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羽田新ルート|航路下の住民・勤労者を対象とした実態調査が始まる!?(港区)

港区議会で6月18日、「羽田都心飛行ルート下の住民・勤労者を対象とした実態調査と調査結果の公表を求める請願」が全会派一致で採択された。

同請願の採択経緯などをまとめておいた。


もくじ

羽田新ルートに係る請願5件のうち1件だけ採択

羽田新ルートに係る請願は、交通・環境等対策特別委員会で審議を経て、本会議で採決されることになっている。

同委員会で6月17日に審議された事項、6件のうち5件の請願すべてが羽田新ルートに係る事案だった。委員会では5件の請願うち1件(下記朱書き)が採択され、本会議でも採択された。逆に言えば、羽田新ルートの撤回や延期、見直しなどを求める請願4件は採択されなかった(却下された)ということになる。

審議事項

  • ① 請願元第6号 羽田空港増便による都心および港区の低空飛行ルート計画の撤回を含む再検討を国に求める請願
  • ② 請願元第10号 羽田空港新飛行経路の港区上空飛行に備えた港区航空事故災害対策計画の策定を求める請願
  • ③ 請願2第2号 羽田新飛行経路の運用延期または再検討を求める請願
  • ④ 請願2第4号 羽田空港新飛行ルートの見直しを国に求める請願
  • ⑤ 請願3第12号 羽田都心飛行ルート下の住民・勤労者を対象とした実態調査と調査結果の公表を求める請願
  • ⑥ 発案元第7号 交通及び環境整備に関する諸対策について

審議事項|交通・環境等対策特別委員会 6月17日

都民ファースト議員が「採択」賛成に

交通・環境等対策特別委員会の会議動画は配信されていないし、議事録はまだ公開されていないので、審議内容の詳細は不明だが、今回採択された請願を提出した関係者の情報からその一端を垣間見ることができる。

審議当初、自公は請願を「継続扱い」(≒事実上の却下)する姿勢を示していたが、委員長(共産)の票を加えて9人のうち5人(過半数)が採択に賛成したことで、請願が可決に至ったことが分かる。ここでのポイントは、羽田新ルートを推進している都民ファースト議員が採択賛成に回ったこと

今日6月17日、港区議会の交通・環境等特別委員会で会が提出していた「羽田都心飛行ルート下の住民・勤労者を対象とした実態調査と調査結果の公表を求める請願」の審査がありました。増間共同代表が趣旨説明、高輪二丁目長和会会長の今福昌三様が関連説明を行いました。委員からの質問にも丁寧に回答を行い、途中休憩をはさんで各党の態度表明がありました。


自民党様・公明党様は継続の表明、みなと政策会議様と都民ファースト様が採択を主張し、同数となりました。
委員長が採択に同意し、採択が行われ、全会一致で、提出した請願が可決されました。

みなとの空を守る会HP  6月17日

請願趣旨説明の様子(交通・環境等対策特別委員会 6月17日)港区Facebook
請願趣旨説明の様子(交通・環境等対策特別委員会 6月17日)|港区Facebook

交通・環境等対策特別委員会メンバ(9名)の本件請願に係る当初表明の内訳を次表に示す。

交通・環境等対策特別委員会における請願表明の内訳

 

委員会で採択された翌日の本会議で、全会派賛成でこの請願は採択された(次図)。

羽田都心飛行ルート下の住民・勤労者を対象とした実態調査と調査結果の公表を求める請願
請願の詳細情報|港区議会HP

請願内容:航路下両側3kmの居住・勤務者を対象とした実態調査

では、改めて請願内容を確認しておこう。港区議会HPには、「請願の趣旨」として2行記されているだけだ(次図)。

港区議会HPには、「請願の趣旨」
(同上)


そこで、全文について、請願者である「みなとの空を守る会」HPに掲載された文書から引用する。

請願趣旨

 昨年3月29日から羽田空港新ルートの運用を開始して1年余が過ぎました。

 港区は、この新ルート運用で急激に影響を受けている区民・勤労者等が、どのような状態に置かれているのかを把握し、今後の区政にあたる必要があることから、2本の新航路からそれぞれ両側の3キロメートルの幅の飛行ルート下に居住・勤務等されている方を対象とした実態調査を行ない。その結果を公表することを求めます。

