基準であるChapter4という基準があります。

これは今から2001年、18年前に定められた基準で、旧型のうるさい機種でも基準をクリアして日本で飛べるわけでありますけれども、年々世界の航空機の騒音規制は厳しくなってきています。2013年には最新の騒音基準であるChapter14という基準が設定されまして、この基準によりますと、今申し上げたうるさい旧型機では基準がクリアできません

ここで質問でございます。国は低騒音機を導入するなどと実態と違う虚偽の説明をしていることを区はどう受け止めますか

そして羽田空港新ルートは上皇陛下がお住まいとなる仙洞仮御所の上空でもあり、国家としてなし得る限りの騒音対策が講じられてしかるべきだろうと私は考えます。

もしこの先、区が新ルートを受け入れるならば騒音の大きい旧型機は就航を認めるべきでないと思います。
同じ渋谷の上空を飛ぶのでも、うるさい旧型機と最新の低騒音機では印象が全く異なります。一例をあげれば、日本航空が今年9月に導入するエアバスA350-1000はICAOのChapter4よりも16.5 EPNdB低い驚異の低騒音機といわれている、こういう静かな飛行機もあるわけであります。

ここで質問でございますが、具体的に新ルートはICAOのChapter14基準の新騒音機に限るなどの具体的な指標による騒音制限を国に求めるべきと思いますがいかがでしょうか。

 

金子4:新ルートが不動産価格に与える影響?

そして次のお尋ねは、地価への影響についてであります。

落下事故や騒音もさることながら、不動産価格下落を懸念する声を私は選挙中に多くの方からお聞きをいたしました。新築マンションは実際に契約率が下がっているとの声も不動産業界で聞かれております。

また、航空機が渋谷の上空を飛ぶのであれば、渋谷から引っ越すとおっしゃった方もいらっしゃいます。

不動産需要が減少し地価が下がれば、当然固定資産税収にも関わってくると思います。区は区民の財産を守る最後の砦であるべきと思いますが、新ルートが不動産価格に与える影響どうお考えでしょうか

金子5:何らかの損失補填や安全対策を国に求めるべき

そして最後の質問でございます。
地元渋谷区としては新ルートに反対だとしても、航空法上の決定権は残念ながら国にあるのが実態でありまして、経済学的にも国家の便益を極大化する選択としてはあり得ると思います。

もはやここまで現実が進行している以上、国策として新ルートが強行される事態を想定して、次の戦略を考えるべきではないでしょうか。そのために地元として、区は何らかの損失補填や安全対策を国に求めるべきではないかと思うわけであります。

例えばその一例として、住戸の防音工事であるとか、個人・事業者の建物移転補償、固定資産税減免、また国から区への交付金税収面の補填など。また、安全対策としては時間帯別の便数制限、落下物対策など、様々なオプションが考えられます。

もし、今後新ルートが受け入れられるならば交換条件として、国に求める損失補填、安全補償などのオプションを、選択肢を検討すべきではないかと思いますが、いかがかお伺いいたします。

以上、前向きな答弁をお願い申し上げます。

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長

次に、羽田空港新ルート問題について、5点のお尋ねです。

区長1:地域別個別説明会の開催予定はありません

まず、区民への説明についてのお尋ねです。

本区では説明会実施について、国に要望し、平成31年1月から2月にかけて地域別個別説明会を計6回実施しました。

現在他区で行われている説明会は2回目ということではなく、日程調整の結果、開催時期がこの時期になってしまったと国からは聞いております。

したがって、現時点では地域別個別説明会の開催予定はありませんが、引き続き丁寧な説明と対応を国に要請していきます。

区長2:お答えする立場にありません

次に、「国が説明会で時間稼ぎをしている間に、アメリカ側は発着枠配分を進めていることをどう受け止めるのか」とのことですが、国の事業として進めていることであり、区がお答えする立場にありません

区長3:制限を求める考えはありません

次に、低騒音機縛りChapter14について、2点のお尋ねです。

まず、「小型低騒音機の導入を進めるとしながら、米国は騒音値の高い機種で増便申請をしているが、なぜ、国は虚偽の説明しているのか」とのお尋ねですが、国が国の事業としてその責任において説明していることであり、区がお答えする立場にありません

 

次に、「新ルートを受け入れるのならChapter14基準ベースの低騒音機に限るなどの縛りを国に求めるべきではないか」とのお尋ねですが、国は低騒音機の導入を進めるとしていますので、制限を求める考えはありません

区長4:不動産価格の変動は様々な要因により決定するもの

次に、「新ルートが不動産価格へ与える影響をどう考えるか」とのことですが、不動産価格の変動は様々な要因により決定するものと考えています。

区長5:国が責任持って安全対策等に取り組むよう、必要に応じ要望

次に、損失補填、安全対策についてのお尋ねです。

「新ルートが設定されることを想定して、次の戦略を考える必要があり、区は何らかの損失補填と安全対策を国に求めるべき」とのことですが、国が責任持って安全対策等に取り組むよう、必要に応じ要望していきたいと考えています。

 

金子6:説明会の開催を改めて国にきちんと求めていただきたい

要望につきましてなんですけども、羽田空港の新ルートの問題。

先ほど区長から「国の方針であって、あんまり区は関係ないんだ」と、こういう話があったと思いますけれども、これ1回受け入れてしまったら、この問題知らない人けっこう多いです、区民のなかで。

知ったうえで飛ぶのはしょうがないと思うんですけれども、知らずに飛び始めると。

もう今年、来年飛び始めますので、ぜひ多くの方に知っていただくべきだということで、説明会の開催を改めて国にきちんと求めていただきたいというふうに思っております。

雑感

牛尾議員(共産)

「国に対し羽田空港都心低空飛行計画の撤回を求めるべき」と問われ、区長は「計画の撤回を求める考えはありません」と答弁。

渋谷区議からの「計画撤回を国に求めるべき」に対して、区長の「撤回を求める考えはありません」という答弁は、18年第2回・3回・4回定例会、19年第1回定例会でも観測されていて、もう日常の風景と化している

金子議員(れいわ渋谷)

4月の統一地方選挙で大量に当選した「NHKから国民を守る党」の党員のひとり。「NHKをぶっ壊す」公約に加え、羽田新ルート反対も掲げて当選。

質問内容から、羽田新ルート問題をよく研究している様子が感じられる。それだけに「もはやここまで現実が進行している以上、国策として新ルートが強行される事態を想定して、次の戦略を考えるべき」とすでに白旗を上げているのはリアリストなのか、あるいは羽田新ルート問題に向き合う姿勢が中途半端なのか。今後の議員活動につき要注視。

長谷部区長

濱野健品川区長と違って、自らが答弁に立っていることは評価できる。

でも、羽田空港都心低空飛行計画の撤回を迫る牛尾議員に対して、「(日本共産党渋谷区議会議員団は)選挙を通してこれを断固阻止するということをおっしゃってましたが、どうやってやるのかなというふうに思ってました」と逆質問。
さらに、区長としては「できる限りのことは、もう、しております」という、開き直りとも受け取られかねない答弁はいただけない。 

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