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羽田新ルート|質問主意書(品川・渋谷区の見直しを求める決議への対応)

第198回国会(19年1月28日~6月26日)の衆議院の質問主意書208件(6月6日現在)のなかに、178番目として羽田新ルートに係る次の質問主意書が埋もれている。

松原仁 衆議院議員(無所属)が5月22日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。

読みやすいように、一問一答形式に再構成しておいた。
※以下長文。時間のない方は、「質疑応答のポイント」と文末の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

松原仁衆議院議員
松原仁 衆議院議員(7期、民進→希望→無所属、早大商卒、62歳)

本年5月7日に本職が提出した「羽田空港への低空飛行ルートの採用方法に関する質問主意書」(質問第160号、以下「質問主意書」)(⇒筆者解説)に対し、安倍晋三内閣総理大臣より「衆議院議員松原仁君提出羽田空港への低空飛行ルートの採用方法に関する質問に対する答弁書」(5月17日受領、内閣衆質第160号、以下「答弁書」)を受領した。この「答弁書」に、質問内容に対する答弁漏れや、不完全な答弁が確認された。こうした項目を中心に、羽田空港への低空飛行ルートの採用方法に関して、改めて、以下質問する。

1.「地元の理解」を得たとする判断について

「質問主意書」1では「質問第29号1の2でも質問したが、改めて、いつ、どのようにして「地元の理解」を得た、と判断するのかお答えいただきたい。」と質した。

これに対し「答弁書」1及び2についてでは、「新たな飛行経路案について、(中略)、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会までに運用できるようにしたいと考えている。今後、どのような形で地方公共団体等から理解を得たと判断するかについては、地方公共団体をはじめとする関係者からの御意見を参考に検討する」とされている。

「答弁書」における「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会まで」との記述は、新たな飛行経路案の運用開始を目指す時期を指していると考えられる。確かに、新たな飛行経路案が運用開始される時点で、前提条件である「地元の理解」を得たとの判断はなされていると考えられる。

しかし、運用開始までのプロセスを時系列に並べれば、「地元の理解」を得たとの判断から、政府内において何らかの合議の場で新飛行経路の正式採用を決定し、民間航空会社も含めた正式な乗り入れ便の決定やダイヤ改定の手続きなど、様々な実務的な準備工程を経て、実際の運用が開始されるのではないかと推察される。

質問1-1:地元の理解を得たと判断する者は?

地元の理解を得たと判断する者は内閣総理大臣か、国土交通大臣か、もしくはその他の者ないし機関か、具体名でお示しいただきたい。

回答1-1:国土交通大臣と認識

政府としては、お尋ねの「地元の理解を得たと判断する者」は、国土交通大臣と認識している。

質問1-2:実際の運用開始までに必要とされる期間?

また、政府の計画では地元の理解を得たとの判断から、実際の運用開始までに必要とされる期間は最短で何日程度と想定されるか。

質問1-3:何年何月までに「地元の理解」を得たと判断?

そのうえで、東京オリンピック・パラリンピックまでに新飛行経路の運用を開始するためには、何年の何月までに「地元の理解」を得たと判断する必要があるか

回答1-2&1-3:お答えすることは困難

政府としては、東京国際空港における新たな飛行経路案(以下「新経路案」という。)について、地方公共団体等に説明を行っているところであり、現時点において、お尋ねの「地元の理解を得たとの判断から、実際の運用開始までに必要とされる期間」及び「何年の何月までに「地元の理解」を得たと判断する必要があるか」について、お答えすることは困難である。

今後も引き続き丁寧な情報提供を行い、幅広い理解を得た上で、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会までに運用できるようにしたいと考えており、それまでの間に、航空保安施設の整備及び飛行検査(航空機を使用して行う航空保安施設の検査その他航空交通の安全の確保のための検査及び調査をいう。)等の必要な準備を進めてまいりたい。

2.「地方公共団体をはじめとする関係者」について

質問2:地方公共団体をはじめとする関係者?

1(筆者注:質問1)に関連して、答弁書「地方公共団体をはじめとする関係者からの御意見」の意味するところが必ずしも明らかでない。

本計画の採用方法にかかわる重要な事項であるため、「地方公共団体をはじめとする関係者」を国民に理解できる形で明示されたい。

また、その「御意見」を聴取する場はどのような機会を想定しているか、具体的にお答えいただきたい。

回答2:関係地域の地方公共団体、企業及び住民の方々を想定

お尋ねの「地方公共団体をはじめとする関係者」については、関係地域の地方公共団体、企業及び住民の方々を想定している。
また、お尋ねの「「御意見」を聴取する場」については、政府と地方公共団体との間で意見交換を行う場等を想定している。

3.品川・渋谷区の見直しを求める決議への対応について

品川区、渋谷区の見直しを求める決議への対応について、「質問主意書」では、「現在、品川区、渋谷区の議会の容認できないという決議が有効である以上、関係地域の地方公共団体等の幅広い理解を得ることが条件となっている低空飛行ルートを実行するには、両区議会において「羽田新飛行ルートを容認する」趣旨の決議が可決される必要があると、理論上、考えざるを得ない。この点について政府の認識を伺いたい」と質した。

答弁書では、この問いに対する答弁が漏れているため、改めて質問させていただく。

質問3-1:品川・渋谷区議会は、理解を得るべき対象?

品川区議会、渋谷区議会は、政府が丁寧な説明を行い、理解を得るべき対象とする「地方公共団体等」に含まれるか

回答3-1:「関係地域の地方公共団体等」に含まれる

お尋ねの「品川区議会、渋谷区議会」については、御指摘の「関係地域の地方公共団体等」に含まれる

質問3-2:両区議会の容認が得られないまま、「地元の理解」を得たと判断?

1(筆者注:質問3-1)に関連して、両区議会において新飛行経路の容認を含む新たな決議がなされない場合、新飛行経路の見直しを求める決議が有効なままになるが、両区議会の容認が得られないまま、新飛行経路への「地元の理解」を得たと判断することは可能か、不可能か。政府のご認識をお答えいただきたい。

回答3-2:地方公共団体をはじめとする関係者からの御意見を参考に検討

政府としては、新経路案について、関係地域の地方公共団体等に説明を行っているところであるが、今後も引き続き丁寧な情報提供を行い、幅広い理解を得た上で、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会までに運用できるようにしたいと考えている。

今後、どのような形で地方公共団体等から理解を得たと判断するかについては、地方公共団体をはじめとする関係者からの御意見を参考に検討することとしたい。

雑感

質問書(約1千700文字)と答弁書(約1千文字)は別々の文書なので、上記のように一問一答形式に再構成しないと、内容を的確に把握することはできない。

東京オリンピック・パラリンピックまでに新飛行経路の運用を開始するための「地元の理解」を得たと判断する期限については、「お答えすることは困難」というのが政府の回答。でもって「今後も引き続き丁寧な情報提供」という常套句。

品川・渋谷区議会の容認が得られないまま、新飛行経路への「地元の理解」を得たと判断することは可能か、不可能かと迫られ、政府は「地方公共団体をはじめとする関係者からの御意見を参考に検討する」と回答をはぐらかしている。

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