請願の理由

 国土交通省は、2020年3月から羽田空港発着の国際線増便を目的に、従来の海から入って海に出るルートから、都心を中心としたルートを進めてきました。
 昨年から現在に至るまで、全世界でコロナが猛威を振るっている中、当初運航予定の国際線、国内線の飛行が大幅に減便されています。
 減便されて運行されている中でも、多くの区民・勤労者・学生は、絶えまない低空飛行による飛行機事故、騒音や振動、威圧感、落下物の危険、健康への被害などに不安と怒りを感じています。

 私たち「みなとの空を守る会」は、昨年8月から署名ハガキ付きリーフを、航路下住民をおもな対象として3万4700枚を配布してきました。2月27日までに返信されたハガキの数は875枚で、そのうち280枚にはこの問題に対する様々な意見が記載されていました(その全意見を記載した意見集を添付(PDF:581KB)します)。
 しかし私たち会の配布枚数は港区人口約26万人、勤労者99万人にたいし、半年以上もかけながら、その数わずか3万4700枚の範囲しか叶いませんでした

ところで、港区は「港区基本計画(令和3年度からの令和8年度)版」の136、137ページ基本政策2「環境にやさしい都心をみなで考えつくる」「施策②健康で安全な生活環境の確保」の中の「主な取組」の3項「羽田空港の機能強化に関する対応」で「羽田や港新飛行経路の運用について、騒音の状況や区民の声等を国に伝えるとともに、更なる騒音対策や新ルートに限らず飛行経路に係る様々な運用等を検討するように国に求めていきます」と述べています。
 さらに「港区環境基本計両令和3(2021)年度~令和8(2026)年度」56,57ページの「施策8 良好な生活環境の確保」の「取り組み8-② 騒音・振勣、悪臭などに対する指導の徹底と啓発の推進」の項で「羽田空港新飛行経路の運用について、騒音の状況や区民の声等を国に伝えるとともに更なる騒音対策や新ルートに限らず飛行経路に係る様々な運用等を検討するよう求めていきます。」と述べています。

 港区は、区民の安全・安心のための行政が求められると思います。
 港区として、現在の港区上空を低空で飛行することによって、住民や、区内の勤労者、学生や児童の皆さんが、どのような状況に置かれているか、日常生活を送られているかを掌握することは大変重要な事と思います。
 今後コロナが収束した後、都心低空飛が当初通りの増便がされた場合のためにも、今から実態を調査して、結果を国交省に具申するとともに今後の対策に生かされることを求めます。

以上

雑感

都民ファースト議員が「採択」賛成に

今回の請願が採択されたのは、羽田新ルートを推進している都民ファースト議員(2名)が採択賛成票を投じたことが大きい。羽田新ルートを推進している自公と都民ファーストを合わせると全議員34人の過半数を超えているからだ(次図)。

パワーバランス(港議会)

港区の多くの住民・勤務者が調査対象となる

羽田新ルートの両側3kmの範囲を可視化したのが次図である。

港区の北東部の一部地域以外、多くの住民・勤務者が調査対象となることが分かる。

新ルート下3kmの範囲図(港区)

羽田ルート1km超の人は騒音があまり気にならないかも

羽田新ルートは港区上空を高度750mから450mに降下しながら通過するように設定されている。このとき港区民が受ける飛行騒音レベルは、国交省の当初計画値を元に試算すると次図のようになる。

すなわち、大型機の騒音レベルは、ルート直下では72~76dB(750⇒450m)、ルートから1km離れると約67dB、2km離れると63dB、3km離れると59dBとなる。

従って、実態調査の結果としては、羽田ルート1km超のエリアの人は騒音があまり気にならないということになるかもしれない。

羽田新ルート直下からの水平距離と騒音レベルの関係 (飛行高度別)
自分が住んでいる場所の騒音レベルを簡単に知る方法」グラフを元に作成

 

今後の展開として、どのような調査項目を設定するのかがとても重要だ。区議会での綱引きがあるのだろうか……。

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