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羽田新ルート|練馬区議会「19年第2回定例会」質疑応答

練馬区議会の「19年第2回定例会」本会議一般質問(6月19日)で、羽田新ルートに関して、やない克子議員(生活者ネットワーク)の質疑応答があった。

議会放映(録画)をもとに、テキスト化(約2千600文字)しておいた。

※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

やない克子議員(生活者ネット)

やない克子議員(生活者ネット)
やない克子議員(生活者ネット、区議3期、都立大泉北高校卒、56歳)

問1:今後も教室型説明会の開催を国に要望すべき

私たちは2014年の計画発表当初から、参加者同士の意見や疑問を共有できる教室型説明会の開催を要望してきましたが、ようやく5月27日光が丘地区、6月3日練馬地区で開催されました。光が丘区民センターの参加者は92名、質問者11名。ココネリは118名参加、質問者は13名でした。

光が丘会場の質問者のほとんどは、新ルート計画に反対に意を込めた質問でした。ところが国交省の回答は相変わらず「落下物ゼロを目指す」、「新ルート計画をご理解いただく」と繰り返すばかりで、誠実さが欠けていました

一方、ココネリでは、計画そのものを詳しく知らないと思われる複数の質問者があり、まだまだ説明が必要だということが明らかになりました。より多くの区民が説明を受けられるように、今後も教室型説明会の開催を国に要望すべきですが、考えを伺います。

今回の説明会は町会・自治会の回覧と、区報5月21日号、区のホームページで区民向けに広報されました。しかし、「町会・自治会に加入していても、回覧が回ってこなかった」。また、「平日の19時開始の時間設定では、都合がつかず行けなかった」という声が届いています。

説明会に来られなかった人のために、24名の質問とそれに対する国の回答を早急に公開すべきと考えますが、いかがでしょうか。

問2:新たな基準が適用されて落下物や部品欠落が減少したのか、公開すべき

国は、新ルート設定にあたり、落下物防止対策基準を作り、日本の空港を利用する航空会社に義務づけることで落下物ゼロを目指す――あくまでも「目指す」と言っています。この基準は国際基準になく、世界的に類を見ない我が国独自の基準だそうです。

国内航空会社には今年の1月15日から、外国航空会社には3月15日から適用されています。ところが、成田着の香港航空機が5月26日から4日間連続、計8便でネジやブレーキ部品など19点の欠落を報告したと報道されました。

やはりどんなに基準を厳しくしても、落下物はゼロにはならないのです。国交省に、新たな基準が適用されて以降の落下物や部品欠落の報告数を問い合わせましたが、「現段階では集計してない」と答えました

新たな基準が適用されて落下物や部品欠落が減少したのか、新経路決定までに公開すべきと指摘し、要望しましたが、明確な回答は得られませんでした

区は基準適用以前と以後の落下物等の状況を比較し、数値を公開するよう国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

問3:計画は見直すよう国に要望すべき

説明会では落下物とともに墜落等の事故についても不安を訴える質問がありました。航空機の事故やトラブルは着陸態勢の時に最も多く発生しています。新ルートが運用される15時から19時は、子供たちの下校や保育園のお迎え、買い物や仕事から帰宅するなど、住民が屋外にいる可能性が最も高い時間帯です。

新ルート計画は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までの運行開始を目標に掲げており、残り約1年です。

航空ダイヤの改編は、サマータイムの影響で、毎年3月と10月の最終日曜と世界的に決まっているそうです。国交省の「羽田空港のこれから」で示されているスケジュールを見ると、国際線増便の実現は来年3月29日からと推察され、その前段の新飛行経路周知は年明け早々に行われる計画であることが読み取れます

計画ありきで、このままなし崩し的に新ルートが決定されることを容認することはできません。事故の危険性の高い着陸態勢の飛行ルートを都心上空に作る計画は見直すよう国に要望すべきです。考えをお伺います。

環境部長

環境部長
環境部長

答1:国に要望し、教室型の地域説明会を2回開催しました

私から環境施策についてお答えします。はじめに、羽田空港の機能強化についてです。
国は平成27年以降、フェーズ1からフェーズ5まで、5段階にわたり、機能強化の必要性や飛行経路等の情報提供だけでなく、騒音や落下物など、寄せられた意見等に対する対策について住民説明会を、区内では延べ10回行ってきました

