赤羽大臣は3月24日、閣議後の記者会見で羽田新ルートに係る質問に応じた。
実機飛行確認で分かった騒音影響と降下角引き上げリスク、そして3月29日からの新ルート運用開始に対する大臣の認識は……。
大臣:実機飛行確認中のサンプル数が少ないことから、3月29日後もデータを収集
赤羽一嘉 国交大臣(公明党、8期、元三井物産社員、慶大卒、61歳)
もう1点、閣議案件とは別に報告があります。
羽田空港の新飛行経路に係る実機飛行確認の騒音測定結果について御報告させていただきます。
1月30日から2月12日までの間、実機飛行確認を行ったところですが、この期間中、19箇所の騒音測定局で騒音を測定し、この度、その結果をとりまとめました。
まず、それぞれの騒音測定局ごとに大型機、中型機、小型機別で実測値の平均を算出しました。
これまで住民説明会等でお示しした推計平均値と比較すると、約6割は推計平均値と同等、約2割は推計平均値以上、約2割は推計平均値以下という結果になりました。
次に、降下角引き上げによる効果については、これまでの降下角3度で降下した場合に比べ、1つは3.45度のまま降下する場合、もう1つは一旦3.45度超で降下して3度のパスに会合する場合の2通りの調査をしましたが、いずれも一定の騒音軽減効果が見られました。
ただし、実機飛行確認中のサンプル数が少ないことから、3月29日後もデータを収集し、情報公開を進めるとともに、これまで説明してきました推計平均値を著しく上回る結果となった場合には原因究明を行い、必要に応じて対策も考えてまいりたいと思っております。詳細は後ほど事務方から説明させていただきます。
質疑応答
記者:騒音、平均すると想定の範囲内?
羽田の新ルートについてなのですけれども、平均すると想定の範囲内ということだったと思うのですけれども、もう1つの論点として、騒音値でいうと最大の音がどうかというところがあると思うのですが、そこも踏まえてこれまで住民の方々に説明されてきたとおりで、特に問題はない、特に現状としてはすぐに取る対応はないというお考えなのかお伺いします。
大臣:減便、ゆっくりデータを収集できる期間
先ほどそういう説明をしたつもりはなく、今回実測値の平均のうち約2割で推計平均値を約1~3デシベル程度上回っていると。
実際に、地元の住民の方々からは「航空機の騒音が大きい」という声が寄せられており、その点については真摯に受け止めなければいけないと思っております。
こうした結果、先ほど申し上げましたが、まだサンプル数が十分ではないということもあり、3月29日からまた新経路で飛ぶわけですが、減便が続いていますから、こうしたこともゆっくりデータを収集できる期間と捉えながら、データを蓄積・分析し、騒音状況を継続的にモニターして、丁寧に情報提供していくことが重要であると考えております。
住民の皆さまとの対話の継続は必要だと思っておりまして、そうした新たなデータの中で、推計平均値を著しく上回る結果が出てきた場合には、原因究明をしっかり行いながら、必要に応じて更なる騒音対策を検討してまいりたいと考えております。
記者:降下角リスク、対策は考えていない?
もう1点。
同様に、降下角の飛行パスについても、これは特に騒音軽減効果が見られたということなので、リスクについても一部で言われているほど問題ないのではないかという御認識だと思うので、特にこの点についても対策は考えていないということでしょうか。
その辺の御認識をお願いします。
大臣:実機で様々な条件下で飛行していただいて・・・
対策というか、これも同じで、この前の3.45度の降下する場合には、-2.7から-0.5デシベル程度の効果があったと。
一旦3.45度超で降りてきて3度にするという、これも3.45度のまま降下する場合よりは効果が減少するものの、一定程度の効果が見られたという結果が出たということであります。
ただ、3月29日からの中でも同じようにデータを収集しながら、安全性についてもこの前パイロットの皆さまから出されたことで、安全については問題ないと聞いていますけれども、特に夏場、気温が高温になると、正確ではないのですが、飛行機というのは構造上少し高度が高くなるということなので、実際に実機で様々な条件下で飛行していただいて、パイロットの皆さまとの意見交換も継続的に行いたいと思っておりますし、3月4日に来ていただいた時の航空評論家の方からのお話で、パイロットと管制の皆さまの意見交換をしながら、それぞれの熟度を高めるということが、より安定した運航を着実に実現することが可能になるという御示唆もありましたので、そうしたこともしっかりと進めていかなければいけないと考えています。
記者:(実機で)モニターしていくということですか?
問題意識としては持ち続けて、モニターしていくということですか。
大臣:改善の努力はしていかなければいけない
非常に難しいのですが、ベストを尽くしているという認識でありますけれども、過信というのが一番危ないので、安全神話に陥らないように、常に不断の見直しというか改善の努力はしていかなければいけないというスタンスです。
雑感(赤羽インパール作戦…)
実機飛行確認での騒音測定結果が「平均すると想定の範囲内」だが、「最大の音がどうか」と記者から問われた大臣の答えはいただけない。
まだサンプル数が十分でないので、3月29日からの新ルート運用後は、「減便が続いていますから、こうしたこともゆっくりデータを収集できる期間」だと。
また、降下角引き上げリスクについては、「パイロットの皆さまから(略)安全については問題ないと聞いています」との認識を示し、「実機で様々な条件下で飛行していただいて、パイロットの皆さまとの意見交換も継続的に行いたい」としている。
動き出したら止まらない、赤羽インパール作戦……。
あわせて読みたい(赤羽大臣の記者会見)
※下記日付は記者会見日を示す。
- 20年3月13日:運用を先延ばしにしていいことはない
- 20年2月21日:「地元の皆さまの理解が深まるように」
- 20年2月4日:「概ね想定した騒音レベルの範囲内」
- 20年1月7日:またも忖度質問を繰り返す記者
- 19年11月19日:2か月前の忖度質問を繰り返す記者
- 19年9月19日:「丁寧に対応、できる限り多くの方々の御理解を」