不動産コンサルタント長嶋修氏の新刊『災害に強い住宅選び』日経プレミアシリーズ(2020/5/9)を読了。
猛威を振るう風水害に対して、いかにしてマンション(と戸建て)を選んだらいいかが記されている。
※朱書きは、私のコメント。
水害リスクによる価格差、現状では認識されていない
現状では水害リスクによる価格差は見られないが、やがては安全性に応じて天地ほどの差が開いていくとする見立て。
自治体が危険地域に居住誘導
(前略)楽天損害保険は2020年から、住宅火災や水害、風災に備える火災保険で、国内損保で初めて、水害リスクに応じた保険料率の見直しを行うと発表しました。
ハザードマップで洪水可能性などを考慮し、高台などにある契約者の保険料は基準より1割近く下げる一方、床上浸水のリスクが高い川沿いや埋め立て地などに住む契約者の保険料は3~4割高くします。こうした動きは今後広がるでしょう。
私たちは土地のリスクを調べ、それに応じた対策を行う必要があります。今のところは浸水可能性のあるエリアとそうでないエリアの間で、価格差は見られませんが、やがては安全性に応じて天地ほどの差が開いていくことでしょう。(P46/第1章 不動産の災害リスクは自己責任である)
※あなたが検討しているマンション所在地の水害リスクを簡単に調べる方法については、「マン点流!裏ワザ(水害リスクを簡単に調べる方法) | スムログ」参照。
水害リスク、電気室などの設置状況を確認
ハザードマップなどで水災被害を受ける恐れのあるエリアにあるマンションの購入を検討する際には、電気室などの設置状況を確認しておけという。
電気室が地下に設置されていると、マンション全体が機能不全に
(前略)ハザードマップで浸水の可能性があるエリアに立地する物件でも、電気室が地下に設置されているケースはままあります。
第1章で解説したように、マンションのデベロツパーは、たとえ水害リスクのある地域であっても、分譲事業の利益を優先した計画で建てることができ、なおかつリスクを説明する義務もないため、このようなマンションが数多く分譲されているのが実情です。
電気室を後から浸水リスクの少ない場所へ移動させることも可能です。しかし、コストがかかるうえに、移動先のスペースを見つけるのは難しいのが実状です。コストをすべての所有者で分担しなければならないことから、話し合いで合意にこぎつけるハードルも高くなります。
以上の理由から、ハザードマップなどで水災被害を受ける恐れのあるエリアにあるマンションの購入を検討する際には、電気室などの設置状況を確認しておくといいでしょう。(以下略)(P82-83/第3章 マンションは想像以上に風水害に弱い)
※武蔵小杉のタワマンがスーパー台風の影響で浸水被害を受け、機能不全に陥ったことから、電気室の水没問題は広く認識されるようになった。でも、マンションの高層階に住んでいても、広域避難は必要であるということはあまり知られていないのではないか。
⇒「江東5区のマンション高層階住民、大規模水害で広域避難は必要か?」
自宅にも防災備蓄品を十分に用意しておく
防災備蓄がされているマンションでも、自分である程度の備蓄品を用意する必要がある。
【マンションの事前対策3】 自宅にも防災備蓄品を十分に用意しておく
マンションとしての防災備蓄品がほとんど準備されていないケースや、準備されていても分量が不十分なケースもあります。そうした場合に備え、自分でも防災備蓄品を用意しておかなければなりません。
防災備蓄がされているマンションでも、自分である程度の備蓄品を用意する必要があります。防災備蓄倉庫の中身を確認し、自分で何をどれだけ用意しておくべきか、把握しておきましょう。
一般的に、自宅で備蓄しておくと望ましいとされるものは、次のとおりです。
- 非常食(家族の人数分を1週間分)
- 飲料水(1日あたり1人3リットル×人数分を1週間分)
- 簡易トイレ(家族の人数分を1週間分)
- 懐中電灯
- 携帯ラジオ
- 電池
- 手動携帯充電器
- 卓上カセットコンロ・カセットボンベ
- 固形燃料
(P148-149/第5章 減災のための事前対策・事後対策)
※上記で不足している備蓄品があれば、平時に購入しておいたほうがいい。いつやるか? 今でしょ!
ちなみに、筆者は19年9月の台風15号の長期停電被害を見て、アマゾンで『モバイルバッテリー ソーラーチャージャー』を買った(写真)。
本書の構成
5章構成。全192頁。
第1章 不動産の災害リスクは自己責任である
第2章 土地の良し悪しをどう見分けるか
第3章 マンションは想像以上に風水害に弱い
第4章 こんな一戸建てに注意せよ
第5章 減災のための事前対策・事後対策
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