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羽田新ルート|2022品川区長選挙の結果を地図化

2022年品川区長選挙は、再選挙の結果、森沢きょうこ氏が当選。

森沢きょうこ氏の得票数(40,695票)は、羽田新ルート反対派(3人)の合計得票数(38,482票)を2,213票上回る圧勝となった(次図)。

品川区長選挙の再選挙の結果
2022品川区長選挙【再選挙】の開票速報・結果」より

 

羽田新ルートは品川区民の投票率にどの程度影響を与えたのか。

品川区選挙管理委員会事務局から入手した投票所別の有権者数・投票者数・投票率データを元に地図に落としてみた。

※候補者ごとの分析については、「品川区では開票の際は、全投票区分を混同しておりますので、投票区毎の候補者別得票数のデータはございません」(品川区選管)ということで、断念。

※投稿22年12月8日(追記22年12月9日)


もくじ

品川区選管から入手した品川区長選挙データ
品川区選管から入手した品川区長選挙データ(PDF:419KB

羽田新ルート通過、19地域に及ぶ

筆者の独自調査によれば、品川区民の3割(12万人)が騒音の影響を受ける。羽田新ルートが通過する地域は、19地域に及ぶ(次図)。

羽田新ルートの影響を受ける町丁目マップ(品川区)
拡大図(PDF:450KB)

  • A滑走路到着ルート
    大崎2丁目、大崎3丁目、大崎5丁目、勝島1丁目、勝島2丁目、上大崎2丁目、上大崎3丁目、西五反田1丁目、西五反田2丁目、西品川1丁目、西品川3丁目、東大井2丁目、東大井3丁目、東大井5丁目、東五反田5丁目、広町2丁目
  • C滑走路到着ルート
    東品川2丁目、八潮1丁目、八潮2丁目

町丁目別に投票率を算出する方法

品川区選挙管理委員会事務局から入手したデータは投票所単位なので、投票率を地図化するためには町丁目単位に変換する必要がある。

品川区内に設置された投票所は43か所。品川区の町丁目は全部で124(※注1)。投票所単位のデータを町丁目単位のデータに変換するために、次のように算出した。

投票所ごとのデータを町丁目ごとに集計する際に、複数の町丁目にまたがって投票所が設定されている場合には、複数の投票所の当日有権者数と投票者数を合わせて、投票率を算出した。
たとえば、A1丁目のうち、1~8番地の住民の投票所がa小学校、9~49番地の住民の投票所がa幼稚園だった場合、A1丁目の投票率としては、2か所の投票所の当日有権者数と投票者数を合わせて、投票率を算出した。

※注1:6つの町丁目(広町2丁目、勝島3丁目、八潮1丁目、八潮2丁目、八潮4丁目、東八潮)は人口ゼロなので(品川区住民基本台帳 22年12月1日現在)、算出対象から除いた。

投票率を地図化する

1回目:何とも微妙な結果

1回目の選挙につき、町丁目別の投票率データを地図に落としたのが次図。

何とも微妙な結果となった。羽田新ルート周辺地域で投票率が比較的高いのは、品川区の南側(ピンクで囲んだ部分)。

A滑走路到着ルートと、より飛行頻度が高いC滑走路到着ルートに挟まれた八潮3丁目・5丁目の投票率が高いのは理解できる。

しかし、A滑走路到着ルート周辺地域で、ピンクで囲んだ地域(南品川5・6丁目、東大井3~6丁目、大井1~7丁目、西大井1~4丁目)の投票率が高い一方で、より南側の地域(勝島1・2丁目、南大井1~6丁目)の投票率は低いのだ。

22品川区長選の投票率(1回目)

全124地域の投票率ランキングを以下に示す。

※1位(大井1丁目と2丁目)の投票所は同じ山中小学校なので、投票率も同じとなっている。

  • 1位:大井1丁目(41.88%)
  • 1位:大井2丁目(41.88%)
  • 3位:大井3丁目(40.49%)
  • 4位:戸越4丁目(40.36%)
  • 4位:豊町1丁目(40.36%)
  • 4位:豊町2丁目(40.36%)
  • 7位:東大井4丁目(40.19%)
  • 7位:東大井5丁目(40.19%)
  • 8位:八潮3丁目(39.93%)
  • 8位:南品川5丁目(39.93%)

  • 省略(11位から112位)

  • 113位:上大崎2丁目(27.77%)
  • 113位:上大崎3丁目(27.77%)
  • 113位:上大崎4丁目(27.77%)
  • 116位:勝島1丁目(27.52%)
  • 116位:勝島2丁目(27.52%)
  • 116位:南大井1丁目(27.52%)
  • 116位:南大井2丁目(27.52%)
  • 116位:南大井3丁目(27.52%)
  • 116位:南大井6丁目(27.52%)
  • 122位:上大崎1丁目(26.76%)
  • 122位:東五反田4丁目(26.76%)
  • 122位:東五反田5丁目(26.76%)
再選挙:何とも微妙な結果

再選挙の町丁目別の投票率データを地図に落としたのが次図。

投票率の分布傾向は、1回目とあまり変わらない

22品川区長選の投票率(再選挙)

