赤羽大臣は2月21日、閣議後の記者会見で羽田新ルートに係る質問に応じた。
質疑応答
赤羽一嘉 国交大臣(公明党、8期、元三井物産社員、慶大卒、61歳)
記者:3月29日から本格運用開始という方針に変わりはないか?
羽田空港の飛行試験について伺います。
先日、実機試験が終了して、その後の騒音の影響であったり、一部の海外航空会社が着陸を見送ったということに関して、本格運用までに追加の対策があれば教えてください。
また、今のところ3月29日から本格運用開始という方針に変わりはないかというのも教えてください。
大臣:地元の皆さまの理解が深まるように更に努めてまいりたい
羽田空港の新飛行経路の運用開始・国際線の増便に向け、管制官が新飛行経路の運用手順等を確認するほか、新たに設置した航空機騒音測定局の調整を行うため、北風・南風それぞれ7日間、実機飛行による確認を行いました。
実機飛行確認中には、住民の皆さまから「航空機の騒音が大きい」とか「見た目の圧迫感が大変ある」という厳しい声も寄せられているところでありまして、まずこの点についてしっかり真摯に受け止めてまいりたいと思っております。
また、騒音測定結果も含めて、様々な実機飛行確認の結果について現在精査中でありまして、できる限り早期に公表することを予定しています。
加えて、これまで説明した騒音レベルを著しく上回る結果となった場合、そうした地点があった場合には、原因究明をしっかり行うとともに、必要に応じて新たな騒音対策等を検討していかなければいけない、現時点では3月29日からの新飛行経路の運用開始に向けて、地元の皆さまの理解が深まるように更に努めてまいりたいと思っております。
また、この中で、航空機の運航に関する専門家にも確認をいただいておりますし、今回、実機飛行に実際乗られたパイロットの皆さまからも様々な御意見も聞かせていただいております。
本年夏ダイヤからの新飛行経路の確実な運用を行うために、羽田空港に乗り入れる全ての外国の航空会社に対しまして、新飛行経路の運航に関する準備状況について確認を進めるとともに、運航上の留意点について改めて周知・徹底して安全を図っていきたいと考えております。
現時点では以上です。
雑感(地元の皆さまの理解が深まるように!?)
これまで説明した騒音レベルを著しく上回る結果となった場合
記者から追加対策を問われて、大臣は、「これまで説明した騒音レベルを著しく上回る結果となった場合、そうした地点があった場合には、原因究明をしっかり行うとともに、必要に応じて新たな騒音対策等を検討していかなければいけない」と応じている。
「騒音対策等を検討」とは言っているが、「騒音対策等」を実施すると確約はしていない。あくまで「検討する」ことを約束するという役所用語だ。
ちなみに、国交省がこれまで公表していた騒音データをもとに筆者が独自試算した騒音レベルに対して、多くの地点で国交省の速報値は上回っている(次表)。
「これまで説明した騒音レベルを著しく上回る結果となった場合」に該当していると思うのだが、国交省は「現在精査中」としている騒音測定結果にどのような言い訳を記載してくるのだろうか。
地元の皆さまの理解が深まるように!?
また、記者から3月29日からの本格運用開始の変更の可能性を問われて、「地元の皆さまの理解が深まるように更に努めてまいりたい」と応じている。すでに常套句となった「地元の理解」と「努めてまいりたい」とがセットになっている。
ようするに、予定通り3月29日からの本格運用に変わりはないということだ。
あわせて読みたい(赤羽大臣の記者会見)
※下記日付は記者会見日を示す。
- 20年2月4日:「概ね想定した騒音レベルの範囲内」
- 20年1月7日:またも忖度質問を繰り返す記者
- 19年11月19日:2か月前の忖度質問を繰り返す記者
- 19年9月19日:「丁寧に対応、できる限り多くの方々の御理解を」