2020年7月の都知事選挙は小池氏の圧勝だった。
羽田新ルートは新宿区民の投票率にどの程度影響を与えたのか。新宿区HP「選挙」に掲載されている有権者数・投票者数・投票率データを可視化分析してみた。
※他区の分析結果:港、品川、目黒、大田、渋谷、中野、豊島、北、板橋、練馬
羽田新ルート通過、17地域に及ぶ
筆者の独自調査によれば、新宿区民の3割(9万人)が騒音の影響を受ける。羽田新ルートが通過する地域は、17地域に及ぶ(次図)。
- C滑走路到着ルート
(好天時のみ)
中落合1丁目、中落合2丁目、中落合3丁目、上落合1丁目、上落合2丁目、北新宿4丁
(悪天時のみ)
中落合4丁目、上落合3丁目、西落合2丁目、中井1丁目、中井2丁目、北新宿2丁目
(好&悪天時)
北新宿1丁目、北新宿3丁目、西新宿1丁目、西新宿7丁目、西新宿8丁目
町丁目別の投票率ランキング(20年)
投票所ごとのデータを町丁目ごとに集計し、20年都知事選挙の投票率を算出した。
全152町丁目の投票率ランキングのうち上位10と下位10を下記に示す。
※新宿区の20年都知事選挙の平均投票率は54.59%。
- 1位:市谷田町2丁目(64.11%)
- 1位:市谷田町3丁目(64.11%)
- 1位:市谷船河原町(64.11%)
- 1位:市谷砂土原町3丁目(64.11%)
- 1位:払方町(64.11%)
- 1位:南町(64.11%)
- 1位:中町(64.11%)
- 1位:北町(64.11%)
- 9位:北山伏町(62.03%)
- 9位:南榎町(62.03%)
- 省略(11位から142位)
- 143位:北新宿1丁目(44.22%)
- 144位:百人町1丁目(43.81%)
- 145位:百人町2丁目(43.43%)
- 146位:新宿6丁目(42.44%)
- 147位:大久保1丁目(41.01%)
- 148位:新宿5丁目(38.90%)
- 149位:新宿3丁目(30.69%)
- 149位:新宿4丁目(30.69%)
- 149位:歌舞伎町1丁目(30.69%)
- 149位:歌舞伎町2丁目(30.69%)
【注記】
- 投票所ごとのデータを町丁目ごとに集計する際に、複数の町丁目にまたがって投票所が設定されている場合には、複数の投票所の当日有権者数と投票者数を合わせて、投票率を算出した。
たとえば、A1丁目のうち、1~8番地の住民の投票所がa小学校、9~49番地の住民の投票所がa幼稚園だった場合、A1丁目の投票率としては、2か所の投票所の当日有権者数と投票者数を合わせて、投票率を算出した。- 新宿区の町丁目は他区と比べて多い(全部で152)。投票所は全部で50か所なので、同じ投票所となる町丁目が多い。その結果、投票率が同じ町丁目が多数存在する。
- 20年都知事選挙に係る「投票区」と「投票区域(町丁目)」の関係が分かる資料はHPに公開されていなかったので、新宿区選管から入手した(PDF:117KB)。
投票率の分布図
20年:南東部・北東部の投票率が高い
20年都知事選挙につき、新宿区に係る町丁目別の投票率データを地図に落としたのが次図。
新宿区の南東部と北東部の投票率が高い。歌舞伎町の投票率は区内で最低。羽田新ルートの影響は特に見られない。
- 1位:市谷田町2丁目(64.11%)
- 1位:市谷田町3丁目(64.11%)
- 1位:市谷船河原町(64.11%)
- 1位:市谷砂土原町3丁目(64.11%)
- 1位:払方町(64.11%)
- 1位:南町(64.11%)
- 1位:中町(64.11%)
- 1位:北町(64.11%)
- 9位:北山伏町(62.03%)
- 9位:南榎町(62.03%)
16年:南東部・北東部の投票率が高い
前回(16年)の新宿区に係る町丁目別の投票率データを地図に落としたのが次図。
前回(16年)も今回(20年)と同様に、新宿区の南東部と北東部の投票率が高かった。
- 1位:北山伏町(66.96%)
- 1位:南榎町(66.96%)
- 1位:市谷山伏町(66.96%)
- 4位:矢来町(65.74%)
- 5位:市谷田町2丁目(65.29%)
- 5位:市谷田町3丁目(65.29%)
- 5位:市谷船河原町(65.29%)
- 5位:市谷砂土原町3丁目(65.29%)
- 5位:払方町(65.29%)
- 5位:市谷八幡町(65.29%)
- 5位:市谷田町1丁目(65.29%)
- 5位:市谷長延寺町(65.29%)
- 5位:市谷砂土原町1丁目(65.29%)
- 5位:市谷砂土原町2丁目(65.29%)
町丁目別の投票率の変化(20年-16年):榎町以外は、投票率は低下
さらに、投票率の変化(前回16年との差)を地図に落としたのが次図。
榎町以外は、今回(20年)は前回(16年)よりも投票率が低下している。
羽田新ルートの影響は特に見られない。
- 140位:箪笥町(-4.95%)
- 140位:神楽坂6丁目(-4.95%)
- 140位:岩戸町(-4.95%)
- 140位:横寺町(-4.95%)
- 144位:高田馬場4丁目(-5.01%)
- 145位:住吉町(-5.08%)
- 146位:新宿7丁目(-5.20%)
- 147位:大久保1丁目(-5.32%)
- 148位:富久町(-5.57%)
- 149位:戸山2丁目(-6.43%)
- 150位:中落合3丁目(-6.54%)
- 151位:百人町3丁目(-6.88%)
- 151位:百人町4丁目(-6.88%)
まとめ
投票率の地域分布からは、羽田新ルートの影響は特に見られない。
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