国交省が「丁寧で分かりやすい情報提供を行っています」として羽田新ルートが通過する自治体の住民を対象にポスティングしたチラシ(次図)には、国交省に都合のいい情報ばかりが目立つ。
このブログで書いてきた羽田新ルート関連記事のうち、特に中野区民に係る情報をまとめておいた。
基本情報
到着ルート(都心低空飛行)概念図
- 南風時(年間の約4割)の午後3時から7時のうち3時間、新宿⇒渋谷⇒港⇒目黒と降下。品川上空では、東京タワーよりも低い高度300mで飛ぶ。
- 「A滑走路到着ルート」は1時間当たり14回(4分17秒ごと)、「C滑走路到着ルート」は1時間当たり30回(2分ごと)の頻度で、上空から騒音が降り注ぐ。
羽田新ルートが通過する地域(26地域)
羽田新ルートは中野区内の26地域の上空を通過する(次図)。
- A滑走路到着ルート
弥生町1丁目、弥生町2丁目、本町3丁目、本町4丁目、本町5丁目、中央3丁目、中央4丁目、中野2丁目、中野4丁目、中野5丁目、新井2丁目、新井3丁目、沼袋3丁目、丸山2丁目、野方3丁目、野方4丁目 - C滑走路到着ルート
(好天時)
東中野5丁目
(悪天時)
東中野3丁目、東中野4丁目、東中野5丁目、上高田4丁目、上高田5丁目、松が丘1丁目、江原町1丁目、江原町2丁目、江古田1丁
「悪天時」に大きな影響を受ける自治体のひとつ
「悪天時」の運用がされると、地域によっては「好天時」よりも低く飛ぶ(すなわち騒音が大きくなる)。「悪天時」は、「好天時」のルートの一部が西側にシフトし、かつ飛行高度が低くなる(次図)。
「好天時」には通過しないが、「悪天時」になると通過するのが、さいたま市の浦和区と桜区、朝霞市、蕨市。あと、練馬区と中野区は、「好天時」の高度は1350⇒1200mだが、「悪天時」の高度は900mと低くなるので、騒音が大きくなる。
「「悪天時」特に影響する地域 」より
ただ、「悪天時」の運用日数は多いわけではない(次図)。多い月でも3日間(20年6月・7月の実績)。
中野区民5割(18万人)が騒音の影響を受ける
A滑走路到着ルート約12万人、C滑走路到着ルート約5万人。
中野区民33万人のうち、5割(18万人)が羽田新ルートの騒音の影響を受ける(次表)。
航空機騒音の測定
中野区(独自測定なし)
中野区は、品川・港・豊島・北区などと違って、区独自の騒音測定を実施していない。
東京都(測定局なし)
東京都が羽田新ルート周辺で騒音をモニタリングしている測定局は5か所。
うち中野区内はゼロ。
※参考「東京都の騒音測定結果を可視化※随時更新」
国交省(小淀ホーム)
国交省が騒音データを公表している測定局は19か所。うち中野区内では小淀ホームに設置されている。
- A・C滑走路到着ルートの間に位置する
- A滑走路到着ルートの側方1.4km程度、C滑走路到着ルート(好天時)の側方500m程度、C滑走路到着ルート(悪天時)の側方300m程度に位置する
- 高度約900~1,050m
小淀ホームの騒音レベルの最大値の月平均は概ね65~70dB。騒音発生回数は、南風運用があった日を対象に1日あたり11~60回とバラついている(次図)。
※詳細および最新情報は「国交省の騒音測定データを可視化※随時更新」
反対運動
羽田新飛行ルートの中止を求める中野の会
(haneda.nakanoアットマークgmail.com)
中野区議会
中野区議会の定例会本会議での代表・一般質疑応答(まとめ)
中野区議会では羽田新ルート問題はあまり取り上げられていない。
- 22年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
- 22年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
- 21年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
- 20年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
- 19年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
羽田新ルートに係る請願・陳情の採決状況(19~20年)
- なし
中野区議会のパワーバランス
19年4月21日の統一地方選挙後、中野区議会では、改選前の推進派(自公、都民F)56%が、改選後は45%に減少。羽田新ルートが通過する13の区のうち、2番目に推進派の割合が少ない(次図)。
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