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『おひとりさまの老後対策』(小学館新書)

ベストセラー『あらゆる領収書は経費で落とせる』を書いた元国税調査官長の大村大次郎氏が 老後破綻しないための裏技を伝授した『おひとりさまの老後対策』小学館新書(2020/4/2)を読了。

終の棲家を探そうとするときには、体力も知力も衰えているだろうから、元気なうちに予備知識として身に付けておくことをおススメしたい。

朱書きは、筆者コメント。


もくじ

おひとりさまの老後対策

シニア向けマンションは、企業年金など充実している方向け

普通の分譲マンションのように管理費や修繕積立金もかかるので、多額な金融資産や年金も公的年金だけでなく、企業年金など充実している方向け。

シニア向けマンション購入で孤独や雑務からも解放される

(前略)シニア向けマンションの場合、共有部分が広く造られている場合が多く、ほかの居住者とも交流ができます。イベントやレクリェーションも頻繁に行われているところもあります。

さらにグレードが高いところではプールやジム、温泉やシアターまで併設されているところがあります。もちろん、ひとりになりたい時間もあるでしょう。ほかの老人施設と違い、外出などに制限などは一切ありません

 ここまで読むとまるでホテル暮らしのように思えてパラダイスのように感じますが、問題点がないわけではありません。冒頭でも記したように、分譲ですので買うときにまとまったお金がかかります。持ち家や親から相続した家を売ったりして。購入金額を用意しなくてはなりません。

また。普通の分譲マンションのように管理費や修繕積立金もかかりますので、多額な金融資産や年金も公的年金だけでなく、企業年金など充実している方向けといってもいいのではないでしょうか。

 金銭的にゆとりがあり、健康に自信がある人にとっては至れり尽くせりといってもいいかもしれません

(P175-176/第4章 終の棲家をどうしますか?)

※シニア向け分譲マンションの大きな特徴は、食堂と医療・介護サービスが付いていること。ただ、医療・介護施設との提携も施設側にメリットがないと判断されれば、訪問診療や訪問介護、訪問健康相談・指導も実施される訳ではなく、いつ何時提携が解消されるかわからないリスクがある。

詳しくは「人生100年時代の住宅すごろく|あと何年マンションに住めるのか? 」参照。

サ高住は、終の棲家を保障されていない

サ高住は、重度の認知症になって入院が必要になった場合などは退去を余儀なくされる。終の棲家として保障されているわけではない。

資産がない人は賃貸型の「サービス付き高齢者住宅」という選択肢も視野に

(前略)前項で取りあげたシニア向けマンションとの違いは、シニア向けマンションが分譲であり、多額の初期費用がかかるのに対して、サ高住は賃貸で金銭的負担が大きくありません。おおよそですが8万から20万円くらいです

これならば、ちゃんと年金を払ってきた人にも支払えない額ではありません。しかも、賃貸ですから気に入らなければ退去するのも容易です。(中略)

 問題は、サ高住はあくまで住宅であり、介護施設ではないということです。ですから、軽度の認知症などには対応してくれることもありますが、夜中に徘徊を繰り返し、自力で帰ってこられないなど重度の認知症になって入院が必要になった場合などは退去を余儀なくされてしまいます。つまり、終の棲家として保障されているわけではないのです。

(P177-178/第4章 終の棲家をどうしますか?)

※サ高住の最大の問題は、倒産問題。国交省が17年に初めて実施した調査では、「倒産などで廃業した施設数が、11~15年度の5年間で計125か所に上った」とされている。サ高住選びは命に直結するので、マンション選び以上に慎重にならざるを得ない。

詳しくは「『臨終医のないしょ話』サ高住の倒産問題 」参照。

介護型老人ホームは、外出制限あり

介護型老人ホームは前に紹介した2つとは違い、外出にも制限が加えられることが一般的。

要介護の人でも入れる「介護付き有料老人ホーム」

(前略)介護付きホームでは要支援から要介護までそれぞれの状態に合わせた介護サービスが受けられるうえに、施設によっては24時間、看護師または准看護師が配置されています

 問題点としては、毎月介護サービスを受けることから、介護保険の利用限度額まで使うため、介護保険を利用した介護サービスは全額自己負担となってしまいます

 また、介護型老人ホームは前に紹介した2つとは違い、外出にも制限が加えられることが一般的です。軽度の認知症の方の場合だと、重度の認知症の方と四六時中顔を合わすことになるので。ストレスとなることにも注意が必要です。

(P179/第4章 終の棲家をどうしますか?)

※有料老人ホームも終の棲家になり得ない場合がある。入居者・職員危害事由などが付された契約解除条項があれば、老人ホームを放り出されるのである。

詳しくは「有料老人ホームの契約解除条項はどうなっているのか?」参照。

本書の構成

全6章、253頁。

第1章 高齢単身者の超厳しい現実
第2章 とにかく所得と年金を増やせ!
第3章 単身者こそ相続対策を怠るな
第4章 終の棲家をどうしますか?
第5章 賢いダウンサイジングで生活防衛
第6章 生活保護は恥ずかしいことではない

おひとりさまの老後対策

あわせて読みたい(本の紹介)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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