海江田衆議院議員(立憲民主)が7月13日に提出した質問主意書「羽田新飛行ルートに関する質問主意書」のなかで、「新たに騒音被害などの影響を受ける住民をどのくらいの数と把握しているのか」という質問があった。
それに対して答弁書では、「『新たに騒音被害などの影響を受ける住民』の意味するところが必ずしも明らかではない」として、騒音防止工事の助成対象を規定する法律に論点をすり替えられてしまっていた(羽田新ルート|質問主意書(海江田議員)を読む)。
どのくらいの住民が羽田新ルートの騒音の影響を受けるのか?
答えをはぐらかす政府に代わって試算してみた。
※羽田新ルートが通過する他区の分析結果:港区、新宿、品川、目黒、大田、渋谷、中野、豊島、北、板橋、練馬、江東・江戸川、【23区全体】
羽田新ルートで騒音の影響を受ける住民数を試算する方法
STEP1:人口のメッシュ図を作成
政府統計e-Statで公開されている「地図で見る統計(jSTAT MAP)」にアクセスし、最新の国勢調査(2015年)の総人口数につき、250mメッシュ図を作成する。
↓ 品川区周辺の人口の250mメッシュ図
※ピンク色の文字と線は筆者が加筆
STEP2:人口のメッシュ図に羽田新ルートを重ねる
事前にグーグルマップで作成しておいた羽田新ルートのうち、「A滑走路到着ルート」と「C滑走路到着ルート」を人口の250mメッシュ図に重ねる(次図)。
※ピンク色のエリアは、新飛行ルート直下から水平距離で500mの範囲を示している。
STEP3:羽田新ルート直下から水平距離500m範囲の人口を集計
羽田新ルート直下から水平距離500mの範囲(上図のピンク色エリア)の人口を集計する。
※水平距離500mの範囲の境界線が交差するメッシュについては、ピンク色面積が過半を占めている場合に人口集計の対象とした。
騒音の影響を受ける人口の対象を「水平距離500mの範囲」とした理由は、騒音の影響を大きく受けるエリアであるからだ(次図)。
試算結果:品川区民の3割(12万人)が騒音の影響を受ける
羽田新ルート直下から水平距離500m範囲の人口(品川区)の試算結果を次表に示す。
A滑走路到着ルート約10.2万人、C滑走路到着ルート約1.7万人。
品川区民38.7万人のうち、少なくとも3割(12万人)が羽田新ルートの騒音の影響を受けることが判明した。
ちなみに、品川区の昼間人口544,022人(2015年国勢調査)は、常住人口(386,855人)の1.4倍。観光客なども含めると、かなりの数の人たちが騒音の影響を受けることになる。
※品川区以外については、別途試算予定。
※本試算には慎重を期しているが、データの精度について保証するものではない。これらの情報をあなたが利用することによって生ずるいかなる損害に対しても一切責任を負うものではない。念のため。
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