大手デベロッパーの寡占化が進み、新築マンションの価格が下落しにくくなっているのではないのか、という話。
首都圏新築マンション発売戸数、13年をピークに減少…
首都圏の新築マンション価格は13年以降高騰し続け、もはや庶民には手が出ない水準に達している。
一方で、発売戸数は13年をピークに減少傾向にある。見方によっては、新築マンションの供給戸数が抑えられて高価格を維持しているように見えなくもない(次図)。
これは大手デベロッパーの寡占化が進んでいることが影響しているのではないのか?
(不動産経済研究所発表資料を元に筆者作成)
10年間で上位5社のシェアは22%から45%に上昇
不動産経済研究所が毎年発表している「事業主別発売戸数(上位20社)」データを元に、首都圏新築マンション発売戸数における上位事業主のシェアを計算した結果を次図に示す。
08年に起きたリーマンショックの影響で、中小デベロッパーがマンション事業からの撤退を余儀なくされ、09年から10年にかけてブランド力のある大手デベロッパーの寡占化が一気に進んだ。その後も寡占化が進んだ。10年間で上位5社のシェアは22%から45%に、上位20社のシェアは52%から70%に上昇した。
大手デベロッパーの寡占化、新築マンション価格下落を抑制…
首都圏新築マンションの平均価格と上位5社シェアの推移を可視化したのが次図。
リーマンショック後、平均価格はほとんど変わらずに寡占化が一気に進み、13年以降は寡占化と平均価格の上昇が同時進行している状況が見てとれる。
用地価格や人件費・物件費の上昇、投資マネーの流入などで新築マンションの価格は高騰してしまっているが、大手デベロッパーの寡占化が新築マンション価格の下落を抑制している……。