中野区議会「20年第4回定例会」本会議の一般質問(11月26日)で、羽田新ルートに関して、来住和行議員(共産)の質疑応答があった。
「議員の質問読み飛ばしに、回答を取り違える区長」の巻……。
※議会中継(録画)をもとに、テキスト化(約800文字)しておいた。
中野区議会「20年第4回定例会」質疑応答
来住議員(共産):ルートの変更を検討することを国土交通省に求めるべき
来住和行議員(共産党、区議7期、宮崎県立和泉ケ丘高校(定時)卒、73歳)
次に、羽田空港新飛行経路問題についてお聞きします。
羽田新ルートについては、これまで国・東京都は「地元自治体や住民の理解を得ることが新飛行経路の前提条件だ」と言いながら、品川・渋谷区議会の反対決議を無視し続け、運用を強行しています。
品川区では住民投票の実施を求める署名が提出されました。港区では先の第3回定例区議会で、羽田空港新飛行経路固定化回避の意見書が全会一致で可決をされました。当議員団アンケートにも騒音や落下への不安と怒りの声と共に、飛行中止やルートの変更を寄せる声が寄せられています(誤読?)。
国土交通省が公表した3月29日から1か月間の騒音測定結果では、中野区唯一の測定局である中央1丁目小淀ホームは中型機では平均67.8デシベルで、説明会での推計平均値の66デシベルを超えました。国土交通省は新飛行経路直下の平和の森小学校で、9月下旬に2週間の短期騒音測定を実施しています。(※原稿読み飛ばし⁉)
お聞きします。関係区と連携し、新飛行経路を固定化せず、ルートの変更を検討することを国土交通省に求めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。
酒井区長:(騒音測定)固定局の設置を要望することは考えておりません
酒井直人 中野区長(1期、元中野区役所職員、早大法学研究科修了、49歳)
次に、羽田空港新飛行経路の問題について、常設の騒音測定局の設置の要望についてでございます。
現時点で平和の森小学校における短期騒音測定についての結果は公表されておりません。
国は新飛行経路直下の住民から多くの問い合わせがあることから、丁寧な情報提供とさらなる騒音発生状況の状況把握の一環として、騒音測定の固定局の設置地点等との全体バランスなどを考慮し、新飛行経路直下に位置している平和の森小学校を短期騒音測定地点として選定したと考えております。
国からは固定局を増設することは予定していないと聞いておりまして、現段階で、A滑走路直下における固定局の設置を要望することは考えておりません。
議員の質問読み飛ばしに、回答を取り違える区長
来住和行議員(共産)は前回の定例会本会議一般質問の冒頭で(9月10日に登壇)、「質問予定の羽田新ルートの問題は、次の機会とさせていただきます」と述べ、同問題に係る質疑を今回の定例会に先送りしていた。
あれから3か月近くが経過。今回はさぞかし知恵を絞った鋭い質問が出てくるのかと思いきや―― 違った。
他の区議会の共産党議員からも聞かれる「ルート変更を国に求めるべき論」だった。まあ、羽田新ルート問題を全く取り上げない議員に比べれば、はるかにいいし、ブレない主張として一定の評価はできる。
対する酒井区長は、他の区長には見れらないほどのトンデモ答弁を放った。
現段階で、A滑走路直下における(騒音測定)固定局の設置を要望することは考えておりません。
おいおい、来住議員がいつ、騒音測定固定局の要望を出したというのだ。同議員の質問は、ルート変更を国に求めるの一本だぞ。
ひょっとして、来住議員が質問文章を読み飛ばしたのか?
念のため、日本共産党中野区議会議員団のホームページで11月30日に公開された「2020年第4回定例会 本会議・一般質問 2020/11/26来住和行」と読み比べてみると、本来質問するはずだった「騒音測定局の設置を求めるべき」のくだり(下記朱書き)がスッポリと抜け落ちていることが分かる。
(前略)国土交通省は新飛行経路直下の平和の森小学校で9月下旬に2週間の短期騒音測定を実施しています。
お聞きします。測定結果は公表されているのか。新飛行経路直下で騒音測定を行なったのはなぜなのか。2週間限定でなくA滑走路の直下に常設の騒音測定局の設置を求めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。
長期化するコロナ禍の中で飛行機の減便で航空会社の存続さえ危ぶまれています。住宅密集地の上空を低空飛行して離着陸することは世界にも例のないことです。お聞きします。関係区と連携し新飛行経路を固定化せずルートの変更を検討することを国土交通省に求めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。
来住議員の原稿に「お聞きします」が2か所あるので、最初のほうを読み飛ばしてしまったのであろう。
不意打ちを食らった区長はといえば、「ルートの変更を検討することを国土交通省に求めるべき」に回答すればよかったのに、読み飛ばされてしまったほうの質問(常設の騒音測定局の設置を求めるべき)だけに答える形になってしまった。これには区長の原稿を準備した担当者もさぞや頭を抱えたに違いない。
今回公開された会議中継録画の編集に間違いがないとすれば、このようなバカげた事態が生じたのは、中野区議会本会議の一般質問では再質問がないだけでなく、多くの区でスタンダードとなっている”原稿棒読み大会”がその一因だと指摘できる。
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