いまだにオープンハウス型/教室型説明会の実施をめぐって、議論を重ねている区議会もあるが、羽田新ルートの運用開始に向けたカウントダウンはもう始まっているのである。
特に注目したいのは、「検査飛行」と「新飛行経路周知」。
羽田新ルートの運用開始に向けたカウントダウン
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港の国際線発着回数を増やすため、都心上空を飛行する羽田新ルート計画。羽田新ルート周辺の多くの住民が落下物・墜落事故の危険リスクや騒音などの影響を受けることになるのだが、このあたりの問題はまだまだ共有化されていない。
国交省は、羽田新ルート計画への心配・懸念が圧倒的に多いという民意をひた隠しにして、2020年羽田新ルート運用開始は決定事項であるかのように確実に進めている。
国交省が18年11月20日に公表した資料「羽田空港機能強化に係る住民説明会(第5フェーズ)の開催について」には、新飛行経路の運航開始に向けた工程表が掲載されている(次図)。
上図から、新飛行経路の運航開始に向けた概略日程は、次のように読み取れる。
- フェーズ5住民説明会(18年12月~19年2月)
- 検査飛行/制限表面設定(19年6月~20年1月)
- 新飛行経路周知(20年2月~5月)
- 2020年東京オリンピック(20年7月24日~8月9日)
いまだにオープンハウス型/教室型説明会の実施をめぐって、議論を重ねている区議会もあるが、羽田新ルートの運用開始に向けたカウントダウンはもう始まっているのである。
特に注目したいのは、「検査飛行」と「新飛行経路周知」。
今年の6月頃から「検査飛行」が始まる!?
まず、「検査飛行」について。
国交省の工程表(上図)によれば、今年の6月頃から検査飛行が始まることになっている。あと半年もすれば、都心上空で「検査飛行」が実施されるのである。
ただ、この「検査飛行」は、大型機を使ったテスト飛行を意味しているのだろうか?
17年12月26日に川崎市上空で実施された検査飛行では、大型機ではなく小型機(搭乗者数6人)が使われた。小型機で大型機の見え方や騒音の大きさなど分かるはずもなく。それでも76dBを上回る騒音が地上に降り注いでいた……。
ちなみに、小型機を使った「検査飛行」の日程は、東京航空局HPで確認することができる。詳しくは、「飛行検査の計画・実績を調べる方法」参照。
「新飛行経路周知」には、公聴会が含まれている!?
次に、「新飛行経路周知」について。
「新飛行経路周知」は、「双方向の対話(説明会等)フェーズ5」や「双方向の対話(引き続きの丁寧な情報提供)」と何が違うのか?
私は「新飛行経路周知」には、公聴会の実施が含まれているのではないかと睨んでいる。羽田新ルートを運用するためには、南風時のILS進入のために航空保安施設(計器着陸装置)を新たに設置する必要があり、国交大臣には公聴会の開催義務が生じるからだ。
ただ、公聴会が開催されたからといって、そこで出てきた意見が採用されるかどうかは別の話だ。公聴会が単なるガス抜きで終わる可能性はないのか。
あれだけ問題になっている米軍普天間基地の辺野古移設でさえ、民意が無視されて土砂投入が強行されているのだから、羽田新ルートなんて、ちょっとやそっとのことで、変更にはならないのではないか。
変更される可能性があるとすれば、(1)在日米軍が横田空域の上空通過を認めない、(2)統一地方選挙(4月)や参議院選挙(7月)で羽田新ルートに反対している議員が大量に当選する、(3)騒音の影響を受ける可能性のある区民100万人のうちの何人かが集団訴訟を起こす、くらいか……。