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『臨終、ここだけの話』1人暮らしの老人の最後

医師歴50年の臨床医、志賀貢先生のご著書『臨終、ここだけの話』 (2017/4/23)を読了。

第3章 『一人暮らしの臨終』をどう防ぐか?」のなかで紹介されていた悲惨な事例がとっても気になった。


もくじ

Dさんの事例:簡宿で酒と煙草を飲みたい放題…

Dさんは離婚後、三畳一間のワンルームの簡宿(簡易宿泊所)に住んでいる。アルコール性の肝炎がかなり進んでいた。

毎月、国から支給される生活保護費は約13万円あります。そのうち簡宿には一日2000円、ひと月で6万円払うと、後は何も費用が掛かりません。残りの7万円で、三度の食事代を賄い、そして好きな酒と煙草を飲みたい放題の生活なのです。こんな天国はどこにもないと、彼は満足しきっています。(P90)

入院生活を3か月ほど送った後に、再び簡宿に戻ったDさんに待っていた運命。

警察官と福祉事務所の担当者が駆けつけて来て、部屋に飛び込んだときには、部屋の三畳間は目に余るほどの惨状で、特に女性の担当者は顔を覆い泣き出してしまいました。Dさんはベッドの上でうつ伏せになり、すでに腐敗が始まった状態で、マットの中に体を沈めていました。(P93-94)

退院して3週間が経ったころ、再び吐血し、それがもとで窒息死したという。

Eさんの事例:簡宿で好物の寿司を頬張って…

生活保護で入院しているEさんは、毎食どんぶり飯を食べないと我慢できない。1週間ほどで退院して簡宿に戻ったEさんを待っていた運命。

「昨日、退院してからさっそく近くのコンビニで酒を買い、一晩中飲んでいたみたいなんですが、今朝になって恐らくお腹が空いたんでしょう。スーパーまでヨロヨロしながら、太い体を揺すって、寿司を買いに行ったのは、簡宿の他の人が見ているんです。そして、部屋に戻るとすぐ大好物の寿司を頬張ったのでしょう。それがもとで、窒息したらしいのです。(P102)

嚥下障害は高齢者にとって、命取りに……。

Kさんの事例:小型犬二匹に…

 妻に先立たれたKさんは、負担の少ない小型犬を二匹飼っていた。

彼は、奥さんがいなくなってから犬を飼うようになりました。最初は大型犬を1匹飼っていたのですが、体力が衰えてくると、一日数回散歩に出かけるのがつらくて、近ごろではあまり負担のない小さな犬を2匹家の中で飼っていました。
 人なつこい犬で、Kさんにはいい話し相手でもありました。多少の人の話す言葉は理解できるくらい頭が良く、新聞を持ってくるように命ずると、2匹は先を競うようにして玄関に走ります。ビール、と言えば2本足で立って冷蔵庫を開けて、なんとかご主人様の好物を持ち出そうと必死です。そんな姿を見ていると、Kさんは心が和みました。(P106)

ある晩息苦しさを感じたKさんは、救急車で病院に行く。医者から入院治療を進められたKさんは飼い犬のことが気になって、入院を先延ばし。数日後突然の心臓発作で息を引き取る。

(葬儀社の)社長が急いで現場に駆け付けると、人なつこい犬が2匹、彼の足元に飛びつくようにしてまとわりつき始めました。よほど人が恋しかったらしく、なかなか足元から離れようとしません。彼は犬の頭をなでながら、しっぽを振っている2匹の犬を抱きかかえて、Kさんの遺体に近づいて、あっと声をあげました。
 衣服から出ている部分の手足が白骨になっているのです。顔のあたりもかなり白骨化していました。その事情はすぐにわかりました。主を失い、ドックフードも水も与えられず、飢餓状態に陥った犬が命を維持するために、主の体を食料にしたことをすぐに見抜きました。(P109)

病気で急死した飼い主の体内には、子犬が命をつなぐための、水分が約60%、たんぱく質は20%くらいは含まれていたはずだという。

本書の構成

第1章 こんな臨終で人生を終えられますか?
第2章 腰痛と闘いながら、臨終に追われるナースたち
第3章 「一人暮らしの臨終」をどう防ぐか?
第4章 臨終間近に豹変したモンスター家族たち
第5章 臨終寸前まで続く、親子の確執と和解
第6章 こんな臨終の手当で大丈夫ですか?

臨終、ここだけの話』 (2017/4/23)

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