いよいよ羽田新ルートの20年3月29日運用開始が現実味を帯びてきた。羽田新ルート近くの中古タワーマンション相場への影響は出てきているのか?
20年3月29日運用開始のカウントダウン
国交省は7月30日、都と地元自治体に羽田新ルート来年3月開始の考えを伝えた。
8月上旬に開催が予定されている国の協議会も国交省のシナリオ通り進めば(マスメディアがこの問題を大きく取り上げなければ)、「住民の理解は得られた」ということで、国交大臣発表へと進み、増便ダイヤの編成を経て、来年3月29日から羽田新ルートの運用が開始されることとなる。
- 8月上旬:首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会(第5回)
- ?:国交大臣発表
- 9月頃:スロット割り当ての集中作業(航空局)
- 10月:公聴会
- 11月12日~15日:航空ダイヤ調整会議@オーストラリア・ブリスベーン
- 20年1月~:試験飛行
- 20年3月29日:羽田新ルートに係る新ダイヤ運用開始
品川・港区のタワマン相場、下落傾向
いよいよ羽田新ルートの20年3月29日運用開始が現実味を帯びてきた。羽田新ルート近くの中古タワーマンション相場への影響は出てきているのか?
2か月あまり前に、筆者が独自に調査したときの結論は次のとおりであった。
現状では、羽田新ルートが中古タワマン相場に与える影響は限定的なようだ。
飛行高度が低く騒音レベルが高い品川区や港区の中古タワマン相場への影響は顕在化しているように見られるが、それ以外の区の中古タワマン相場への影響は必ずしも見られない。
その後、どうなったのか。
結論を先に言えば、2か月あまり前と変わっていない。
羽田新ルートの高度が低い品川区の中古マンションの平均単価が上昇しているのに、羽田新ルートに近い中古タワーマンション4物件には下落傾向がみられる。
「中古タワマン相場への影響(品川区)」を更新
羽田新ルートの高度が低い港区においても、港区の中古マンションの平均単価が上昇しているのに、物件A(超高級タワマン)以外は下落傾向がみられる。特に、ルート直下の物件Bの下落が著しい。
「中古タワマン相場への影響(港区)」を更新
渋谷・新宿区などのタワマン相場、影響は顕在化していない
羽田新ルートの高度が比較的高い渋谷区や新宿区、中野区や練馬区の中古タワーマンション相場への影響は顕在化していないようだ(次図)。
※羽田新ルート直下から水平距離で500mを超える位置にある物件単価は細線で表示した。
「中古タワマン相場への影響(渋谷区)」を更新
「中古タワマン相場への影響(新宿区)」を更新
「中古タワマン相場への影響(中野区)」を更新
「中古タワマン相場への影響(豊島、練馬、板橋、北、大田)」を更新
来年の1月以降に「試験飛行」が予定されている。
実際に住民らが巨大な旅客機が頭上を飛ぶ状況を現認するまで、品川・港区以外の区のタワマン相場への影響は顕在化しないのか。
現在、羽田新ルート近くのマンションにお住いの方へ。静観するにしても、引越するにしても、自己責任でお願いします。