中野区議会「19年第3回定例会」本会議の一般質問(9月11日)で、羽田新ルートに関して、来住和行議員(共産)の質疑応答があった。
議会中継(録画)をもとに、テキスト化(約1千300文字)しておいた。
※時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。
来住議員(共産)
来住和行議員(共産党、区議7期、宮崎県立和泉ケ丘高校(定時)卒、71歳)
問1:区民の理解が得られているとの認識でしょうか
羽田空港の新飛行ルート問題についてお聞きします。
国土交通省は8月8日、羽田空港の増便に伴い、都心上空を来年3月末から飛行させる新ルートを決定しました。運行が始まれば、羽田に向かう南風時の着陸ルートは午後3時から4時間に、C滑走路着陸では約2分に1機の割合で都心上空を超低空で飛来することになります。
これまで国土交通省は「決定については『地元の理解を得て行う』。その地元とは地方公共団体、議会、住民の三要素だ」と言ってきました。
品川区議会は3月に新ルート計画を容認できないとして決議を行い、渋谷区議会も計画見直しの意見書をそれぞれ全会一致で可決しています。さらに、教室型の住民説明会においても計画反対の声が圧倒的でした。中野区は、区民の理解が得られているとの認識でしょうか。答弁を求めます。
問2:区民の安全・健康・生命を保証する責任・・・その立場で表明すべき
国交省は、中野駅付近の飛行高度を当初の1000m計画から1150mに引き上げる追加対策を示しています。着陸機降下角度を3度から3.5度に引き上げることが騒音対策だと言いますが、中野区内では1から2㏈しか変わらないだけか、航空専門家は3.5度の降下角度は世界でも例を見ない急角度で、操縦が難しくなり、尻もち事故を起こす危険性を指摘しています。
国土交通省はこれからの各国の航空会社との調整、検査飛行、公聴会、試験飛行などを行うことを計画しています。多くの中野区民にまだ知られていないなかでの決定など許されません。その一つは、住民・議会の合意が得られていない、二つに、人口密集地の都心の落下物による危険対策が取られていない、三つに、操縦困難による重大リスクが懸念されること。
何よりこれまで国も都も地元自治体や住民の理解を得ることが新飛行経路の前提条件だと明言したことからも、これに反する決定です。
中野区は、影響を受ける近隣自治体とも協議し、区民の安全・健康・生命を保証する責任と役割が区にあります。その立場で表明すべきです。答弁を求めます。
酒井区長
酒井直人 中野区長(1期、元中野区役所職員、早大法学研究科修了、47歳)
答1:区民への周知が十分であるとは考えておらず・・・
次に、羽田空港新飛行ルートについてでございます。
8月8日に行われた新飛行ルートの決定は、国土交通省がこれまで実施してきた関係自治体各所での説明会や新聞広告等による周知活動、関係自治体との協議などを踏まえて、国の責任と判断により行ったものでございます。
区も区民への周知が十分であるとは考えておらず、騒音対策や落下物対策の充実と合わせて、引き続き区民への丁寧な説明を求める意見を国土交通省に提出して、「新飛行ルートの運用開始に向けて様々な追加対策を実施する」との回答を得たことでございます。
答2:区としての意思・立場を表明することは考えておりません
今後、国土交通省が実施するとしている様々な対策の実施について、東京都や関係自治体と連携して確認していくことを予定しておりまして、現時点で区としての意思・立場を表明することは考えておりません。
雑感(中野区議会での議論は低調…)
筆者の独自調査によれば、羽田新ルートの騒音影響を受ける人口割合が大きいのは1位渋谷区54%(12万人)、2位中野区53%(18万人)。中野区民の5割が騒音の影響を受ける可能性があるというのに、中野区議会での議論は低調だ。中野区議会では18年に4回開催された定例会でも、19年に2回開催された定例会でも、一般質問で羽田新ルート問題を取り上げた区議はゼロ(中野区議会 第1回定例会「羽田新ルート問題」一般質問なし)。
G氏や筆者の9月7日ツイート「中野区議会 議員は、仕事をしているのだろうか…」の影響を受けたからなのかどうかは不明だが、9月12日の一般質問に立つ羽鳥だいすけ区議(共産、2期、32歳)ではなく、9月11日の一般質問に立つベテランの来住和行区議が羽田新ルート問題の質問をすることになったようだ。
11日、来住区議の一般質問・区長の政治姿勢の中で、羽田空港の新飛行ルート問題について質問。質問全文を掲載致します。(以下略)
来住区議の質疑のポイントは次の2点。
- 中野区は、区民の理解は得られているとの認識でしょうか
- 区民の安全・健康・生命を保証する責任と役割が区にあります。その立場で表明すべき
共産党中野区議団(6名)は、9月11日の定例会一般質問で来住区議が羽田新ルート問題を取り上げたことで、区民に対する責任を果たしたことになるのだろうか。
いま共産党中野区議団に期待されているのは、渋谷・品川の両区議会に続き、国に対して羽田新ルートの見直しを求める意見書の決議に力を注ぐことではないのだろうか(羽田新ルート|中野区議会、国に見直しを求める意見書決議のチャンス)。
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