南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートの運用が4月3日に始まって以来、「悪天時」ルートで運用されたのは6月11日が2回目。
「悪天時」の運用がされると、地域によっては「好天時」よりも低く飛ぶ(すなわち騒音が大きくなる)。
6月11日、2回目の「悪天時」運用
南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートの運用が始まったのは4月3日。
4月は17日間、5月は19日間、そして6月は9日間(6月14日現在)運用された。合計45日間のうち、「悪天時」ルートで運用されたのは、2回だけ。4月18日と6月11日だ。
「悪天時」の運用がされると、地域によっては「好天時」よりも低く飛ぶ(すなわち騒音が大きくなる)。「悪天時」は、「好天時」のルートの一部が西側にシフトし、かつ飛行高度が低くなる(次図)。
「実機飛行確認経路(新飛行経路)|国交省」に加筆
「悪天時」特に影響する地域
実際の「好天時」と「悪天時」の航跡の違いを可視化したのが次図。
「好天時」運用だけの6月10日(左図)と比べると、「好天・悪天時」運用だった6月11日(右図)のほうが一部のルートが西側にズレているのである。
※国交省が運用しているサイト「羽田空港飛行コース」で公開されている「航跡図」に筆者が見出しを加筆した
上図のうち、「好天・悪天時」の航跡(右図)を拡大し、「悪天時」特に影響を受ける自治体名を緑色で追記したのが次図。
「好天時」には通過しないが、「悪天時」になると通過するのが、さいたま市の浦和区と桜区、朝霞市、蕨市。特に蕨市以外は高度900mで通過するので騒音の影響が大きい。また、和光市は「好天時」1500mだが「悪天時」900m。
あと、練馬区と中野区は、「好天時」の高度は1350⇒1200mだが、「悪天時」の高度は900mと低くなるので、騒音が大きくなる。
「飛行騒音はたいしたことない」と思うなかれ
国交省が運用しているサイト「羽田空港飛行コース」に公開されている「過去の運用状況」をひも解くと、6月11日に「悪天時」の運用が実施されたのは30分間(17:08~17:38)だったことが分かる。
- 17:00 RNAV LDG RWY 16L/16R(好天時 C/A滑走路到着ルート)
- 17:08 ILS LDG RWY 16L/16R(悪天時 C/A滑走路到着ルート)
- 17:26 ILS LDG RWY 16L/16R(同上)
- 17:30 ILS LDG RWY 16L/16R(同上)
- 17:38 ILS LDG RWY 22/23(ILS B/D滑走路到着ルート)
6月11日に羽田新ルートを飛行した全44機のうち、「悪天時」ルートを飛行したのは、A滑走路到着ルート4機、C滑走路到着ルート9機でしかなかった。しかも大型機はボーイング777の2機だけだった(次表)。
だから、これをもって「飛行騒音はたいしたことない」と思わないほうがいいだろう。
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