不動産経済研究所は2月24日、「全国新築分譲マンション市場動向2021年」を発表。
同発表資料には、3か年(19〜21年)の事業主別発売戸数(上位20社)、いわゆるランキングが掲載されているので、可視化・分析してみた。
※過去のランキング記事(2020年、2019年、2018年、2017年)。
全国新築マンション事業主別の発売戸数トップ20(21年)
全国の新築分譲マンションの21年事業主別の発売戸数トップ20を下記に示す。
野村不動産は2012年以来の1位。
大手不動産会社が上位を占めるなか、プレサンスコ一ポレーションは3位(昨年は1位)。
- 順位:(全国/首都圏/近畿圏/その他/定借)
- 1位:野村不動産(4,014戸/2,593戸/473戸/832戸/116戸)
- 2位:三井不動産レジデンシャル(3,982戸/3,118戸/302戸/359戸/203戸)
- 3位:プレサンスコーポレーション(3,950戸/0戸/2,453戸/1,497戸/0戸)
- 4位:大和ハウスエ業(3,634戸/1,614戸/744戸/1,276戸/0戸)
- 5位:三菱地所レジデンス(2,214戸/1,622戸/247戸/323戸/22戸)
- 6位:住友不動産(2,211戸/1,161戸/773戸/225戸/52戸)
- 7位:エスリード(2,198戸/0戸/1,004戸/1,194戸/0戸)
- 8位:あなぶき興産(2,035戸/0戸/240戸/1,714戸/81戸)
- 9位:フージヤースコーポレーション(1,934戸/314戸/105戸/1,515戸/0戸)
- 10位:日鉄興和不動産(1,782戸/1,086戸/489戸/57戸/150戸)
- 11位:東急不動産(1,680戸/1,002戸/542戸/131戸/5戸)
- 12位:東京建物(1,645戸/1,014戸/264戸/125戸/242戸)
- 13位:タカラレーベン(1,582戸/933戸/31戸/618戸/0戸)
- 14位:関電不動産開発(1,521戸/158戸/986戸/185戸/192戸)
- 15位:日商エステム(1,482戸/0戸/1,073戸/409戸/0戸)
- 16位:近鉄不動産(1,405戸/458戸/654戸/293戸/0戸)
- 17位:オープンハウス・ディベロップメント(1,350戸/695戸/0戸/655戸/0戸)
- 18位:日本エスコン(1,125戸/94戸/734戸/297戸/0戸)
- 19位:新日本建設(1,112戸/1,077戸/0戸/0戸/35戸)
- 20位:阪急阪神不動産(1,069戸/253戸/689戸/43戸/84戸)
野村不動産だけが3位以内を死守
ランキング(順位)だけだと、各事業主の勢いのほどが分かりにくい。そこで、過去に発表されたデータも含め、04年以降の上位事業主の発売戸数の推移を可視化してみた(次図)。
長年にわたって首位をキープしていた大京の凋落ぶりとは対照的に、大手4社(野村不動産、三井不動産R、三菱地所R、住友不動産)は順位が入れ替わりながらも、上位に踏み止まっている。
19年まで6年連続1位だった住友不動産は6位まで後退。野村不動産だけが3位以内を死守している(次表)。
【メモ】プレサンスコーポレーション
- 山岸忍氏は97年に日経プレステージを創業し、一代でプレサンスコーポレーションを成長させ16年に東証一部上場を果たしたが、土地売買代金に関する業務上横領事件で逮捕され、同社をオープンハウスに譲渡。
- 近畿圏、東海圏での新築マンション供給戸数は多いが、首都圏では僅か(21年0戸、20年70戸、19年147戸、18年11 戸)。
上位20社のシェア、6割に迫る勢いから、21年は54%まで低下
ランキングに目を奪われず、発売戸数に着目することで、興味深い事象が見えてくる(次図)。
上位20社のシェア(全国主要都市の発売戸数に対する上位20社の合計発売戸数の占める割合)は、それまでの4割から08年を境に上昇し、10年以降5割をキープ(08年に起きたリーマンショックの影響で、中小デベロッパーがマンション事業からの撤退を余儀なくされ、体力のある大手デベロッパーの寡占化が進んだ)。
18年以降は6割に迫る勢いだったが、21年に54%まで低下した。
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