不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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羽田新ルートが不動産価格に与える影響について

羽田新ルートが不動産価格に与える影響につき、過去記事と重なる部分もあるが、ざっくり整理しておいた。


もくじ

マンション専用ネット掲示板での印象

マンション専用ネット掲示板「マンションコミュニティ」で、羽田新ルート直下で計画されている某大型タワーマンションの投稿を読んでみた。

売り主サイドの”工作員”の投稿もあるのだろうが、まだまだ羽田新ルート問題はキチンと理解されていないという印象を受ける

新ルートは北からきてマンションの西側を通過するので、東向き住戸を買えば問題ないという人(飛行騒音は空から降ってくるので、住戸の向きはあまり関係ない)。

実際に飛んでから考えればいいと楽観視している人。

なかには、落下物の被害が出た場合には集団訴訟が起きる騒ぎになるのでその後は飛ばなくなるという人まで。

そもそもマンションの売り主は、モデルルーム来訪者に羽田新ルート問題をきちんと伝えているのだろうか。

寝た子を起こしたくない国交省、重説は業者任せ 

不動産取引に羽田新ルートの件を重要説明事項に含める必要はないのか?

じつは今年の1月23日、渋谷区恵比寿で開催された住民説明会の場で、国交省担当者は次のように答えている。

  • 不動産協会には新ルート空路、騒音など説明済み。最終的に入れるかどうかはそちらの方(不動産協会)で考えること
  • 不動産協会に説明はしているが、その後どういう形で整理しているかは今後(国が)確認する必要がある。

※詳しくは、「実録!教室型説明会(@恵比寿)」参照。

 

羽田新ルートを重説に含めるか否かは、業者(不動産協会)任せという、なんとも無責任なのが国交省のスタンスなのである。不動産取引の監督官庁である国交省がしっかりと取りまとめて、業界に周知すべきではないのか。

まあ、羽田新ルートの運用が開始される20年3月29日までは、寝た子を起こしたくないということなのかもしれないが……。

不動産価格への影響(国交省の調査結果)

国交省は従来から「航空機の⾶⾏と不動産価値の変動との間に直接的な因果関係を⾒出すことは難しい」(FAQ冊子v5.1.2、P59)というスタンスを取っている。

東京都が7月30日に開催した「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会(第1回)」で、国交省は飛行経路の不動産価格への影響調査結果を早急にとりまとめて情報提供するとしているが、「直接的な因果関係を見出すことは困難であった」という、これまでの説明に変わりがないこととなっている。

※詳しくは、「「都・関係区市連絡会」発言は5区のみ」参照。

不動産価格への影響(筆者の独自調査結果)

筆者の独自調査による結論は次のとおりだ。

現状では、羽田新ルートが中古タワマン相場に与える影響は限定的なようだ。

飛行高度が低く騒音レベルが高い品川区や港区の中古タワマン相場への影響は顕在化しているように見られるが、それ以外の区の中古タワマン相場への影響は必ずしも見られない。

※調査方法など、詳細については、「マン点流!不都合な真実(羽田新ルート、タワマン相場への影響)」参照。

上記は2か月あまり前に、筆者が独自に調査したときの結論。

その後、7月までのデータも含めた結果を以下に示す。結論的には2か月あまり前と変わっていない。

品川区中古タワマンに影響あり

羽田新ルートの高度が低い品川区の中古マンションの平均単価が上昇しているのに、羽田新ルートに近い中古タワーマンション4物件には下落傾向がみられる(次図)。

羽田新ルート近くのタワーマンション相場の推移(品川)

 

タワーマンション4件の価格変動状況を比較しやすいように、13年5月の単価を100とした場合の変化を可視化したのが次図。

第1フェーズ説明会が始まったのは15年7月。物件D(超大規模ツインタワー)以外は16年あたりで頭打ち、あるいは下落し始めている様子が見られる。

羽田新ルート近くのタワーマンション相場の推移(品川)
物件D(超大規模ツインタワー)の単価だけが17年下期以降、一時的に上昇したのはなぜなのか。不動産会社が事情を知らない外国人に「お買い得」として売りつけていたのか……。

港区中古タワマンに影響あり

羽田新ルートの高度が低い港区においても、港区の中古マンションの平均単価が上昇しているのに、物件A(超高級タワマン)以外は下落傾向がみられる。特に、ルート直下の物件Bの下落が著しい(次図)。

羽田新ルート近くのタワーマンション相場の推移(港区)

 

タワーマンション5件の価格変動状況を比較しやすいように、13年5月の単価を100とした場合の変化を可視化したのが次図。

特徴的なのは、ルート直下にある物件Bの価格だけが15年下期以降、下落し続けていること。

羽田新ルート近くのタワーマンション相場の推移(港区)

今後考えられる可能性

筆者の独自調査によって、羽田新ルートの高度が低い品川区や港区ではルート周辺の中古タワーマンションの価格への影響がすでに出ている可能性があることを示した。

では、品川・港区以外の区で、不動産価格への影響が出てくる可能性はどうなのか?

来年の1月以降に予定されている「試験飛行」がポイントになるのではないか。実際に住民らが巨大な旅客機が頭上を飛ぶ状況を現認することによって、機影の大きさや騒音の大きさを実感することができるようになるからだ

仮に試験飛行の頻度が少なくて、住民が実態を把握する機会が得られなかったとしても、来年3月29日以降は本格的に羽田新ルートの運用が開始されるので、否が応でも騒音の大きさを感じざるを得なくなる。よって、来年の1月以降、品川・港区以外の区でも新ルート周辺のマンション価格への影響が出てくる可能性が高いのではないか、と筆者は考えている

 

なお、来年の1月以前にマンション価格に影響が出る可能性としては、2つのケースが考えられる。

一つは、マスメディアが羽田新ルート問題を盛んに取り上げることによって(こちらの可能性はあまり高くない)、マンション価格への影響が出始めるケース

もう一つは、大変不幸なことではあるが、国内外の都市部で航空機関連の事故が発生した場合。羽田新ルートの落下物・墜落事故の危険リスクが意識されて、マンション価格への影響が出始めるケース。

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2019年6月1日、このブログ開設から15周年を迎えました (^_^)/
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