不動産経済研究所は2月21日、「全国新築分譲マンション市場動向2022年」を発表。
同発表資料には、3か年(20〜22年)の事業主別発売戸数(上位20社)、いわゆるランキングが掲載されているので、可視化・分析してみた。
※過去のランキング記事(2021年、2020年、2019年、2018年、2017年)。
全国新築マンション事業主別の発売戸数トップ20(22年)
全国の新築分譲マンションの21年事業主別の発売戸数トップ20を下記に示す。
野村不動産は2年連続1位。
大手不動産会社が上位を占めるなか、プレサンスコ一ポレーションは2位(6年連続で3位以内)。
- 順位:(全国/首都圏/近畿圏/その他/定借)
- 1位:野村不動産(4,240戸/2,916戸/678戸/567戸/79戸)
- 2位:プレサンスコーポレーション(3,760戸/32戸/2,049戸/1,679戸/0戸)
- 3位:三井不動産レジデンシャル(3,420戸/2,424戸/245戸/693戸/58戸)
- 4位:住友不動産(3,109戸/2,267戸/450戸/320戸/72戸)
- 5位:エスリード(2,214戸/0戸/1,177戸/1,037戸/0戸)
- 6位:三菱地所レジデンス(2,153戸/1,672戸/159戸/306戸/16戸)
- 7位:タカラレーベン(2,134戸/126戸/0戸/2,008戸/0戸)
- 8位:大和ハウス工業(2,022戸/495戸/569戸/958戸/0戸)
- 9位:オープンハウス・ディベロップメント(1,870戸/1,090戸/0戸/780戸/0戸)
- 10位:日鉄興和不動産(1,850戸/1,276戸/206戸/175戸/193戸)
- 11位:あなぶき興産(1,688戸/70戸/49戸/1,569戸/0戸)
- 12位:関電不動産開発(1,489戸/242戸/963戸/74戸/210戸)
- 13位:阪急阪神不動産(1,462戸/388戸/871戸/98戸/105戸)
- 14位:新日本建設(1,435戸/1,435戸/0戸/戸/0戸)
- 15位:東急不動産(1,410戸/849戸/406戸/155戸/0戸)
- 16位:東京建物(1,316戸/872戸/335戸/84戸/25戸)
- 17位:日本エスコン(1,142戸/166戸/568戸/378戸/30戸)
- 18位:近鉄不動産(1,139戸/370戸/557戸/183戸/29戸)
- 19位:フージャースコーポレーション(1,047戸/220戸/175戸/652戸/0戸)
- 20位:名鉄都市開発(1,042戸/544戸/350戸/148戸/0戸)
大手4社のうち野村だけが3位以内を死守
ランキング(順位)だけだと、各事業主の勢いのほどが分かりにくい。そこで、過去に発表されたデータも含め、04年以降の上位事業主の発売戸数の推移を可視化してみた(次図)。
長年にわたって首位をキープしていた大京の凋落ぶりとは対照的に、大手4社(野村不動産、三井不動産R、三菱地所R、住友不動産)は順位が入れ替わりながらも、上位に踏み止まっている。
Bar Chart Race
(続き)
— マン点 (@1manken) 2023年2月22日
全国の事業主別発売戸数の推移(22年上位6社+大京)のBar Chart Race pic.twitter.com/qKE470d0yb
19年まで6年連続1位だった住友不動産は4位まで後退。野村不動産だけが3位以内を死守している(次表)。
【メモ】プレサンスコーポレーション
- 山岸忍氏は97年に日経プレステージを創業し、一代でプレサンスコーポレーションを成長させ16年に東証一部上場を果たしたが、土地売買代金に関する業務上横領事件で逮捕され、同社をオープンハウスに譲渡。
- 近畿圏、東海圏での新築マンション供給戸数は多いが、首都圏では僅か(21年0戸、20年70戸、19年147戸、18年11 戸)。
上位20社のシェア、6割に迫る勢いから2年連続55%下回る
ランキングに目を奪われず、発売戸数に着目することで、興味深い事象が見えてくる(次図)。
上位20社のシェア(全国主要都市の発売戸数に対する上位20社の合計発売戸数の占める割合)は、それまでの4割から08年を境に上昇し、10年以降5割をキープ(08年に起きたリーマンショックの影響で、中小デベロッパーがマンション事業からの撤退を余儀なくされ、体力のある大手デベロッパーの寡占化が進んだ)。
18年以降は6割に迫る勢いだったが、2年連続で55%を下回る。
あわせて読みたい