2020年7月の都知事選挙は小池氏の圧勝だった。
羽田新ルートは港区民の投票率にどの程度影響を与えたのか。港区選挙管理委員会事務局から入手した投票所別の有権者数・投票者数・投票率データを可視化分析してみた。
※他区の分析結果:新宿、品川、目黒、大田、渋谷、中野、豊島、北、板橋、練馬
港区選管から入手した都知事選挙データ(PDF:1.9MB)
羽田新ルート通過、15地域に及ぶ
筆者の独自調査によれば、港区民の3割(7万人)が騒音の影響を受ける。羽田新ルートが通過する地域は、15地域に及ぶ(次図)。
- C滑走路到着ルート
南麻布3丁目、南麻布4丁目、南麻布5丁目、西麻布2丁目、西麻布4丁目、南青山3丁目、南青山4丁目、南青山6丁目、北青山3丁目、高輪1丁目、高輪2丁目、高輪3丁目、白金台2丁目、白金台3丁目、港南2丁目
町丁目別の投票率ランキング(20年)
投票所ごとのデータを町丁目ごとに集計し、20年都知事選挙の投票率を算出した。
全117町丁目の投票率ランキングのうち上位10と下位10を下記に示す。
※港区の20年都知事選挙の平均投票率は49.32%。
- 1位:港南1丁目(58.66%)
- 1位:港南2丁目(58.66%)
- 3位:港南3丁目(55.44%)
- 3位:港南5丁目(55.44%)
- 5位:台場1丁目(55.12%)
- 5位:台場2丁目(55.12%)
- 7位:三田5丁目(53.33%)
- 8位:新橋1丁目(53.13%)
- 8位:新橋2丁目(53.13%)
- 8位:新橋3丁目(53.13%)
- 8位:新橋4丁目(53.13%)
- 省略(12位から105位)
- 106位:麻布永坂町(44.98%)
- 106位:麻布台3丁目(44.98%)
- 106位:六本木1丁目(44.98%)
- 109位:赤坂1丁目(44.61%)
- 109位:赤坂2丁目(44.61%)
- 109位:六本木2丁目(44.61%)
- 112位:麻布十番1丁目(44.11%)
- 112位:六本木3丁目(43.11%)
- 112位:六本木5丁目(43.11%)
- 115位:六本木6丁目(42.46%)
- 116位:六本木4丁目(40.23%)
- 116位:六本木7丁目(40.23%)
【注記】
- 投票所ごとのデータを町丁目ごとに集計する際に、複数の町丁目にまたがって投票所が設定されている場合には、複数の投票所の当日有権者数と投票者数を合わせて、投票率を算出した。
たとえば、A1丁目のうち、1~8番地の住民の投票所がa小学校、9~49番地の住民の投票所がa幼稚園だった場合、A1丁目の投票率としては、2か所の投票所の当日有権者数と投票者数を合わせて、投票率を算出した。
投票率の分布図
20年:港南・台場地区の投票率が高い
20年都知事選挙につき、港区に係る町丁目別の投票率データを地図に落としたのが次図。
港南地区は4丁目を除き上位を独占。超大規模なタワーマンション、ワールドシティタワーズが建つ港南4丁目だけが52.48%と低め。あと、台場の投票率も高い。
あえて言うとすれば、港南、高輪、白金、白金台などC滑走路到着ルート周辺地域の投票率が高いように見えなくもない。
- 1位:港南1丁目(58.66%)
- 1位:港南2丁目(58.66%)
- 3位:港南3丁目(55.44%)
- 3位:港南5丁目(55.44%)
- 5位:台場1丁目(55.12%)
- 5位:台場2丁目(55.12%)
- 7位:三田5丁目(53.33%)
- 8位:新橋1丁目(53.13%)
- 8位:新橋2丁目(53.13%)
- 8位:新橋3丁目(53.13%)
- 8位:新橋4丁目(53.13%)
16年:港南・台場地区の投票率が高い
前回(16年)の港区に係る町丁目別の投票率データを地図に落としたのが次図。
20年と同様、港南と台場地区の投票率が高い。
- 1位:港南1丁目(64.73%)
- 1位:港南2丁目(64.73%)
- 3位:三田5丁目(62.85%)
- 4位:台場1丁目(62.18%)
- 4位:台場2丁目(62.18%)
- 6位:南青山2丁目(61.58%)
- 6位:北青山1丁目(61.58%)
- 8位:港南3丁目(61.55%)
- 8位:港南5丁目(61.55%)
- 8位:高輪2丁目(61.55%)
町丁目別の投票率の変化(20年-16年):全ての地域において投票率が低下
さらに、投票率の変化(前回16年との差)を地図に落としたのが次図。
全ての地域において、今回(20年)は前回(16年)よりも投票率が低下している。特に低下が著しい地区は1割超低下(三田1丁目、北青山2丁目、南青山2丁目、北青山1丁目)。
- 105位:海岸2丁目(-9.24%)
- 105位:芝1丁目(-9.24%)
- 105位:虎ノ門1丁目(-9.24%)
- 105位:虎ノ門2丁目(-9.24%)
- 105位:虎ノ門3丁目(-9.24%)
- 105位:虎ノ門4丁目(-9.24%)
- 105位:虎ノ門5丁目(-9.24%)
- 112位:三田5丁目(-9.52%)
- 113位:三田2丁目(-9.71%)
- 114位:三田1丁目(-10.16%)
- 115位:北青山2丁目(-10.31%)
- 116位:南青山2丁目(-10.71%)
- 116位:北青山1丁目(-10.71%)
まとめ
投票率の地域分布からは、羽田新ルートの影響は見られない。
あえて言うとすれば、港南、高輪、白金、白金台などC滑走路到着ルート周辺地域の20年投票率が高いように見えなくもないが……。
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