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羽田新ルート|「都・関係区市連絡会」発言は5区のみ

東京都が7月30日に開催した「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会(第1回)」の議事録(A4判10ページ)がこっそりと公開された(新着情報に掲載されていないので一般の都民が気付くことはない)。

羽田新ルートが上空を通過するのは13区なのだが、発言したのは5区(大田・品川・港・豊島・目黒)のみ。 「関係区市の意見概要(案)」から「案」が取れて、8月上旬に開催される国の協議会に送られることになった。

※以下長文。時間のない方は最後の「まとめ」をお読みいただければと。


もくじ

国交省の口頭補足で気になる2点

議事録を読むと、会議は2部構成であったことが分かる。第1部は国交省による回答案の説明。第2部は国交省退席後、区市関係者による意見交換。

  • 議事1 羽田空港の機能強化に対する都及び関係区市の意見への国の回答について
    6月25日に開催された都連絡会(第18回幹事会)で関係区市の意見として国に伝えられ内容に対する国からの回答(羽田空港の機能強化に対する都及び関係区市の意見への回答」)を国土交通省平岡航空ネットワーク部長が説明

  • 議事2 都及び関係区市による意見交換等
    国交省関係者退出後、区市関係者による意見交換。

国交省が「口頭で補足」したなかで、特に気になったのは2点。不動産価格への影響調査と現飛行ルート案の見直しについてだ。

不動産価格への影響調査

まず、不動産価格への影響調査について。

港区さんから飛行経路の不動産価格への影響に関する調査についてのご意見を頂戴しているところでございます。飛行経路の不動産価格への影響に関する調査につきましては、早急にとりまとめまして、情報提供を実施したいと思っております。

なお、国内の空港、具体的には成田、伊丹、福岡におきましては、飛行経路の不動産価格への影響に関する調査を実施しましたけれども、直接的な因果関係を見出すことは困難であった形になっているところでございます。(P5)

国交省は調査結果を早急にとりまとめて情報提供するとしているが、「直接的な因果関係を見出すことは困難であった」という、これまでの説明に変わりがないこととなっている。

筆者の独自調査によれば、羽田新ルートが品川区や港区の中古タワマン相場に影響を及ぼしている結果になったのだが……。

現飛行ルート案の見直し

次に、現飛行ルート案の見直しについて。

品川区さんのほうから、飛行ルート案につきましてご意見を頂戴しているところでございます。飛行ルートの在り方につきましては、騒音軽減等の観点から、継続的に検討してまいりたいと考えているところでございます。(P5)

品川区のそもそもの意見は、現行の飛行ルート案を前提に、固定化しないことを要望したもの。

例えば他の首都圏空港との調整などにより、都心上空を飛行する現飛行ルート案を固定化することがないよう取り組んでいただきたい。(資料3 P16)

国交省が「継続的に検討してまいりたい」というのは、お役所言葉としては「何もやらない」、すなわち現飛行ルート案を変えるつもりはないと同義と捉えたほうがいいのでは。

発言したのは5区のみ

出席した26区市の副区長・副市長のうち、羽田新ルートが上空を通過するのは13区。今回発言があったのは5つの区のみ。

羽田空港に最も近い大田区、区民の反対運動が盛んな3区(品川・港・豊島区)。そして、連絡会の副座長を務めている目黒区。

以下、要点を抜粋し、筆者コメント(※)を朱書きしておいた。

大田区:説明会の継続実施

(前略)引き続き双方向の対話に基づく説明会の継続実施と、落下物対策を含む安全対策や航空機騒音の軽減などの環境対策について、しっかりと取組んでいただくとともに、その検証、それから評価を踏まえた対策の徹底を強く求めます。(以下略)

※まだ、教室型説明会の実施を求めている。大田区は公聴会の実施時期や方法は気にならないのか。

品川区:飛行ルートの在り方、早急かつ具体的に

(前略)品川区区議会では、品川区上空を低高度で飛行する新飛行ルート案を容認することはできないとする全会一致の決議がなされております。本日国からは、提出された意見に対しまして、回答や追加対策が示されておりますけども、今後も引き続き区民の不安払しょくにつながる効果的な対策の検討、実施を強く求めたいと思います。