全124地域の投票率ランキングを以下に示す。

※1位(大井1丁目と2丁目)の投票所は同じ山中小学校なので、投票率も同じとなっている。

  • 1位:大井1丁目(37.67%)
  • 1位:大井2丁目(37.67%)
  • 3位:八潮3丁目(37.30%)
  • 4位:八潮5丁目(37.11%)
  • 5位:南品川6丁目(36.78%)
  • 6位:西大井3丁目(36.68%)
  • 6位:西大井4丁目(36.68%)
  • 8位:大井3丁目(36.67%)
  • 9位:南品川5丁目(36.33%)
  • 10位:戸越4丁目(36.18%)
  • 10位:豊町1丁目(36.18%)
  • 10位:豊町2丁目(36.18%)

  • 省略(11位から112位)

  • 113位:上大崎1丁目(25.31%)
  • 113位:東五反田4丁目(25.31%)
  • 113位:東五反田5丁目(25.31%)
  • 116位:上大崎2丁目(25.20%)
  • 117位:上大崎3丁目(25.20%)
  • 117位:上大崎4丁目(25.20%)
  • 119位:勝島1丁目(25.06%)
  • 119位:勝島2丁目(25.06%)
  • 119位:南大井1丁目(25.06%)
  • 119位:南大井2丁目(25.06%)
  • 119位:南大井3丁目(25.06%)
  • 119位:南大井6丁目(25.06%)
投票率の変化:全ての町丁目で1回目よりも低下

さらに、投票率の変化(1回目と再選挙との差)を地図に落としてみた(次図)。

再選挙の投票率は、全ての町丁目において1回目よりも低下している

22品川区長選の投票率(再選挙-1回目)

全124地域のうち、投票率の変化(1回目と再選挙との差)が大きかったワースト10は以下の通り。

  • 1位:小山4丁目(-4.60%)
  • 2位:東大井3丁目(-4.31%)
  • 2位:東大井6丁目(-4.31%)
  • 4位:大井1丁目(-4.21%)
  • 4位:大井2丁目(-4.21%)
  • 4位:小山3丁目(-4.21%)
  • 7位:戸越4丁目(-4.18%)
  • 7位:豊町1丁目(-4.18%)
  • 7位:豊町2丁目(-4.18%)
  • 10位:東大井4丁目(-4.16%)
  • 10位:東大井5丁目(-4.16%)

雑感

羽田新ルートは品川区民の投票率にどの程度影響を与えたのか。

品川区選挙管理委員会事務局から入手したデータを元に投票率を地図に落としてみたところ、何とも微妙な結果となった。

A滑走路到着ルートと、より飛行頻度が高いC滑走路到着ルートに挟まれた八潮3丁目・5丁目の投票率は高かった。ところが、A滑走路到着ルート周辺地域のうち、より南側の地域(勝島1・2丁目、南大井1~6丁目)の投票率は低かったのである。

じつは、南側の地域(勝島1・2丁目、南大井1~6丁目)は2016年7月に実施された都知事選挙のときも、他の地域と比べて投票率が低かった(次図、ピンク囲み)。

都知事選の投票率(16年)
羽田新ルート|2020都知事選の結果を可視化(品川区)」より

羽田新ルート問題以前に、そもそも選挙への関心が低い住民が多い地域なのか。念のため、2016年7月に実施された都知事選のときの投票率で補正してみたのが次図。

補正しても、羽田新ルートの影響は特に見られない。

22品川区長選の投票率(1回目|補正)
※【補正方法】都知事選の町丁目ごとの投票率を品川区の平均投票率で割った値で、品川区長選挙(1回目)の町丁目単位の投票率を割った。


羽田新ルート問題は、品川区長選挙の争点のひとつとされてきたのだが、羽田新ルート周辺地域の投票率が特に高いわけではないという結果をどう理解すればいいのか。

航空機騒音や巨大な機影、落下物などの懸念に慣らされてしまったということなのだろう……。

森沢恭子新区長が公約に掲げた「羽田新ルートに係る全区民アンケート」の結果が待たれる。

【追記】寝たきり補正

※追記22年12月9日

この記事を読んだ方から、高齢者は投票に行くのが難しい旨のコメントを頂戴した。

投票率は、年代との相関が高いのですが、ある年齢以上になると、投票に行けないと、ヘルパーさんから聞いています。(略)

地域の平均年齢と羽田新ルートに係る投票率への影響は特に見当たらないことについては、2020年7月の都知事選挙の分析によって確認済みである(次図)。

投票率と平均年齢との相関(2020年都知事選)
羽田新ルート|2020都知事選の結果を可視化(品川区)」より

 

そこで、「高齢者は投票に行くのが難しい」の影響を確認すべく、地域の有権者数から80歳以上の人数を除いて、投票率を計算した結果を地図に落としてみた(次図)。

寝たきり高齢者が投票に行けない影響を補正しても、羽田新ルートの影響は特に見られない。

22品川区長選の投票率(1回目|寝たきり補正)
※品川区の町丁別人口データは、東京都HPに掲載されている「平成27年国勢調査 東京都区市町村町丁別報告」を用いた。同人口には外国人も含まれているが、高齢外国人の影響は少ないと判断した。

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2022年6月1日、このブログ開設から18周年を迎えました (^_^)/
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