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羽田新ルート|赤羽大臣「(固定化回避)しっかりと検討を進めていきたい」

赤羽大臣は6月18日、閣議後の記者会見で羽田新ルートに係る質問に応じた。

赤羽大臣が閣議後の定例記者会見で羽田新ルートを取り上げたのは15か月ぶり。なぜこの時期に羽田新ルートを取り上げたのか……。


質疑応答のポイント

記者:固定化回避の検討会、今後の見通しは?

羽田の新経路のことなのですけれども、昨年の6月に固定化回避の検討会が設けられまして、近く1年を迎えるわけですが、後ほど都議選もあって地元の方々の関心もいまだ高い状態なのですけれども、現状でどんな状況か、また今後の見通しはどのようになっているのか、可能な限りで教えてください。

大臣:(固定化回避)しっかりと検討を進めていきたい

赤羽一嘉 国交大臣
赤羽一嘉 国交大臣(公明党、8期、元三井物産社員、慶大卒、63歳)

羽田の新経路につきましては、これまで相当長い期間において、1つは首都圏空港の機能・国際力競争力の強化と、当時からあった千葉県の騒音の低減という大きなテーマの中で、様々な関係者が出席をしていただいて、これは私が大臣に就任するはるか前の話ですが、そうしたことが積み重ねられた結果、この羽田の新飛行経路が定まったと承知をしております。

他方で様々な声があるのも事実ですし、私自身は、固定化をせずに柔軟な選択肢を増やすということは非常に大事だという思いの中で、昨年6月にこの検討会の立ち上げを指示し、専門家とパイロットの皆さまからなる会議体を開始して、主に技術的な検討を行っていただいているところです。


これまでの検討会では12の飛行方式について示され、その12の飛行方式において対応機材等の論点や、海外の事例の調査を踏まえてメリット・デメリットを整理しており、その上で羽田空港への導入可能性のある6つの飛行方式に絞り込んでおりまして、導入する場合のそれぞれの課題を整理しているところだと報告を受けているところです。


今後はこれまでの議論を踏まえ、各課題の対応策への検討を行った上で、飛行方式の更なる絞り込みが行われるものと承知をしております。羽田空港への導入に向けては、絞り込んだ飛行方式について、飛行経路設定に必要な基準等の策定や、国際基準との整合性の確認、また、運航者との調整、安全性の評価、騒音影響の検証等を行う必要がありますので、関係者と協力・相談しつつ、しっかりと検討を進めていきたいと考えております。

雑感

なぜこの時期に羽田新ルートを取り上げたのか

赤羽大臣が閣議後の定例記者会見で羽田新ルートを取り上げたのは15か月ぶり。形式的には記者からの質問を受けた形になっているが、実質的には記者に質問させていることを疑う人はいないのではないか。

前回は羽田新ルート運用開始直前の20年3月27日だった。そのときは、オリパラが延期になったのに羽田新ルートを予定通り運用開始する理由として、”フル運用に向けた助走期間論”を語っていた(赤羽大臣「フル運用に向けた助走期間、いい期間)。

 

では、なぜこの時期に、羽田新ルートを取り上げたのか?

一言で言えば、都民からの突き上げがそうさせたのだと推察している。

具体的には、こういうことだ。新型コロナ感染拡大の影響で大幅な減便を強いられているなかで1年以上も羽田新ルートを運用し続ける根拠としての”フル運用に向けた助走期間論”はもはや説得力を失っていて、そのため主張し始めた、千葉県民との”騒音共有化論”は都民から強い反発を受けて、「分散等の観点」というマイルドな表現に置き換わった(「騒音共有」から「分散等」へ)。

それでも都民からの反発は収まらず、直近では港区議会で、「羽田都心飛行ルート下の住民・勤労者を対象とした実態調査と調査結果の公表を求める請願」が全会派一致で採択されたり、「羽田空港新飛行経路の固定化回避の早急な検討を求める意見書」が全会派一致で可決されたりしている。また、都議選を控えた都議会有志は6月14日に「羽田新飛行ルート見直しのための都議会議員連盟」を結成

このように、都民からの突き上げを受けた区議、都議の動きが赤羽大臣に記者会見で羽田新ルートを取り上げさせたのではないか

「固定化回避」という時間稼ぎ

固定化回避とは、羽田新ルートによって現在騒音などの悪影響を受けている住民にとって、将来緩和されるかような幻想を抱かせる表現。これから都議選や衆院選に挑む候補者にとって都合のいい表現である。赤羽大臣のように「関係者と協力・相談しつつ、しっかりと検討を進めていきたい」と言っておけば、当面の時間稼ぎにはなるだろう。

でも、固定化回避の中身が具体的になるにつれて、当初抱いていた幻想は落胆に変っていくのではないか。なぜならば、国交省はパイロットから見たら「あり得ないことを検討」(元JAL機長・航空評論家の杉江弘氏 21年4月24日)しているからだ。

意味がない 見直し
羽田新ルートの「固定化回避」は実現するのか」から
 

「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」が直近で開催されたのは第3回目の21年3月17日。羽田新ルート問題で寝た子を起こしたくない国交省としては、都議選や衆院選前に第4回目を開催することはないのではないか。

あわせて読みたい(赤羽大臣の記者会見)

※下記日付は記者会見日を示す。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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