赤羽大臣は8月27日、閣議後の記者会見で4回目「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」(8月25日開催)に言及。
2つの方式を採用する方針を決定したことは、新経路の固定化回避の実現に向けて、大きな成果だというのだが……。
大臣:2つの方式を採用する方針を決定
赤羽一嘉 国交大臣(公明党、8期、元三井物産社員、慶大卒、63歳)
本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会についてです。本検討会は、昨年3月末より運用している羽田空港の新経路について、地域の皆さまや議会からいただいた騒音軽減や固定化回避に関する切実な御意見・御要望を踏まえ、私から、新経路の決定時以降の技術の進歩等を踏まえて、固定化回避の技術的方策を検討するために立ち上げを指示したものであり、昨年6月より開催しております。
これまでの検討会においては、南風が吹いた時に、都心上空を通過する区間を少しでも短縮するため、航空機を旋回させながら着陸させる方式を採用できないかとの問題意識から、GPSのみを用いる方式、GPSとこれを補強するシステムを用いる方式、GPSと目視を合わせる方式など、計12の方式について比較・検討していただいてまいりました。
一昨日25日の第4回検討会においては、羽田空港において技術的に採用が可能性で、かつ、採用した場合の騒音軽減効果が高いと考えられる着陸の方式として、この12の方式のうち、2つの方式を採用する方針を決定し、今後具体化に向けて集中的に検討を進めていただくこととなったとの中間報告を受けたところです。
検討会として、各分野の専門家の委員の御議論のもと、羽田空港において採用可能な具体的な着陸の方式を決定いただいたことは、新経路の固定化回避の実現に向けて、大きな成果であると考えているところです。
今後は、実際の固定化回避策を具体化していくため、検討会において、引き続き、それぞれの安全性の評価・検証、運航ルールの策定、具体的な経路案の検討などの作業を進めていただくことになろうかと思います。
これらの作業を行うに当たっては、関係者との丁寧な調整を行っていく必要があることから、導入に向けた具体的なスケジュールについては、現時点では申し上げられませんが、新経路の固定化回避の一刻も早い実現に向け、国土交通省としても、検討会における作業を全力で支えてまいります。
詳細は事務方にお問い合わせください。
雑感(「固定化回避」という時間稼ぎ)
2つの方式を採用する方針を決定したことは、新経路の固定化回避の実現に向けて、大きな成果だという一方で、導入に向けた具体的なスケジュールについては、現時点では申し上げられませんという。
固定化回避とは、羽田新ルートによって現在騒音などの悪影響を受けている住民にとって、将来緩和されるかような幻想を抱かせる表現。これから衆院選に挑む候補者にとって都合のいい表現である。赤羽大臣のように「新経路の固定化回避の一刻も早い実現に向け、国土交通省としても、検討会における作業を全力で支えてまいります」と言っておけば、当面の時間稼ぎにはなるだろう。
でも、固定化回避の中身が具体的になるにつれて、当初抱いていた幻想は落胆に変っていくのではないか。なぜならば、国交省はパイロットから見たら「あり得ないことを検討」(元JAL機長・航空評論家の杉江弘氏 21年4月24日)しているからだ。
※第4回 羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会の内容については、「超解説!第4回 羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」参照。
あわせて読みたい(赤羽大臣の記者会見)
※下記日付は記者会見日を示す。
- 21年6月18日:(固定化回避)しっかりと検討を進めていきたい
- 20年3月27日:フル運用に向けた助走期間、いい期間
- 20年3月24日:減便、ゆっくりデータを収集できる期間
- 20年3月13日:運用を先延ばしにしていいことはない
- 20年2月21日:地元の皆さまの理解が深まるように
- 20年2月4日:概ね想定した騒音レベルの範囲内
- 20年1月7日:またも忖度質問を繰り返す記者
- 19年11月19日:2か月前の忖度質問を繰り返す記者
- 19年9月19日:丁寧に対応、できる限り多くの方々の御理解を