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羽田新ルート|次は1万人規模の差止請求…

7月30日に「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会(第1回)」が開催され、国交大臣への見直し要請が活発化。いよいよ羽田新ルート20年3月29日運用開始が現実味を帯びてきた。

しかし、ブレーキを掛ける手立てが全くないというわけではない。筆者の独自調査によれば、22区で羽田新ルートの影響を受ける住民は100万人を超える。このうちの1%、1万人規模の住民が差し止め訴訟を起こせば、さすがに政府もいったん立ち止まざるを得なくなるのではないか

2年前に、村頭秀人弁護士著『騒音・低周波音・振動の紛争解決ガイドブック』慧文社 (2011/05)(全591頁)を手掛かりに「航空機騒音事件の裁判例まとめ」を書いた。

本日は、同書から、損害賠償請求や差止請求に係る部分を備忘録的に抜粋しておいた。


もくじ


騒音・低周波音・振動の紛争解決ガイドブック

損害賠償請求や差止請求の法的構成(被侵害利益)

物権・人格権は認められるが、環境権・平和的生存権・不法行為に基づく差止請求権は認められていない。

 損害賠償請求や差止請求をする場合に、その被侵害利益として認められるのはどのような利益(権利)かについて、まず結論を述べると、認められるのは所有権等の物権及び人格権であり、認められないのは環境権及び平和的生存権である。また、不法行為に基づく差止請求権(不法行為の効果としての差止請求)は認められないとされている。

(P131/第3章 騒音に関する裁判例)

求めうる差止めの内容…抽象的不作為請求の適法性

平成5年の最高裁判決によって、被告に具体的な作為を求めるのではなく、抽象的不作為請求も適法と認められるようになった。

 被告に具体的な作為を求めるのではなく、「0dB(またはホン)を超える騒音を原告の家屋内(または敷地内)に侵入させてはならない」というような内容の判決主文を求める差止請求を抽象的不作為請求という。
 かつては給付の内容が特定されていないとしてこれを不適法とする裁判例もあったが、平成5年の最高裁判決がこのような請求を適法と認めたので、現在ではこのような請求が適法であることは確立している。

(P193/第3章 騒音に関する裁判例)


抽象的不作為請求が適法であることを示した最高裁判例は、次の通り。

  • (最判平成5・2・25[昭和63年(オ)611号]…横田基地第1次・第2次訴訟の上告審)

共通被害に対する訴訟

原告が多数である訴訟においては、各原告はそれぞれが受けている被害を個別具体的に立証する必要はなく、共通被害の内容や程度を立証すれば足りる。

 原告が多数である訴訟において、原告ら全員が最小限度等しく受けている被害(原告らに共通する損害)について、各原告について一律にその限度で慰謝料を請求することが認められる。この場合には、各原告はそれぞれが受けている被害を個別具体的に立証する必要はなく、上記の共通被害の内容や程度を立証すれば足りる

(P201/第3章 騒音に関する裁判例)


このことを述べたのは、次の大阪国際空港騒音公害訴訟の上告審判決。

  • (最判昭和56・12・16…大阪国際空港騒音公害訴訟の上告審)

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