第201回国会(20年1月20日~6月17日)の衆議院の質問主意書32件(2月3日現在)のなかに、10番目として羽田新ルートに係る次の質問主意書が埋もれている。
松原仁 衆議院議員(無所属)が1月20日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。
※時間のない方は、「質疑応答のポイント」と文末の「雑感」をお読みいただければと。
- 問1:都心低空飛行ルートに関する大臣告示は公布済みか?
- 問2:これから公布される予定は?
- 問3:大臣告示が実施されない場合、都心低空飛行ルートの法的根拠?
- 答1&2&3:航空法施行規則第189条第2項の規定に基づき定められた
- 雑感(漫画にしてみた)
松原仁 衆議院議員(7期、民進→希望→無所属、早大商卒、63歳)
航空法第37条の規定により、国交大臣は航空路の指定に関し、大臣告示を行うこととされている。
- 第37条 国土交通大臣は、航空機の航行に適する空中の通路を航空路として指定する。
- 2 前項の航空路の指定は、当該空域の位置及び範囲を告示することによって行う。
羽田空港に係る現在の運用では、北風時における着陸復行(ゴーアラウンド)の際にのみ、例外的に都心部上空を飛行している。そのため、2020年夏ダイヤから予定される南風時の都心上空での着陸飛行経路(都心低空飛行ルート)は、今回新規に航空路として設定されるものと考える。
また、羽田空港新飛行経路に関する国土交通省告示として、令和元年9月30日の国土交通省告示574号は航空法第38条の規定に基づく告示であり、同年11月30日の国土交通省告示862号は航空法第40条の規定に基づく告示、同年12月5日の国土交通省告示884号は、航空法第46条の規定に基づく告示であると考える。ゆえにこれらの告示は全て、「航空法第37条に基づく告示」には当たらない。
上記を踏まえ、以下質問する。
問1:都心低空飛行ルートに関する大臣告示は公布済みか?
羽田空港への都心低空飛行ルートに関する、航空法第37条に基づく国土交通大臣告示は、令和元年8月以降、既に公布されたか。また、施行されたのか。
問2:これから公布される予定は?
これから公布、施行される予定はあるか。あるのであれば、その予定日はいつか。
問3:大臣告示が実施されない場合、都心低空飛行ルートの法的根拠?
都心低空飛行に係る大臣告示が実施されないのであれば、各航空会社の飛行機が新たに都心低空飛行ルートを飛行する際に引用する法的根拠をご説明願いたい。
答1&2&3:航空法施行規則第189条第2項の規定に基づき定められた
東京国際空港における新たな飛行経路のうち南風時に運用される進入経路については、航空法(昭和27年法律第231号)第37条第1項の規定に基づき指定される「航空路」に該当しないが、同法第83条の規定に基づく航空法施行規則(昭和27年運輸省令第56号)第189条第1項第1号に規定する「計器飛行方式による進入の方式その他当該空港等について定められた飛行の方式」に含まれることから、同条第2項の規定に基づき定められたところである。
雑感(漫画にしてみた)
この約1千字の質疑応答文章を読んで、関係者はともかく、何を言っているのかすぐに理解できる国民は10人もいないのではないか。
詳しく解説してもいいのだが、大半の人は読まないだろうから、質疑内容を意訳し、漫画にしてみた。
あわせて読みたい(松原議員の質問主意書)
これまでに松原仁議員が提出した、羽田新ルートに係る質問主意書関連の記事:
※日付は本ブログで記事化した日
- 19年12月16日:新飛行ルートの騒音調査
- 19年12月16日:着陸機の降下角度・降下率
- 19年7月12日:区議会決議、公聴会、試験飛行、世論調査
- 19年6月13日:落下物防止のための洋上脚下げ
- 19年6月7日:京浜島の事業者・労働者への影響
- 19年6月6日:品川・渋谷区の見直しを求める決議への対応
- 19年5月31日:大田区との約束は!?
- 19年5月23日:低空飛行ルートの採用方法
- 19年5月23日:上皇陛下の仮住まい対策
- 19年2月26日:羽田空港への低空飛行問題
- 18年12月18日:羽田空港新飛行ルート案の変更