中野区議会「21年第1回定例会」本会議の一般質問(2月17日)で、羽田新ルートに関して、羽鳥だいすけ議員(共産)の質疑応答があった。
※議会中継(録画)をもとに、テキスト化(約1千100文字)しておいた。
質疑応答
羽鳥議員(共産):都民の安全、安心な生活を脅かす新ルートは撤回をすべき
羽鳥だいすけ議員(共産党、区議2期、中央大学卒、34歳)
最後に4番、羽田空港新着陸ルートについてお尋ねいたします。
昨年に取り組んだ中野区民アンケートにおいて、「羽田空港新着陸ルートについてどう思うか」の設問では、全体としては「騒音や落下物対策をきちんとすればよい」が49.2%、「環境悪化、落下物の危険が増えるため中止」が39.5%、「わからない」が11.3%という結果でした。
※回答者4,628人
「日本共産党中野区議団ニュース2021年2月号」より
同時に、年齢や職業別に回答を見てみると、興味深い結果も得られました。
年齢別でみると、年代が上がるほど反対の声が増えていくと共に、職業別の回答では、正社員や非正規など労働者の賛成は多いことと、無職や家事専業といった日中は区内にいると思われる方は、反対が多くありました。
ここから見て取れるのは、航空機が中野区内上空を飛ぶのを目の当たりにしている方は、反対が多いということです。
区はこうした区民の声に耳を傾けてもらいたいと思います。
我が党はかねてから、騒音被害や落下物の危険が排除できない都心上空を低空飛行するルートは撤回すべきと主張してきました。
区は、対策はとっているなどと言ってきましたが、その中身は見舞金など、事故が起こった後の被害補償に過ぎません
昨年12月4日に那覇空港発羽田行きの日本航空機が那覇空港の北約100km、高度約5000mにてエンジンブレードが破損する落下事故を起こし、航空重大インシデントと認定をされています。
事故原因は未だ調査中とのことですが、エンジンブレードの疲労破壊も指摘されており、そうであれば、いつ落下物になるかは全くの偶然で、下手をすれば当該航空機は羽田行きであったことから、中野区内に落下したかもしれません。
この事故について、区はどう認識しているのでしょうか。お答えください。また、このような事故を前にして、新都心上空低空飛行はやめるよう国に対して意見すべきではないですか。お答えください。
羽田空港増便のためと、このルートを導入しておきながら、コロナ禍の下で需要が低迷し、増便の根拠はどこにもありません。都民の安全、安心な生活を脅かす新ルートは撤回をすべきです。
環境部長:技術的方策検討会、区としてこの検討の内容を注視
環境部長
私からは、最後に羽田空港新着陸ルートについてのご質問にお答えいたします。
国土交通省は昨年12月の重大インシデントにつきまして、国内航空会社に航空機のエンジンのファンブレードの点検頻度の引き上げを指示するなど、再発防止対策を講じていると聞いております。
国により航空輸送の安全が確保されることが重要であると考えております。
羽田空港の新飛行経路につきましては、国が昨年6月と12月に固定化回避に係る技術的方策検討会を実施しており、区としてこの検討の内容を注視していきたいと考えております。
雑感
今回一般質問に立った22人のうち羽田新ルート問題を取り上げたのは、羽鳥議員(共産)のみ。前回(20年第4回定例会)も羽田新ルート問題を取り上げたのは共産党(来住和行議員)だけだった。2回連続で取り上げたことは評価するものの、内容的にはもの足りない。
今回の羽鳥議員の質問は、次の2点。
- この事故について、区はどう認識しているのでしょうか
- このような事故を前にして、新都心上空低空飛行はやめるよう国に対して意見すべきではないですか
環境部長の答弁をよく読むと、議員の質問にそれなりに対応した形で応じている。
- 航空輸送の安全が確保されることが重要であると考えております
- 国が昨年6月と12月に固定化回避に係る技術的方策検討会を実施しており、区としてこの検討の内容を注視していきたい
ただ、環境部長の答弁内容は、あまりにもそっけない、というかアッサリし過ぎ。
中野区民の半分(18万人)が羽田新ルートの影響を受けているのに、この程度の質疑応答でいいのだろうか。
ちなみに、中野区議会の録画映像が公開されるのは、定例会終了後の約2週間後。23区のなかでも異例なほどに遅い。
中野区民は区議会にもっと関心を持ったほうがいいのではないか……。
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