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老親介護の予備軍は必読!『成年後見人制度の闇』

成年後見人制度の闇』 飛鳥新社 (2018/3/9)読了。

介護保険と同じ2000年にスタートした成年後見人制度。
高齢者など社会的弱者の生活を手助けにするための制度が、逆に人を苦しめる異常事態になっているらしい。

ところが本書で紹介されているような問題は、マスメディアからは伝わってこない。

悪徳弁護士に死ぬまでお金をむしり取られ続けるだけでなく、老親の人権も奪われる事態を避けるために、老親の介護予備軍の方には強くおススメしたい1冊


もくじ

最高裁、親族後見人を排除

制度発足当初は9割を占めていた親族後見人は、わずか3割に激減してしまったという。

 横領事件は親族後見人だけでなく、弁護士や司法書士ら職業後見人も引き起こしていました。にもかかわらず最高裁は、数の多い親族後見人に的を絞り、彼らを後見人から排除する一方、家族や親族の代わりに専門職を後見人につけるようになったのです
 最近では家裁が親族を後見人に選任することはほとんどなくなりました。その結果、いまでは後見人の7割を弁護士・司法書士ら専門職が占めるまでになりました。一方、制度発足当初は9割を占めていた親族後見人は、わずか3割に激減してしまったのです
 これは、親族後見人中心の運用が行われている欧米先進国に比べ、異様な事態です。(P13)

時給72万円のオイシイ仕事

いったん職業後見人がついたら、本人、家族とも、職業後見人の許可なしに、お金を使えなくなる。しかも、認知症高齢者や障害者は自分が死ぬまで延々と、報酬を払わされ続けるのである。

弁護士や司法書士といった専門職が後見人についた途端、通帳を含め本人の財産は、その職業後見人がすべて管理し、本人、家族とも、職業後見人の許可なしに、お金を使えなくなるのです。(中略)
 職業後見人が、報酬に見合う仕事をしてくれるならまだしも、実際には、職業後見人が被後見人のために行うのは、被後見人の通帳を預かることと、年1回、家裁に後見事務の報告書を提出するだけというケースがほとんどなのです
 報告書はチェック方式ですので、記入にかかる時間は30分程度です。(中略)弁護士や司法書士から見ると。時給24~72万円のオイシイ仕事というわけです。
(中略)
 ところが、現在の成年後見制度では、「何もしない」という理由だけで職業後見人を辞めさせることはできない、おかしな仕組みになっています。後見人の解任の権限は家裁にあるのですが、何もしないからという理由で家裁が職業後見人を解任することは、まずありません
 つまり、いったん職業後見人がついたら、何もしなくても、認知症高齢者や障害者は自分が死ぬまで延々と、報酬を払わされ続けるのです。(P15~18)

自治体職員らに誘導され、利用したら大変な目に…

自宅売却で市役所主催の無料法律相談会に参加したのが事の始まり。自宅売却ができなくなるだけでなく、弁護士に食い物にされ続ける羽目に。

 夫と一緒に暮らすことを望む洋子さんは「自宅を売却して、その資金で夫と一緒に老人ホームに入ろう」と思い、市役所主催の無料法律相談会に2度出席したところ、行政書士と弁護士から「認知症があるなら後見人をつけるしかない」といわれた
(中略)
 そこに、待ち構えていたかのように社会福祉協議会(社協)の女性職員が「お手伝いしましょうか」と近づいてきたという
 職員は「弁護士に頼まなくても申立書類は自分で書けます」といった。洋子さんは、白分かご主人の後見人になれると信じ、職員に言われるままに書類に自分の氏名と住所を書き、その他の項目はすべて職員が記人した。
 後日、申立書は職員から家裁に提出され、洋子さんは「これで私か後見人になって夫の世話をできる」と安心して家裁の蜜判を待っていた。
 ところが17年3月、家裁から洋子さんに届いた通知書には、洋子さんが名前も知らない弁護士を後見人に選任したと書かれていた
 それ以来、洋子さんの生活は一変した。まず、夫名義の通帳や銀行カードなどは、すべて弁護士に提出して、弁護士が管理。夫の預金からお金を引き出したいときは、いちいち弁護士に相談して許可を得なければならなくなった。(中略)
事実上、弁護士の許可なしに、主人の財産は1円たりとも使えなくなったのです。その後、私は自宅売却を断念したのですが弁護士は後見人を辞めません。(P38~40)

市と弁護士後見人が静江さんを家族から隔離

市役所が家族の同意を得ず、一時目的の名目で静江さん(77歳、仮名)を連れ去った事案。

静江さんは桑名市と関係する医師から「重度の認知症」とみなされて、2016年暮れに強制的に弁護士後見人をつけられた。桑名市と弁護士後見人は、静江さんを家族から隔離して、施設に押し込め、家族の面会すら許さなかった。
(中略)
 この事件では、後見人をつける際に、本来必要とされる手続きを、桑名市と家裁裁判官がいくつも省略するなど、明らかな違法行為が行われているが、こうした違法な、手続き飛ばしは、このケースに限らず、全国各地の自治体と家裁で横行しており、まさに「氷山の一角」に過ぎない。(P166~168)

成年後見人制度の闇』 飛鳥新社

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