これに加え、新聞広告や折り込みチラシなどによる周知も行っています。さらに区は、区民への丁寧な説明が必要と考え、国に要望し、教室型の地域説明会を2回開催しました。新飛行経路の飛行開始まで、引き続き様々な機会をとらえた丁寧な説明と、さらなる周知の徹底を国に求めていきます。

次に、「地域説明会の意見等の公表について」です。
国は、フェーズ4までの説明会等に寄せられた意見とその対応策は、ニュースレターやパネル展示をまとめた冊子、ホームページなどに掲載し公表しています。

各区で開催された地域説明会やフェーズ5の住民説明会以降の意見等についても、今後公表していくとのことです。区といたしましては、早期の公表を国に求めていきます

答2:丁寧な情報提供を求めていきます

次に、「落下物について」です。
国は落下物の防止対策基準の策定、未然防止策の徹底などにより、落下物対策を強化しました。部品欠落の報告制度も平成29年に拡充し、その状況のその後の状況を公表しています。
引き続き、国に対し落下物対策の確実な実施と、さらなる対策の強化、丁寧な情報提供を求めていきます

答3:区は撤回を求める考えはありません

次に、「飛行経路の見直しについて」です。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、安全を確保したうえでの羽田空港の機能強化は、東京の国際競争力を高めるとともに、多くの観光客の誘致、都民の利便性を向上するうえで必要なことであり、区は撤回を求める考えはありません

雑感

練馬区は国交省のアリバイ作りに加担!?

練馬区でやっと2か所で開催された教室型説明会の参加者は、たったの210名(=92+118)。練馬区内で羽田新ルートの影響を受ける可能性のある区民21万人(全区民の3割)に対して、ほとんど説明がなされていないに等しいではないか。

にもかかわらず、環境部長は、教室型説明会の追加開催を国に求めるでもなく、「フェーズ4までの説明会等に寄せられた意見とその対応策は、(略)ホームページなどに掲載し公表しています。(略)地域説明会やフェーズ5の住民説明会以降の意見等についても、今後公表していくとのことです」と、まるで国交省の担当者のような答弁をしているのである。

国交省がホームページで公表した「意見冊子」が誰も読めないような資料であることを環境部長殿はご存じなのだろうか。⇒「羽田新ルート|意見1.7万件を分析して見えたこと

 

環境部長の答弁の中で最悪なのは、「住民説明会を、区内では延べ10回行ってきました。これに加え、新聞広告や折り込みチラシなどによる周知も行っています」というくだり。何も知らない練馬区民が聞いたら、「国も区もキチンと情報提供してくれているのだな」と勘違いしてしまうだろう。

環境部長の発言に間違いはないが、新聞広告も折り込みチラシも、延べ10回の住民説明会(オープンハウス型)も、国交省のアリバイ作りでしかないからだ。

環境部長の完コピ答弁

環境部長の答弁であと一つ指摘しておきたいのは、「都民の利便性を向上する上で必要なことであり、区は撤回を求める考えはありません」のくだり。

やない議員の質問は「都心上空に作る計画は見直すよう国に要望すべきです。考えをお伺います」と、計画の「見直し」を迫ったのであって、「撤回」という表現を使っていない。なのになぜ、環境部長は「撤回」という表現を用いたのか。

じつは、前回の定例会(19年第1回定例会)で、やくし辰哉議員(共産)の質問「危険な新ルートの撤回を区として国に求めるべきです。お答えください」に対して環境部長が答弁したときの完全なコピペなのである。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、安全を確保したうえでの羽田空港の機能強化は、東京の国際競争力を高めるとともに、多くの観光客の誘致、都民の利便性を向上するうえで必要なことであり、区は撤回を求める考えはありません。

(19年第1回定例会の環境部長より)

※詳しくは、「羽田新ルート|練馬区議会「19年第1回定例会」質疑応答」参照。


やない議員は直ちに環境部長を呼びつけてもいい事案(笑)

このコピペ部長は前回の定例会でも完コピ答弁をやらかしている。

やくし議員(共産)とやない議員(生活者ネット)に対する答弁(答1-3と答2)では、「これまで5段階、・・・区民への丁寧な周知活動を要請してまいります」(101文字)と完全なコピペであった(答弁の日が異なるので、聴衆者はこの完コピに気づきにくい)。

答弁が一貫している環境部長を褒めるべきなのか、議員が舐められているのか。同じ答弁しか引き出せない議員の質問力が問われている……。

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2024年6月1日、このブログ開設から20周年を迎えました (^_^)/
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