また、飛行ルートの在り方については、国より騒音低減等の観点から継続的に検討してまいりたいとの回答がございましたが、早急かつ具体的にお示しいただきますよう、あわせて、強く求める次第であります。

羽田空港の機能強化は、区民・都民の理解がなによりも大切であると考えておりますので、区としまして、今後も引き続き丁寧な説明、周知の実施を重ねて国に要望してまいりたいと思います。

※海江田万里(立憲)・松原仁(無所属)・笠井亮(共産)衆議院議員は連絡会前日(7月29日)、わざわざ品川区と港区の区役所を訪れ、それぞれの副区長に「ルート変更後の低空飛行を区民は容認していないことを正確に国に伝えるよう申し入れ」を行ったにもかかわらず、副区長は「正確に」伝えていないのではないか。

港区:不動産価格調査の情報提供、試験飛行の早期実施

(前略) 特に私ども港区としては、次の事項については重ねて要望致します。住民説明会の開催や、区民からの相談窓口を充実していただきたいと区民への丁寧な説明周知を継続し実施していただきたいということです。更に落下物や騒音対策等の着実な実施に取組むとともに、更なる安全や環境影響に配慮した方策の検討を続け、そういった情報を区および区民に十分に提供していただきたいということです。

最後に落下物や騒音等に対する区民の不安を払しょくする為に、先程出ましたように、不動産価格の調査に関する情報提供、それから1月と言っていました試験飛行そういったものの早期の実施を宜しくお願い致したいと思っております。

※上記の品川区コメントと同じ。

豊島区:教室型を含め説明会を複数回開催

(前略) 区民や区議会から様々な意見・要望が引き続き出ている状況でございます。その中では、要望の中では、特に説明会に関するものが強うございます。(中略)

豊島区としましては、区民からの要望を踏まえまして、教室型を含め説明会を複数回開催するなど、これまで以上に丁寧な説明会・説明を要望させていただきたいと思います。

※もはや教室型説明会にこだわっている段階ではないのだが、6月の定例会一般質疑に立った区議(共産)が教室型説明会の開催問題にフォーカスしていたからこういうことになったのではないか。

目黒区:総論のようなものを言います

ご出席者の中からもご意見をいただいているので、総論のようなものを言います
基本的には国として責任を持って積極的に対応していただきたいと思っておりますので、これを引き続きお願いしたいと思います。(以下略)

※連絡会副座長としての、お付き合い意見であることが見え見え。

連絡会の結論:「関係区市の意見概要(案)」から「案」を取る

東京都は、連絡会での意見を踏まえ、「羽田空港の機能強化に対する関係区市の意見概要(案)」から「案」を取り、8月上旬に予定されている国の協議会の場で関係区市の意見として発言するとした。

(前略)それでは、ただいまご確認いただいた内容をもって、案文の案をとらせていただきたいと思います。協議会で東京都から発言をいたします際には、この関係区市の意見概要を基に発言させていただきたいと思います。(以下略)

まとめ

国交省は、不動産価格への影響調査結果を早急に取りまとめ(直接的な因果関係を見出すことは困難であった)、情報提供したいとしている。

また、品川区の「現飛行ルート案を固定化」しないでほしいという要望に対して、国交省は「継続的に検討してまいりたい」と回答(お役所言葉としては「何もやらない」、すなわち現飛行ルート案を変えるつもりはないと同義)。

出席した26区市の副区長・副市長のうち、今回発言があったのは5区(大田・品川・港・豊島・目黒)のみ。教室型説明会や試験飛行の実施などを求めているが、いずれも現飛行ルート案を容認している。


東京都は、26区市の副区長・副市長の確認が取れたということで、「羽田空港の機能強化に対する関係区市の意見概要(案)」から「案」を取り、8月上旬に予定されている国の協議会の場で、関係区市の意見として説明するとした。


いよいよ羽田新ルート20年3月29日運用開始が現実味を帯びてきた。このまま国交省の目論見通りに進むのか……。

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