赤羽大臣は3月13日、閣議後の記者会見で羽田新ルートに係る質問に応じた。
質疑応答
赤羽一嘉 国交大臣(公明党、8期、元三井物産社員、慶大卒、61歳)
記者:3.45°に上げた新着陸方式、問題ない?
羽田の新ルートについてお伺いします。
今回、通常とは違う角度の3.45°に上げた新着陸方式をとっておりますけれども、これについて、安全を懸念する声も上がっているのですけれども、問題ないと考えているか、ということと、これは騒音対策としてやられていますが、先月の実機飛行での検証効果などは示されていないのですが、さほど変わらないという指摘もあって、騒音効果とかできているのかということを教えてください。
大臣:我が国の空港でも世界の空港でも実績があって
まずは、3.45°の降下角を上げるということについては、1つは、我が国の空港でも世界の空港でも実績があって、初めての危険なことをやっているということではないと認識しております。
また、航空会社の事前の協力をいただいてシミュレーションで、安全性の検証をそれぞれ実施していただきまして、その結果を踏まえて、例えば、夏の高温の時期は、特に3.45°のまま進入するという方式だけではなくて、3.45°で進入後、1500フィートで3.00°にして着陸をフラットで入るというような方式。
事務方:3.00°で最終的に入る(大臣発言を訂正)
3.00°に入った時は1500フィートではないですが、1500フィートをあるポイントで超えて、その後、3.00°で最終的に入る。
大臣:騒音については、できる限り早期に公表したい
そうした方式も事前に示しておりましたが、夏場はそちらの方がよりスムーズに着陸できると。
先日4日に、実機飛行をした全日空とJALのパイロットの皆さまから直接話を聞きましたので、そうしたことも運用していっていただければいいのではないかと思っております。
その時に、私も安全性というのはどういうことなのか心配もしておりまして、いろいろな書かれたものもありましたので、直接パイロットの方にも聞きましたら、このことによって安全性が損なわれるという、そういう認識ではないと。
ある意味では障害物もないので、新経路の方は、今の羽田の入り方よりも安全性という意味では、新しい方がより安全だという話があったりとか、また、よく私自身もそうでしたけれども、安全性というと、0か100かみたいな話なのですが、例えば、いざ急に横風が吹いたりした場合には、こういう段取りをするとか、要するに、いきなりシビアアクシデントにならないような、当然段階というのはあるわけで、そうしたことを踏まえますので、これは私の意見ではなくて、実際に乗ったパイロットの人たちは安全性についてはあまり懸念はないという話でありました。
ただ、そうしたことの説明は事前によく聞いておいてもらったほうがいいので、本邦の航空会社の方には十分行き届いてますが、外国の航空会社についてもしっかりと周知をしなければいけないということで、3月2日に説明会をやってまいりました。
これからも不断に続けていきたいと思いますし、そのことで、パイロットと管制のところの連携も取るということが大事なのではないかということでした。
騒音については、今、速報値を公表しておりますけれども、その効果については、今精査を行っているところでありますので、これはできる限り早期に公表したいと思っております。
記者:新型コロナウイルスの影響、運用開始を見送る?
新型コロナウイルスの影響もあって、便の数も減っているのですけれども、この検証はもう2週間も切っている中でいうと、運用開始を見送るとかという考えはあるのでしょうか。
大臣:運用を先延ばしにしていいことはない
実際は、東京オリンピック・パラリンピックでは便数は増えるわけで、今少し便数が減っているからこの運用を先延ばしにしていいことはないと思います。
記者:もう少し検証に時間をかけるということでしょうか。
大臣:検証に時間をかけるより、3月29日から実際運用した方がより安全性
検証に時間をかけるより、3月29日から実際運用した方がより安全性というか、いいことを高めあえると思います。
ずっと、東京オリンピック・パラリンピックをやらないかのような前提の主張であるならば理解はできるが、東京オリンピック・パラリンピックはやるということで、その時は便数が増えるわけですから、そのために3月29日を先送りして、私はいいことはないのではないかと思います。
雑感(赤羽大臣のトンデモ発言)
降下角3.45度は「我が国の空港でも世界の空港でも実績があって」とか「直接パイロットの方にも聞きましたら、このことによって安全性が損なわれるという、そういう認識ではない」とか、赤羽大臣のトンデモ発言。
ことあるごとに国交省が掲げている稚内・広島空港やサンディエゴ国際空港やローマ空港での”3.45度国内外実績”は、一時的な障害物があるからやっているだけで、羽田新ルートのように恒常的に行われているわけではない。
また、世界100か国10万人を超えるパイロットを代表する組織体であるIFALPA(国際定期航空操縦士協会連合会)は降下角3.45度に対して懸念の声を上げていることをご存じのはずではないか(降下角3.45度、パイロットらの懸念)。
さらに信じがたいことに、最後には、「検証に時間をかけるより、3月29日から実際運用した方がより安全性」と言い出す始末。
なんだかもう、一度走り出したら止まらないインパール作戦状態ではないか。
あわせて読みたい(赤羽大臣の記者会見)
※下記日付は記者会見日を示す。
- 20年2月21日:「地元の皆さまの理解が深まるように」
- 20年2月4日:「概ね想定した騒音レベルの範囲内」
- 20年1月7日:またも忖度質問を繰り返す記者
- 19年11月19日:2か月前の忖度質問を繰り返す記者
- 19年9月19日:「丁寧に対応、できる限り多くの方々の御理解を」